THE EPOCH TIMES

【特別報道】旅券と査証、弾圧・統制の道具に使うな

2011年04月08日 11時28分
 【大紀元日本4月8日】 中国を代表する現代芸術家・艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏が3日、北京空港から香港行きの航空機に搭乗しようとしたところ、税関職員に連行された。その2日前の1日には、福建省の人権活動家の娘が、留学のため日本に向かう途中、アモイの空港で搭乗が拒否されている。

 一方で4日、米国放送理事会(BBG)は、中国当局がVOAの中国系記者の取材や親族訪問ビザの発給を拒否していることを明らかにした。

 また09年11月、中国当局から帰国のための入国が拒否され、日本へ暴力的に強制送還されたことに対する抗議の意思を示すため、約3カ月にわたり成田空港にとどまり続けた人権活動家・馮正虎氏のこともまだ記憶に新しい。

 常に批判の声に戦々恐々とする中国共産党政権。人々の基本的権利であるパスポートやビザなども恣意的に操り、国境を境に国内の批判を封じ込め、国外の批判を取り除こうと手を尽くしている。その「ならず者」の醜態は、国民が自由を希求することに対する中国政府の苛立ちと、薄氷を踏むような政権維持への恐慌ぶりを如実に示している。

 出入国に対する妨害

 艾未未氏の連行に見られる、中国当局が目をつけた人物に対する出入国の妨害は、実は氷山の一角である。2010年10月、米国の招きで中間選挙の観察に向かおうとした人権弁護士の江天勇氏と李蘇濱氏が、北京空港と上海空港でそれぞれ当局に阻害され出国を断念せざるを得なかった。同年8月、北京の学者・莫之許氏は同窓会に参加するため日本に向かおうとしたが、アモイ空港で止められた。同年7月には社会学者・郭玉閃氏が、ヨーロッパでの会議に向かう途中、北京空港で出国を拒否されている。

 四川省の作家・廖亦武氏は、14回もの出国拒否を重ねた後、ようやく昨年のベルリン国際文学祭に参加できた。さらに昨年2月には、神韻芸術団の二胡奏者・美旋さんの夫で法輪功学習者である江峰氏が、親戚訪問のために米国へ向かおうとした際、すでに上海浦東空港の検査ゲートを通過しているにもかかわらず、搭乗直前に国家保衛部によって突然連行された。その後、江峰氏は「洗脳班」と呼ばれる施設へ送られ、残酷な迫害を受けた。

 空港での出国妨害だけではない。パスポートも中国政府が自国民をいたぶる「道具」となっている。2008年3月、六四天安門事件のリーダー・王丹氏と海外で流亡する15人の反体制派が公開書簡を発表し、北京当局によって阻害されているパスポートの回復と更新を求めた。さらに、18カ国にいる100人を超す法輪功学習者が、駐在公館にパスポートを剥奪されている。

 一部の学習者は、国内にいる親の最期を看取ることも許されなかったという。2002年、オーストラリア国籍をもつ法輪功学習者・芮駿さんは、末期の肺がんである母親の看病のため、シドニーの中国領事館でビザ申請を行った。一旦ビザは発給されたが、その後、芮駿さんの法輪功修煉を理由にビザが取り消された。2005年には、アメリカ在住の法輪功学習者・王文怡さんも父親の葬儀のため帰国を申請したものの、中国駐ニューヨーク領事館は王文怡さんのパスポートを発行しなかった。

 ビザ不発給等による入国妨害は中国系の人だけに限らない。先月30日、ドイツの著名な中国研究家ティルマン・スペングラー(Tilman Spengler)氏は、ドイツ外相の訪中に同伴するための訪問ビザが発給されなかった。理由は、同氏が「中国人民の友人ではないため」という。

 また、アメリカの著名な中国研究家ペリー・リンク(Perry Link)教授は、1989年の六四天安門事件の際、主要人物であった反体制天文物理学者・方励之博士を米大使館に避難させたことによって、以来、中国への入国が拒否されている。

