THE EPOCH TIMES

<在日中国人の目> 東日本大地震の「死者名簿」と四川大地震の「死者隠蔽」

2011年03月21日 14時40分
 【大紀元日本3月21日】多くの命や財産、慣れ親しんだ町並みや日常が一瞬で消え去った東日本大地震から10点xun_ネ上過ぎてしまった。未だに増え続ける死者の数。新聞やテレビで毎日公表される新しく確認された死者の名簿に、あの日の災難で奪われた尊い命が刻まれる。

 とてつもなく長く続く死者名簿はひとつひとつの命の存在を証明すると共に、生者には命の尊さをも思い起こさせる。名前や年齢、居住地が付されたおびただしい数の死者に心を痛めると同時に、中国では存在さえも隠し続けられた死者がいることに悲しみを覚えた。

 彼らは2008年に起きた四川大地震で校舎でなくなった子ども達。この地震で倒壊した校舎の下敷きになって亡くなった生徒の数は1万9065人に上り(同年11月、四川省副省長の発表)、これは9万人以上とされる死者・行方不明者の全体の2割を超えている。倒壊した校舎の瓦礫で明らかになった手抜き工事の数々は、当局の腐敗や汚職との関係が指摘された。アキレス腱を突かれた当局は、死亡生徒の名簿を公表するどころか、封じ込めに終始した。

 四川省の作家・譚作人氏は震災後に、校舎倒壊で亡くなった子ども達のリストと、不正建築により崩壊した多くの学校に関する調査報告をまとめたものの、出版しようとした矢先に、「国家政権転覆煽動罪」の容疑で5年の禁固刑を言い渡された。また、陳情を続ける遺族らも当局によって監禁・強制送還されている。

 そして、地震発生から2年、ようやく昨年4月に、中国の著名な建築家・艾未未氏がネットで5212名の死亡した生徒の名簿を公開することにこぎつけた。艾氏もその後、私服警官による尾行や監視、軟禁に遭っている。

 同じく小中学校の校舎が、中国では子ども達の命を葬る墓場となり、日本では人々の避難所となり、心のよりどころとなっている。東日本大震災後、多くの中国人がその対照的な光景に衝撃を受けた。「日本の大地震は天災のみ。四川大地震は天災に、多大なる人災が重なった結果」とネットユーザーが憤慨する。

 四川大地震から3年近く経った今でも、建物の耐震問題は政府の関心課題になっていない。「おから工事」や「手抜き工事」が依然として横行し、さらに多くの命が犠牲になっている。それでも本腰を入れない当局者は、建物の耐震問題を取り上げると、四川大地震の倒壊校舎が必然と検証事例となり、それにより工事にかかわる腐敗の連鎖が明るみになってくることを恐れているのではなかろうか。

 多くのかけがえのない命だけでなく、その命の記録である名簿も葬られた四川大地震。自国民の命さえも軽視し、自らの膿を出すことを拒否する当局者たちが、日本の大震災に15人の緊急援助隊を派遣した。そこには命への関心よりもパフォーマンスの色合いが私の目に映った。

 亡くなるべきでない命が亡くなると、その霊が苦痛のなかで彷徨いつづけるという。死者名簿の公的発表や、多くの幼い命を奪った不正建築への責任追及など、3年たった今も未着手のことが多い。四川省の広い大地で今日も多くの幼い霊が苦しんでいることだろう。

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