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米中対立は、大戦後の世界秩序を維持しようとする米国と、自己中心的な中国共産党政権との認識の差が起因。写真は、24日、米国外交委員会で、米国務省の2011年度の予算要求のために証言するクリントン長官(Astrid Riecken/Getty Images)

「ルールは自分で決める」 世界を危機に陥れる共産中国のエゴイズム

 【大紀元日本2月26日】過小評価の人民元やそれの貿易に対する影響、コペンハーゲン協議での温暖化抑制合意の破綻、イランの核兵器保有防止への不支持、米国の対台湾武器売却およびグーグルの中国撤退問題。最近、北京政権とワシントンとの間で衝突事件がめだっている。これまで、経済の発展とグローバルへの参加によって共産中国は西側の自由価値観に近づいていくというのが、米国エリート層の主流の認識だが、これは、根本的に間違った判断ではなかろうか。

 中国との戦いに米国は勝ち目がない。その反省として、欧米の価値観ではなく、中国の価値観から物事を理解すべきだ。『中国が世界を支配するとき』の著者、マーチン・ジャクス氏が最近米誌「ニューズウィーク」に発表した論説の中で、米中間衝突の原因についてこのように分析しており、注目を集めている。ジャクス氏は、中国に対する西側の認識の根本的な誤りは、専門家が欧米型のモデルと欧米世界の歴史に基づいて中国を解釈しようとすることに起因していると提示している。中国文明を考慮し、儒教的価値観や家族観からみれば、政府は一家の長にあたり、正統性があると見なされるという視点だ。

 自由で解放されたネットを主張するグーグル型モデルは、中国が超大国となる世界には普及しないと同氏は主張。中国でのネット検閲のやり方も正当化され、統合された一つのグローバル空間でなく、国ごとに異なる断片化した存在になると予測している。

 一見、新鮮で筋の通る主張だが、ジャクス氏がここで忘れているのは、欧米諸国が直面している相手は共産党政権だということだ。共産政権前の儒教的価値観を持つ中国文明と重ねるのは見識が違うように思われる。

 一方、2月15日付の米紙「ワシントンポスト」では、コラムニストのロバート・サミュエルソン氏が、米中間の衝突について、世界に対する両国の見方の違いにあるとしている。中国側の価値観は、現政権の「自己優先主義」に基づくものとサミュエルソン氏は見解を示す。

 「中国の自己優先主義の影にある危険」と題する記事の中で、サミュエルソン氏は、共産中国の政策は自己利益優先の、国際社会とは別の概念を反映していると指摘する。中国人の富裕層は中国共産党を更に独断的にさせており、すべての政策において自分が優先的に利益を得るよう捻じ曲げ、世界秩序を無視していると同氏は警告する。

 米国と共産中国の世界に対する見方は根本的に異なっている。では、米国がどうして共産中国に対する現在のアプローチに至ったのか、サミュエルソン氏は次のように分析している。

 第一次大戦後の孤立主義政策(モンロー主義)が失敗に終わり、アメリカは経済と自国の安全を守るためには、国外に軍を派遣し、開かれた経済環境を促進することが大切であるという理念を抱き始めた。帝国を築くことではなく、安定をはかることが目的だ。

 一方、中国はアヘン戦争(1839-42年)での敗北をなめ、香港割譲などを含む南京条約を締結することとなる。その後、国内戦争、日本の侵略を経て、共産党政権が台頭する。共産党政権は、無秩序を恐れ、国外からの搾取の悪夢にさいなまれている。

 1978年の改革開放以来、中国の経済はおよそ10倍も増長している。当時の米国の構想では中国が裕福になるにつれ、その利益と価値観は米国につながると考えていた。中国が豊かになれば、グローバル経済に依存するようになり、米国同様の価値観になるだろうというのが米国の見方だった。全てに賛同しなくても、紛争はなんとか解決できるだろうと予測していた。

 だが、残念ながら、物事は期待通りには発展しなかった。一部の富裕層が中共を更に独断的な政権に変えてしまい、米国の優勢も金融危機によりさらなるダメージを受けた。

 大国間には世界経済の安定と平和に対する責任があるという点において、米中には深い溝があるうえ、中国共産党は第二次世界大戦後の世界秩序の制度を受け入れようとしない。共産中国の「利己主義」は、 米国をリーダーとして世界経済の安定と平和をはかるために連帯責任をとるという、大戦後に形成された秩序の正当性を認めていない。自分に都合がよければ、この世界秩序を利用する。貿易制裁に対する不満をWTOに訴えることなどはこの例だ。それ以外は、自分のルールは自分で決めていく。

 中国の抱える問題は、過剰な労働者と限られた資源だ。過小評価された人民元は、年間2000万人以上の雇用を生み出す助けになる。アフリカ、中央アジア、南米への中国の貿易や投資の拡大は、単なる資源確保に過ぎない。アフガニスタンは、中国にとって銅山への30億ドルの投資先に過ぎず、戦火の絶えぬ同地区の安定性は、中国の知るところではないと、サミュエルソン氏は指摘する。

 つまり、現在の中国の経済改革の目的は西洋化ではなく、中国共産党の正当性を維持させることにあると言える。

 従って、米中関係の摩擦のほとんどは、中国が国内目標を国際目標のために犠牲にする意志のないことから起こっている。地球温暖化ガスの排気に関する協定は、自己の経済成長に支障をきたす。イランの石油確保が重要であり、核保有国になることへの恐れは二の次だ。北朝鮮については、大量の難民が国境を越えて中国に入ることを一番懸念している。

 2000年の伝統と世界最大の人口、他国より優越であることを自負する中国のエゴによって、世界の普遍的価値である自由主義、個人主義、民主主義を擁護する米国との間で対立は避けられない。共産中国の台頭と脆い世界経済を鑑みると、わずかな計算違いで、世界が暗い袋小路に入ってしまうと、「ワシントンポスト」の論説は結んでいる。

 しかし、サミュエルソン氏もジャクス氏も歴史ある中国文明と中国共産党政権を分離していないことに留意すべきだ。共産党が中国で政権を執って、わずか60年に過ぎない。儒教はとかく、全体主義の独裁者に利用されがちだが、中国5000年の悠久の歴史には、道教も仏教も息づいている。唐の時代には、日本の阿倍仲麻呂が玄宗に重用されたという点にみられるように、外国人に開かれた文明であったことを忘れてはならない。

(編集・鶴田)


 (10/02/26 09:08)