印刷版   

歌川広重【名所江戸百景】亀戸天神の境内(ウィキペディアより)

【今に伝える江戸百景】 江戸むらさき 亀戸天神の藤棚

 【大紀元日本4月30日】亀戸天神は、江戸の昔から藤の名所として知られてきた。訪れたのは4月24日、花の盛りにはわずかに早い四分咲きであったので、見頃はこの後である。

 それにしても日本人は、なぜ「むらさき」を好むのか。赤でも青でもないこの中間色への好みは、外国では珍しいらしいが、私たち日本人は確かに好きだ。

 高徳の僧に対して朝廷が下賜するのが紫衣(しえ)であるように、時として紫は格別の色と見なされる。高貴で、上品で、成熟した人格を表すのは、赤や緑ではなく、やはり紫でなければならないようだ。中国でも古代には紫が珍重されたが、漢代以降、最高位の色は黄色に変わる。ただ、日本の場合に特徴的なのは、特殊階級だけでなく、庶民も紫を愛好することである。

 もう一つ、日本人は「ふじ」という植物が好きであり、その花に長く親しんできたことにより「むらさき」が好きになったという方向性も考えられる。

 その方向から考えられる理由の一つは、平安時代に政治と文化の両面において実権を握った藤原氏という名門の貴族集団があったことであろう。源平藤橘のなかの藤(とう)は、高貴な色であり、雅やかな植物であり、また他の三氏に抜きん出て、その名を耳にしただけで一目置かれる特別な氏族でなければならない宿命を担ったのである。

 ただし、この場合の「藤原氏」は氏族としての名称であって、現代の「藤原さん」の名字を持つ人を指すものではない。むしろ、佐藤さん斉藤さんなどの名字のほうが、さかのぼって調べれば千年前の藤原氏にたどり着くのかも知れないが、それはあまり意味のない努力になるだろう。誰が見ても、藤は平等に美しいのだ。

 亀戸天神へは、JR総武線亀戸駅から徒歩12分。

江戸時代から続く藤の名所・亀戸天神(大紀元)

亀戸天神の藤棚(大紀元)

境内で行われていた猿まわしの妙技(大紀元)

青空に映える境内の八重桜(大紀元)

亀戸天神からも眺められる東京スカイツリー(大紀元)

※『名所江戸百景』 江戸末期の浮世絵師・歌川広重(1797~1858)が、最晩年の1856年から58年にかけて制作した連作の浮世絵。作者の死後、未完成のまま残されたが、二代目広重の手も加わって完成された。目録表紙と117枚の図絵(二代目広重の2枚も加えると119枚)からなる。

 
(牧)


 (11/04/30 07:00)  





■キーワード
名所江戸百景  歌川広重  亀戸天神    むらさき  藤原氏  


■関連文章
  • 春うらら 隅田堤に桜咲く(11/04/15)
  • 【今に伝える江戸百景】 北へとどけ 美しき桜 (11/04/09)
  • 【今に伝える江戸百景】 江戸は京都のミニチュア模型?(11/03/07)
  • 【フォトニュース】浅田、3回転半成功で「100点」=4大陸フィギュア(11/02/21)
  • 【ぶらり散歩道】--熊本篇-- 本妙寺(11/02/05)
  • 【今に伝える江戸百景】 お江戸日本橋の夜明け(11/02/04)
  • 【今に伝える江戸百景】 年末に言祝ぐ「鶴は千年、亀は萬年」(10/12/28)
  • 【今に伝える江戸百景】 赤穂四十七士が渡った橋(10/12/07)
  • 【漢詩の楽しみ】 山行(さんこう)(10/11/28)
  • <今日は何の日?>11月26日 ペンの日(10/11/26)
  • 【今に伝える江戸百景】 江戸の賑わい今も 浅草・酉の市(10/11/16)
  • 【今に伝える江戸百景】 桜田門外の静寂(10/11/02)
  • 【今に伝える江戸百景】「夏草や兵どもが夢のあと」千葉県・矢切の古戦場(10/09/13)
  • 【今に伝える江戸百景】都会のなかの森と水 井の頭公園(10/09/07)
  • 【今に伝える江戸百景】 東京に海があった頃(10/07/26)