中国の臓器移植:逮捕された日本人斡旋業者、当局の支援アピール

2007年10月20日 10時56分
 【大紀元日本10月20日】中国外交部は10月16日、日本人に臓器移植を斡旋する日系企業の長瀬博之代表の逮捕を明らかにした。中国で臓器移植に関与したとして日本人が逮捕されたのは初めて。中国当局のこの動きについて、中国問題の専門家や、医者らが、背景や要因などを分析した。

 長瀬容疑者は遼寧省瀋陽市で、「IPC情報コンサルティング有限公司」を運営していたが、2004年から「中国国際臓器移植支援センター」の名義で、ネットによる広告宣伝を広げ、日本人患者に臓器移植を斡旋する業務を始め、これまでに200人以上の日本人を仲介したという。

 「中国国際臓器移植支援センター」の実態

 同サイトは、臓器移植の待機時間などについて、詳細の説明があった。肝臓や、腎臓移植の場合は、最短1から2週間、最長約1ヶ月、心臓、肺の移植は1ヶ月以内が可能、移植後、臓器が適合しない場合、1週間以内に取替えるなどと記載、2005年一年間で、中国で計1万2千例の臓器移植が行われた、と公表、これだけ大量の臓器移植を完成できたのは、中国当局による支持の結果とアピールした。また、臓器の提供者については、説明がなかった。

 2006年3月、生きた法輪功修煉者からの臓器強制摘出の問題が浮上してから、同サイトの中国語版がすぐに閉鎖されたが、その後、再開した。
閉鎖前の「中国国際臓器移植支援センター」日本語サイト(大紀元)







 それについて、中国での臓器移植問題に注目し、調査を行っている米国在住の医学博士・王文怡氏は、「中国での公表されている年間の死刑囚の数を全部計上しても、このような厖大な移植臓器をまかなえない。そのように短期間で適合する移植臓器を見つかることは、生きた人間による臓器バンクが存在するほか考えられない。その対象者は法輪功修煉者である」と指摘した。

 長瀬容疑者は9月11日、上海で逮捕された。

 中国当局の姿勢

 中国外交部の報道官・劉建超は10月16日、長瀬容疑者による臓器移植の斡旋業務は、会社設立当初の登録業務内容と異なると指摘するうえ、衛生部は臓器売買を禁じているため、同容疑者の行為はそれに違反していると発表した。上記のサイトも閉鎖された。

 一方、報道によると、同容疑者は中国衛生部(厚生省に相当)に相当深入りしている。

 中国での臓器移植問題に注目している医学博士・王文怡(米国在住)氏は、「同報道官の発言は、中国での臓器移植問題おける中共の責任を回避するためのもの」と指摘、長瀬容疑者が臓器斡旋業務を推進できた背景には、中国当局には逃れない責任があると述べ、「オリンピックの開催を前に、世界が同国の臓器移植問題を注目する中、国際的批判をかわすため、同容疑者はスケープゴートにされただけ」との見解を示した。

 これまでに、中国での移植臓器の供給源については、当局の説明が二転三転している。

 2005年7月、国際保健機構(WHO)のマニラでの会議で、当時の衛生部の黄潔夫副部長は、中国の臓器提供者の大半は死刑囚であると認めていた。2006年3月初めに、生きた法輪功修煉者からの臓器強制摘出との告発が出された後、同年3月28日、中国外交部の秦剛・報道官は定例記者会見で、「中国で死刑囚が臓器移植のドナーとされているうわさは、真っ赤な嘘であり、中国の司法制度に対する悪意の攻撃だ」と発言した。同年4月には、衛生部の毛群安・報道官も、死刑囚からの臓器提供を否認した。同年9月27日、秦剛・報道官は前回の発言を覆し、中国での死刑囚による臓器提供を認め、司法機構の審査を経て、死刑囚本人の同意を得ていると説明した。同年11月、中国当局は政府メディアを介して、死刑囚が主な臓器供給源であることを明らかにした。 

 また、中国当局は2006年7月に臓器売買などを禁止する管理規定を施行したほか、今年5月には臓器移植法を制定、臓器関連規則を大幅に強化した。

 内外の圧力

 国際社会では、政治家や、弁護士、医者など300人から成る「法輪功迫害真相調査連盟」(CIPFG)は中国当局に対し、臓器摘出問題に関する中国国内での独立調査を求めたが、拒否された。今年8月初めから、同調査団がグローバル人権聖火リレーを発動し、人権迫害とオリンピックが同時に中国で進行してはならないと訴え、世界各国に対し、北京五輪参加の見直しと、中国で起きている人権迫害への関心を呼びかけている。
ギリシャでの人権聖火リレーの採火式典(大紀元)


中国での独立調査を求めるCIPFG(大紀元)



 大紀元のコラム作家・張傑連氏は、「表面上では、死刑囚からの臓器摘出問題だが、実質上は、法輪功修煉者が臓器提供の道具にされ、殺されている問題である。国際社会が様々な反応を示している中、問題の根源である中国当局は、2008年北京五輪などをにらんで上記の関連法案を制定したりしている。国際的批判をかわすためだ」と指摘、今回の長瀬容疑者の逮捕劇もその一貫であるとの見解を示した。

 一方、国内でも、臓器摘出問題と深く関連する法輪功への集団弾圧について、政権内部は一枚岩ではないと言われている。弾圧を主導する江沢民派は、弾圧に巨額の国家財政をつぎ込んできた。政権内部の情報によると、最近解任された財政部(日本の財務省に相当)の前部長・金人慶には1000億元(約1兆7千億円)の使途不明金があり、江沢民・前国家主席により法輪功弾圧に使われた可能性が高いという。また、胡錦濤派と江沢民派の権力闘争は、ますます激化し、法輪功問題は重要なキーポイントになっているという。

 長瀬容疑者の逮捕は9月11日だったが、第17回党大会の会期中に公表されたことについて、上記の張傑連氏は、そのタイミングは非常に意味深いかもしれないと述べ、この火花が中国での不法臓器移植の元凶に飛び火するかどうか、注意深く見守っていきたいと話した。

 
(記者・任子恵、施宇 翻訳/編集・叶子)


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