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ユーロ円チャート(張哲)

2010年 世界主要国、国家財政危機ぼっ発か

 【大紀元日本2月28日】リーマンショックを引き金とした世界金融危機は、発生してから間もなく1年半を経過。2010年に入って、世界各国の金融機関が徐々に安定化に向かっている中で、新たな危機が再び現れ、世界の景気回復を妨げようとしている。

 世界金融危機発生後、主要経済国をはじめ、世界各国は金融体制を救い、景気回復を狙うために、民間企業の債務を肩代わりし、莫大な国債を発行するなど様々な救済策と経済刺激策を打ち出し実行した。その結果、各国の政府に莫大な債務をもたらした。現在、ユーロ圏がソブリン・デフォルト・リスク(政府の債務不履行)に関して最も危険な状態にある。これがいったん発生すれば、その債権を持つ欧米金融機関に強い打撃を与え、連鎖反応で世界経済が2番底に陥りかねない。

 ロイター通信によると、1月14日スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会において、WEFは「グローバル・リスク」年次報告書を発表し、2010年の世界経済にとっては、国家の財政悪化で深刻な債務危機を招くリスクが最大の脅威だと警告した。中南米などの国と違い、主要先進国は過去に債務危機を経験したことがないため、そのリスクが特に高いとWEFが指摘。

 2月11日付の英誌「エコノミスト」によると、ユーロ圏諸国の首脳は現在、ユーロ圏が設立してから11年以来の最大の金融危機を回避しようと努めているという。昨年11月に起きたドバイショックに続き、12月ギリシャの急速な財政赤字の拡大で、金融市場関係者がギリシャのソブリン・デフォルトのリスクを懸念し始めた。

 きっかけは12月8日、英格付大手のフィッチがギリシャの格付をAマイナスからトリプルBプラスに下げ、「当局への低い信頼性」との声明を発表した。ギリシャ政府によると、2009年同国の財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は12・7%に達し、累積公的債務残高のGDP比率は135%という。公的債務の約3分の2はユーロ圏諸国政府及び金融機関などの外国人が保有しているという。

 「エコノミスト」誌によると、現在ドイツがギリシャ救済計画を検討している。しかし、財政赤字の拡大でソブリン・デフォルトのリスクが高まっているのはギリシャだけではなく、スペイン、アイルランド、ポルトガルも相次いで浮上している。

 いわゆるギリシャ・ショックで、世界株式市場が急落した。2月9日ニューヨーク株市場のダウ平均30種は1万ドルを割り、日経平均も1万円を割り込んだ。また、EU連合の通貨であるユーロは対円では、昨年ピークの1ユーロ=138円台から現在の120円台に急落した。2月25日のロンドン外国為替市場において、1ユーロ=120円台を割り込み、1ユーロ=119・66の終値を付けた。

 ギリシャ政府は2月9日、財政赤字削減計画として、年金制度の改革案を発表し、2015年までに平均定年年齢を61歳から63歳に引き上げるとした。またその他の措置には、燃料税の引き上げを含む税制改革や、すべての公務員の給与の引き下げや福利厚生の削減などを発表した。それを受けて、2月10日60万の公務員をメンバーに持つ公務員労働組合(ADEDY)が大規模な24時間ストライキを行い、24日にも公務員による全国規模の24時間ストライキが行われた。CNNの報道によると、24日の同国史上最大のストライキにより、同国の社会機能はほぼ停止状態となった。

 ギリシャの深刻な債務不履行問題は米国、日本及び中国にも起きうることである。米国の09年度財政赤字は過去最大の1兆4000億ドル(約126兆円)で、対GDP比率が11%に達した。2010年度は1兆6000億ドル(約144兆円)に拡大との見通しになっている。また09年11月17日に、米財務省によると、同国の政府債務残高は過去最大の12兆310億ドルに達した。対GDP比率は約92%。

 一方、日本は09年度財政赤字の対GDP比率が10%を上回り(約816兆円)、政府債務残高の対GDP比率が約200%に達している。

 中国政府の公式発表によれば、08年に総額4兆元の景気刺激策を打ち出したものの、09年赤字規模は9500億元(約12兆4165億円)、10年度はさらに1兆元を突破する可能性があるとみられている。昨年米誌「フォーブス」は、中国の政府債務残高の対GDP比率は政府公表の20%を大幅に拡大しており、実際に70%に達している可能性があると報じた。

 多くの市場関係者はユーロ圏をはじめとする国々のソブリン・デフォルト・リスクの拡大で、もしそのうちの一つの国が破たんし、投資家から信用を失えば、世界金融市場が再び混乱し、世界景気回復に強く打撃を与え、第2段の金融危機に発展するではと懸念している。ソブリン・デフォルト・リスクを縮小するには、現在国会で消費税や所得税の増税が議論されているように、各国政府には必要な財政赤字削減策や税収制度の再検討が急務となってくるだろう。

(報道・張哲)


 (10/02/28 09:20)  





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