THE EPOCH TIMES

基準値はるかに超える空気汚染指数 北京「国情に符合」

2010年12月11日 16時12分
 【大紀元日本12月11日】上海万博以降、上海と北京の空気汚染指数が異常なほど上昇していると外電が報じた。

 先日、中国の米国大使館が設置した観測点での北京の大気汚染指数が557ポイントと発表された。数値のあまりの高さに、大気汚染をレポートする米大使館のツイッターでは、「クレージーなひどさ(crazy bad)」と表現した。

 中国では「汚染」と格付けされる指標基準は100。指数300は「重度の汚染」であり、健康な人に深刻な炎症、諸症状が現れるレベルだが、557は評価するランク外である。まさにクレージーなレベルで、中国の首都の大気汚染の質量がいかに深刻なレベルであるかを浮き彫りにする率直な表現だ。

 英ガーディアン紙ジョナサン・ワッツ記者の報告によると「クレージーなひどさ(crazy bad)」という表現はすぐに取り下げられ、「指標範囲外(Beyond Index)」に置き換えられたという。

 一方、米ウォール・ストリート・ジャーナルは、万博以降、上海の大気環境は「優秀」から「汚染」へと急速に悪化し、浮遊微小粒子のレベルが基準値の3倍になっていると報道している。

 粒径が2.5マイクロメートル以下の大気中の微小粒子物質(PM2.5)の質量濃度が人体に及ぼす危害が極めて大きいことから、PM2.5濃度指標が世界の大気汚染の基準となりつつある。現在の中国は独自の大気汚染指数APIを用いており、観測している微粒子は10マイクロメートル以下(PM10)の濃度であり、PM2.5濃度による監督管理は行われていない。また、北京当局は依然としてPM10濃度の監督管理の方がより「国情に符合している」との考えを堅持している。

 
上海万博後の上海と北京の空気汚染レベルは「クレージーなひどさ」に。写真は北京(FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)

微小粒子物質の監督なしの北京 API基準超過も隠ぺい


 網易探索によると、空に砂埃が舞い、どんよりと曇って視界も悪いと人々が感じる時でも、天気予報は依然として大気汚染レベルを「良好」と報じている。最近、北京のある女性が発表した『北京青空視覚日記』では北京で青空が現れたのは180日と記載されているが、政府が発表した青空日数は285日と100点xun_ネ上も多い。この違いの原因は、中国で現行している大気汚染指数APIにPM2.5の濃度が反映されていないからだと指摘している。

 一般に粒径が2.5マイクロメートルから10マイクロメートルの粒子は道路などの砂塵、2.5マイクロメートル以下の微粒子は、自動車の排気ガスや石炭の燃焼、揮発性有機化合物などから来るものといわれている。

 実際に中国の大部分、特に工業の集中する華北地区では2.5マイクロメートル以下の微小粒子物質が大気中の浮遊粒子の重量の大半を占めている。しかしAPIはPM2.5濃度を観測対象に入れておらず、適切な監督管理が行われているとは言い難い。

 先進国は早期にPM2.5を指標とする観測を開始している。05年、WHOがPM2.5に係る大気質ガイドライン(Air quality guidelines)更新後、多くの国が自国の大気汚染の特徴と経済技術レベルにより大気汚染基準の改訂を行い、PM2.5の観測を加えた。米国は世界で2番目に二酸化炭素排出量が多い国だが、PM2.5については1997年に「1立方メートル当たり年平均15マイクログラム、日平均65マイクログラム以下」という環境を定め、さらに06年9月には一日の平均値を従来の65マイクログラムから35マイクログラムへと規制を大幅に強化している。

 現在、米国ではすでに微小粒子についての日常観測と一般からの通報制度を立ち上げている。一方、北京当局は今なおPM10の監督管理を行い、基準値を超えた汚染指数を隠ぺいしている。中国で現行の大気質量観測基準は2000年に公布されたもので改訂されないまま10年が経過している。

 PM2.5濃度基準をはるかに超える中国の大気汚染

 WHOが05年に出版した大気汚染のガイドラインは、特に大気中の粒子状物質濃度の制限値を厳しく設定している。PM2.5の年平均濃度は10マイクログラム立方メートル、一日平均濃度は25マイクログラム立方メートルと定められている。

 今年9月、NASAが発表した世界大気汚染状況マップは、カナダのダルハウジー大学研究員のアーロン・バンドンカラー氏とランダル・マーティン氏が、NASAの衛星データを利用して測定制作したもので、汚染された世界の地域をブルーから赤までの色で表示している。PM2.5の濃度が高い地区は濃い赤色で表示されており、北アフリカと中国の華北、華東、華中の全域が最も濃度が高く示されている。その中でも、中国の多くの地区ではPM2.5平均濃度が80マイクログラム近くあり、サハラ砂漠を超えている。

 
NASAによる世界大気汚染状況の地図

また、山東省臨汾市では、一日に吸い込む有毒ガスはタバコ3箱分の喫煙に相当すると環境保護組織は伝えている。山東省臨汾市は、世界で最も汚染が深刻な9地区の1つに数えられると米メディアは報じている。

 PM2.5濃度が20上昇すると、中国とインドで34万人が死亡する

 中国の多くの都市では現在PM10濃度が観測管理されている。PM10は呼吸器系の疾患と密接に関係していると考えられているが、実際はPM2.5のほうが体積が微小であるため人体への影響はPM10よりも大きい。WHO公布資料も死亡リスクはPM2.5の方が高いと記述している。

 粒径10マイクロメートル以上の粒子は鼻毛で遮る事ができ、2.5マイクロメートルから10マイクロメートルの粒子は呼吸器官に進入する。だがこれらの一部は痰などにより体外に排出できるので人体への害は比較的少ない。2.5マイクロメートル以下の微小粒子はヒトの髪の毛の10分の1の直径で、人体に吸い込まれた後気管支に進入し肺のガス交換に干渉するため咳や気管支炎、喘息、心血管疾患などの疾病を引き起こす。

 これらの粒子は気管支や肺胞を通じて血液に進入し、含有する重金属などの物質が血中に溶け出すため、人体にもたらす影響は大きい。

 WHO05年版の大気汚染ガイドラインでは1立方メートルあたりPM2.5濃度が35マイクログラムを超えると、10マイクログラムの時よりも死亡リスクが約15%増加すると記述している。また、国連環境計画の報告書では、PM2.5濃度が1立方メートル当たり20マイクログラム上昇すると、中国とインドでは毎年約34万人が死亡すると算出している。

(翻訳編集・坂本)


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