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中国経済、30年来最大の転換期に 

 【大紀元日本5月12日】北京科学技術大学教授で経済学者の趙暁氏が、中国政府の経済政策の方向性が不透明な状況下にあり、中国経済は30年来、最大の転換と試練を迎えていると指摘した。21世紀経済報道が報じた。

 先の金融危機発生前の5年間、中国経済は10%を超える高い成長率を保ってきた。人口ボーナスが生み出す低コストの競争力、不動産バブルによる建設投資のけん引力、輸出促進による多額な貿易黒字の形成という3つの要因が大きく作動してこの成長率を支えてきた。しかし、趙教授によれば、この3つの原動力は衰退期にあるか、役割を失いつつあるため、中国経済は30年来、最大の転換期にある。

 これからの経済成長の原動力となるものは、「都市化」になると趙教授は指摘する。今後の「都市化」は、都市部の不動産建設投資によりGDPを押し上げることに止まらず、農村の都市化が重要になる。この意味から、不動産バブルの抑制が今後の中国の経済転換のポイントとなる。

 持続できない高成長

 最近の経済統計から、中国経済はすでに下降傾向にあると趙教授は見ている。例えば、6月の購買担当者指数(PMI)は51.3%となり、先月比7.6ポイント下降。同指数は連続2ヶ月の大幅下落で、経済不況の状況を鮮明に示している。同時に、輸出に関しても上半期の1~5月の好況を維持することが難しくなっている。輸出額の季節調整値で言えば、2009年末の低水準よりも低くなっている。

 さらに趙教授は、中長期的観点からすれば、これまで中国経済の発展を支持してきた上記の3つの要因はすでに存在しないとの見解を示している。その1つの要因、輸出に関しては、金融危機後のアメリカ市場の急速な縮小により、中国は対米輸出で多大な打撃を受けた。ある程度の回復が見込まれてはいるが、以前ほどの需要水準にまで戻ることは難しい。

 もう1つの要因である人口ボーナスに関しては、中国の強みであった大規模な就労人口は終焉を迎えており、高齢者社会に入りつつある。低賃金による安価な労働力コストがもたらした競争力はすでに過去のものとなった。ベトナムなどの東南アジア諸国に比べ、中国の労働力はすでに「安価」でなくなっている。

 3つ目の不動産バブルに関しては、価格上昇を食い止めるための様々な策が論じられている。過去の数年間、中国の不動産バブルは経済発展にとって力強いけん引役を果たしてきた。不動産への投資ブームは狂気じみていた。しかし「天下には終わらない宴はない」と言われるように、不動産投資の制限や金融引き締め対策により、昨年から一線都会と呼ばれる大都市の不動産取引が急減し始めた。今後、これらの大都市の不動産価格の反動に、政府がどう対応するか、大きな懸念が残る。

 都市化による転換の実現

 経済の持続的発展をはかるため、中国国務院(内閣)は「戦略的新興産業育成の促進に関する決定」と「戦略的新興産業発展の第十二次5ヵ年計画」を打ち立てた。これは4兆元景気対策に続く対策だが、産業発展と産業のグレードアップによる持続的経済発展では、早晩、供給超過となる難局に直面する。今の中国ではすでに供給超過の兆候が現れており、これ以上の産出拡大政策を採ると、近い将来中国は大きな危機に陥りかねないと趙教授は警告する。

 趙教授は、 「工業化がもたらしたのは供給拡大であり、都市化こそ需要の拡大をもたらす」として、都市化と都市化を基礎とした内需拡大政策こそが、今後の中国経済の持続的発展を可能にすると指摘する。

 趙教授の計算によれば、2003~08年の期間の中国の固定資産投資総額は64兆元。総額の85%に当たる54兆元は都市投資で、同期間中、都市部に新たに増加した人口は1億人。すなわち都市人口を1人増やすためには、50万元の投資が必要という計算になる。今後もし4.5億の都市人口を増加させようとすれば、大まかな計算ではおよそ225兆元の投資が必要となる。そうなれば、2009年と同水準の9%のGDP成長が維持できる。

 都市化の発展の肝心な部分は、廉価の「保障住宅」の建設促進だと趙教授は指摘。上記の計算によると、今後新たに増加した人口の半分、特に新たに増加した農村人口が「保障住宅」へ入居することができ、仮に一人当たり25平米、平米あたり2500元の投資が必要とした場合、投資総額は28兆元に上る。向こう5年間、毎年新たに建設する「保障住宅」を10億平米として計算すると、投資総額は2.5兆元になり、昨年1年間の住宅建設投資額の83%に相当する。

 最後に趙教授は、今日の中国の農民の貧困は都市化の遅れと関連していると指摘した。2億の農村人口が都市部へ流れ込んだが、農地は耕されずに放置されたまま。一方で農作業を営む農民の農地は増やされていない。都市化に伴う人口と土地の再配分、農業生産に現代的工業化生産方式を導入することで、農業の発展がはかれると同時に持続的経済発展が望める、と趙教授は結んだ。

(編集翻訳・林語凡)


 (11/05/12 09:36)  





■キーワード
都市化  持続的経済発展  経済調整  発展方式転換  不動産バブル  


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