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中国の経済学者・謝国忠氏はこのほど、中国の不動産市場はこれから氷河期を迎えるとの認識を示した(Getty Images)

氷河期を迎える中国の不動産市場=謝国忠

 【大紀元日本11月21日】中国独立経済学者・謝国忠氏はこのほど、福建省にあるアモイ大学管理学院が主催した講演会で、最近の国内経済の行き先が不透明の中、不動産市場はこれから氷河期を迎えるとの認識を示した。11月9日付、国内地方紙「海峡都市報」の報道で明らかになった。

 「今後通貨政策の調整はないだろう」

 今年に入って、依然として深刻な状況が続く欧州債務問題、米国経済の低迷、また大震災を受けた日本実体経済のマイナス成長と世界経済状況が厳しくなっていく中、中国においても人民元問題、金融引き締めによる企業倒産ラッシュ、経済成長が急速に鈍化し始めた。そのため、一部の国民は政府による通貨政策の調整への期待感を膨らませ始めている。しかし謝氏はこれに対し、中国当局は通貨政策の調整をしないだろうと否定的な認識を示した。

 謝氏は「中国の改革・開放政策を実施して30数年間、経済発展の牽引力は輸出と外資の直接投資導入によるものだった。しかし、現在欧米市場の需要の縮小で、従来の輸出による経済成長モデルの転換が迫られる。その転換が実現されるまでに、利潤確保が困難な状況に強いられる実業界からの一部の資金が投機活動、不動産市場、株式市場への投資が促進された。

 謝氏はまた、「少し前の4兆元景気対策の実施は、(不動産)開発業者を救っただけであって、誤った政策だ。政府が再度同様な対策を採るならば、さらなる大規模な危機を招きかねない」とし、「新たな景気対策として再度同様な通貨政策を実施するならば、金融緩和の方向転換となり、銀行からの融資資金は再び開発業者の手元へ流れ込み、悪循環が繰り返すのみである。通貨政策の調整期待は開発業者の一方的な願望に過ぎない」と述べた。

 「不動産市場は氷河期に入るため手元にある空家を早く売れ」 

 「海峡都市報」の取材に対し、未入居の不動産物件を手元に抱えているならすぐ売却するようにと謝氏は訴えている。謝氏によれば、これから中国の不動産市場は氷河期に入り、不動産の全国的平均価格は半値までに下降し、不動産市場の価格下落周期は最長3年間に及ぶとの認識を示した。

 不動産価格を決定するいくつかの要因のうち、最も重要なものが二つあると謝氏は分析する。一つは賃貸料収入による投資収益率、もう一つは不動産価格と年収の比率だ。「世界各国の状況からみると、賃貸料収入による投資収益率は概ね10%前後であるのに対し、中国は8%前後にあるという。一方、不動産価格と年収の比率をみると、世界多くの国では1平方メートル当たりの価格は一人の1カ月の収入以内に収まっているに対して、中国では、同じ1平方メートル当たりの価格は一人2カ月分の収入に相当する。これは非正常な現象で、夢のマイホームは中国の若者にとっては悪夢のようなものだ」と謝氏は指摘した。

 以前執筆した評論の中で2012年に中国の不動産価格が大幅に下落すると予測した謝氏は同講演会において、「政府が実施する不動産市場への調整が続けば、不動産価格はさらに下落し、底値がつくときに、その平均価格は現状価格よりも5割下落し、一部の都市では7、8割も下落する」との見通しを示した。

 「インフレ率が今後依然として高水準にある」

 今後長期にわたり、インフレ率の高水準が続くと謝氏は話した。10月公表した最新の消費者物価指数(CPI)がやや下降した格好だが、その信憑性については疑わしいと謝氏は話した。「以前投資銀行に勤めていた時、私は好んで発電に関するデータや、鉄道または港湾貨物スループットなどのデータを研究していた。今もそのようにしている」と述べ、このほどいくつかの月のCPI指数が下降する傾向にあるものの、インフレ状況が転換し始めたことを意味しないと説明した。また、「インフレが通貨供給量と密接な関係を持っていると、これまでの経験からみて、2008年以後通貨供給量が急激に増加したため、今後中国の民衆は高インフレ率の時代に耐えていかなければならない」と言った。

 労働市場において労働力が依然と不足している中、経済の不振がもたらす影響について、謝氏は雇用に悪影響を与えないとの認識を示している。一部の企業が倒産したとしても、失業者はその他の労働力不足の部門へ流れるはずだという。

 さらに、中国経済の成長ペースが緩やかになった状況について、謝氏は悲観的認識を持っておらず、これまで30数年の経済発展は量的な成長であり、雇用の拡大により低コスト競争優位が実現された。したがって、今後の中国経済発展は単に量的成長を追求するのではなく、経済成長モデルの転換が求められている。

 「短期的にA株式市場における大きな上昇はないだろう」

 謝氏は中国のA株式市場において短期間にブル相場が現れないと明言した。また、A株式市場株価を上昇させるため、次の二つの問題の解決が必要だという。一つ目は、目下の貨幣市場では、高利貸の状況が深刻で、利息は20%にも上っており、利潤の最大化を追求する資金は株式市場へ流れるはずがないため、このような病的金融状況を改善し経済の発展を正常な方向へ向かわせることだ。二つ目は、減税により消費を拡大させ、富を国民に還流し、資金を「体内で」循環させることだ。中国の不動産市場や株式市場の市場メカニズムが不完全な面があり、株価の変動の多くは人為的要因が大きいので、今後3~5年の間、A株のブル市場が現れるのは困難であるとの認識を示した。

(翻訳編集・林語凡)


 (11/11/21 09:26)  





■キーワード
通貨政策  不動産市場  株式市場  インフレ  バブル経済  


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