 中国の国内法と国際公約、いずれにも反する

 中国の『国籍法』では、中国公民が外国籍を取得するか、自ら中国国籍を放棄する以外、どの機関も直接的あるいは間接的に中国公民の国籍を剥奪する権利がない、と定められている。しかし、外国に居住する人々にとって、パスポートを剥奪することは、唯一国籍を証明する書類を剥奪することとなり、国籍と公民の権利を剥奪することとなる。

 さらに、国際通行の規定によれば、入国拒否は刑事犯罪者やテロリストなどに限って適用されるもので、自国民の帰国を妨害することは、「どの人も自国に入る権利を任意に剥奪されてはならない」との国際公約に反している。

 中国の外国駐在公館は長年にわたり、公然とこれらの自国の法律や国際公約を無視して、パスポートの取り消しや没収、更新の拒否を繰り返すとともに、外国籍を取得した中国出身者に対してビザの発給を拒否してきた。多くの場合、これらの行為には理由も法的根拠も提示されていない。

 暴挙の背後に政権崩壊への危惧

 中共政権が何を企み、自らの暴挙を世界にさらしているのか。そこには彼らの危惧、すなわち、民衆への強権統制を失ったときの政権崩壊への危惧、人々が海外で真相を知ったときに共産党政権とその理論を疑い、軽蔑し、さらにこれを見捨て、反対することへの危惧が窺われる。

 彼らはパスポートとビザを脅迫の手段として使い、人々が真相を知る機会を奪い、海外にいる中国人の言行や思想までもコントロールしようとする。しかし、その中共政権も知らないわけではない。抑制が強ければ強いほど国民の反感を買い、その抑制から脱出しようとすることを。今でも多くの国民が、「強大」な中国から脱出し、外国の地で生活することを選んでいることは、まさにその反感を物語っているのではないか。

 中共政権は「どこにいても私の手から逃げられないぞ」という恐怖を内外で作り出そうとしているが、それはまさしく内心の危惧と狼狽を隠そうとしている中共自身の愚かさに他ならない。

 中共政権に「NO」と言おう

 中共政権の高圧の前で一部の人は批判の口を噤んだ。活動家は活動をやめ、学者は「自律」をする。海外の中国人団体はむしろその政権に利用され、自由国家で自由を損ねる行為を振舞う。しかし一方、多くの勇気ある人が、中共政権に対して「ノー」を突きつけ、立ち上がっている。海外では正義ある警察が、中共政権の卑怯なスパイ行為を制止しており、多くの政府機関も、中共政権によるパスポート没収などの不当な行為を非難している。

 ヒトラーがユダヤ人を迫害したとき、国際社会の無関心が悲劇をいっそう拡大させていた。いま、中共政権の暴挙を国際社会が黙認するならば、まさにその暴挙の「共犯者」となり、中共と手を組んで罪もない民衆を迫害し、さらにその迫害を海外にまで延伸させることになるのである。

 ドイツの中国研究家スペングラー氏のビザ発給が拒否された後、独社民党外交事務専門家のロルフ・ムーゼンヒ(Rolf Muzenich)氏は、「中国の人権状況を批判し、人権活動家への支持を表明するだけでは、すでに北京政権に対抗することはできない」と指摘し、中共政権の指導者には「自由・平等」の思想が微塵もないことを批判した。

 中共政権は残虐でありながら偽装に長けている。世界各国はその中共政権の一挙一動を注意深く観察しなければならない。

 パスポートやビザが政治的統制と迫害の道具に使われている今、中共政権の不当な行為や理不尽な要求に対し、断じて「ノー」を突きつけることこそ、自由社会の自由と権利を守り、中国人が自らの基本的権利を奪回することの手助けになるのである。

(大紀元編集部/翻訳編集・張凜音)


 

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