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北京のある住宅展示場(AFP/Getty Images)

北京オフィスビル、空室率50%に バブル崩壊間近か

 【大紀元日本2月18日】米国の不良債権化した不動産ローンの処理を専門とするジャック・ロッドマン(Jack Rodman)氏はこのほど、北京の商業用不動産ビルの空室率が50%に達し、中国不動産市場のバブル崩壊が近づいていると警告した。

 「ブルームバーグ」によると、不良債権化した不動産ローンの売却事業を行っているロッドマン氏は、現在北京に在住し、グローバル・ディストレスト・ソルーションズ・LLC社を率いる。同社は、中国の不動産企業や銀行に、未公開株ファンドやヘッジファンドのアドバイスを提供する。ロッドマン氏によると、現在北京で利用されていない新築オフィスビルは55棟で、またさらに10数棟の利用状況も確認中だという。同氏の統計では、北京のオフィスビルの空室率は50%で、その総面積はドイツの5大オフィス市場が2009年賃貸した商業用スペースの合計よりも広いという。

林立する「空楼」、止まらない建設

 米国シカゴに本社を置く不動産鑑定・調査企業のジョーンズ・ラング・ラサール社によると、北京市内のオフィススペースの供給は増加し続けており、現在920万平方メートルが過剰供給であるのに、2010年はさらに120万平方メートルが加算されるという。

 しかし、北京市政府は市場需要の低迷を無視し、商業用ビルの開発建設を続けている。市政府を筆頭株主に持つ北京市金融街控股股份有限公司は、今年から着手される総面積100万平方メートルの新たなオフィスビル建設プロジェクトを計画している。同社の投資家関係責任者によると、JPモルガン・チェースのような潜在的な顧客と交渉している。

 ジョーンズ・ラング・ラサール社の統計によると、09年、北京オフィスビルの空室率はすでに過去最高の35%に達していた。しかし、市政府当局は同市の商業用地区をさらに倍に拡大しようとしている。

 一方、米国不動産ブローカーのCBリチャード・エリス・グループが世界103地域のオフィス市場を対象に行った調査によると、北京の09年7~9月(第3四半期)の空室率は22・4%に達し、103地域の市場中、第9位となった。しかし同調査には、総工費66億元(約860億円)の北京最高の74階建てビル「第三国貿大厦」(チャイナワールドタワー3)などのオープン予定のオフィスビルは含まれていない。また、銀行や保険会社などの金融機関が購入したオフィススペースの空室率も計算に入れていないという。

 商業用ビル供給の拡大を支える製造業界では、生産過剰問題が深刻化している。09年、中国の鉄鋼過剰生産量は1億3200万トンに達し、世界第2位の鉄鋼生産国である日本の年間生産量より8750トンも多くなっている。また、セメントの過剰生産能力問題も日増しに深刻化している。昨年、中国で新規建設された工場とその他の不動産投資は、前年比67%の拡大で、総額15・2兆元(約198兆円)に達し、ロシアの国内総生産(GDP)を超えたという。

 昨年、不動産の開発・建設企業が中国政府の融資枠である9・2兆元(約120兆円)の一部の資金を取得したため、今後北京にとどまらず中国各地でオフィス空室率が上昇するとみられている。米国モルガン・スタンレーでチーフエコノミストを務めた謝国忠氏と投資家のジェームズ・チャノス氏はこのほど、中国不動産市場にはすでにバブルが形成されたとの見解を示している。

 チャノス氏は1月25日、「ブルームバーグ」の取材に対して、「中国では巨大な不動産と固定資産投資のバブルが発生しており、(中国政府が)温和な金融引き締め措置を採ることは非常に困難になっている」と話した。少し前、チャノス氏は、中国の不動産市場バブルの危険度は昨年11月に起きたドバイ信用危機の1000倍と警告。

 昨年11月末の時点で、中国で建設中の商業用不動産の総面積は、世界一高い160階建てのドバイのブルジュ・ハリファの6800倍になっている。

 謝国忠氏と米国格付大手のフィッチ・レーティングス北京事務所のシャーリーン・シュ氏は、一部の国有企業が経営及び生産に割り当てられていた借入資金を不動産投資に用いたため、現在中国の金融機関にどのくらいの不動産関連債権があるかを把握することは難しいと語っている。

 2月4日、中国銀行業監督管理委員会上海監督管理局は不動産市場の下落に伴い、銀行の不良債権が急増する可能性に懸念を示している。不動産価格が10%下落した場合、有担保融資の焦付比率は現在の3倍に増えることが示唆されている。

不動産バブルの崩壊を懸念する投資家

 一方、中国の不動産及び資産バブルの崩壊を懸念する投資家は急増している。「ブルームバーク」が1月19日に行った投資家意識に関する四半期調査によると、中国経済をバブルと認識する投資家は全体の6割で、また3割の投資家は中国の下振れリスクが最も大きいと示した。不動産バブル崩壊により、債務不履行の発生で中国の金融機関が深刻なダメージを受け、中国の経済成長が阻まれると懸念される。

 投資家の心理を反映したかのように、今年に入ってから、香港株式市場に上場している中国工商銀行の株価はすでに13%下落し、中国建設銀行の株価も11%下落した。その影響で、香港株式市場主要株指数である恒生指数が7・3%の下げ幅を記録した。

 謝国忠氏は今後、中国の銀行の資産負債バランスシートがさらに悪化するとの見通しを示した。謝氏は本紙の取材に対して、「より多くの有担保融資が不良債権化する」との予想を示した。

 一方、ジャック・ロッドマン氏は、「世界の他国と比べて、中国は最も多くの空きビルを有する国で、その状況が銀行の資産負債バランスシートに反映されていない唯一の国でもある」と語った。

日本の教訓を生かすべきだ

 清華大学経済管理学院准教授のパトリック・ホバネツ氏は、中国は日本の教訓を生かすべきで、現在の中国にはバブル期の日本と同様なリスクがあると述べている。過度な投資ブームが引き金となる80年代から90年代に続いた日本のバブル景気において、日経平均は6倍急上昇した。また、バブル崩壊直前まで、東京都心の商業用不動産価格は4倍も値上がりした。バブル崩壊後、日本は長い間景気低迷が続き、「失われた10年」を迎える。

 ホバネツ氏は「現在中国の国有企業は政府からの融資資金を不動産市場に投じて、驚くほどのペースで北京の不動産価格を上昇させている」と指摘する。

 今年1月、中国の銀行の貸出総額は1・39兆元(約18兆1千億円)に達し、09年10~12月(第4四半期)の3カ月貸出の合計を超えた。また統計によると、中国70の都市の不動産価格は前年同期比で9・5%上昇し、21カ月以来最大の上昇幅を記録した。

 状況の深刻さにようやく気付いた中国政府は1月27日、銀行業監督管理委員会のホームページで、各銀行に対して融資の拡大を「合理的にコントロールせよ」との声明を発表した。そして、2月12日中央銀行である中国人民銀行は預金準備率を0・5%引き上げ、2月25日から実施することを発表した。1月18日に続き、今年に入ってから2回目の利上げとなった。

 国内外の金融大手事務所が多く所在する「中国のウォール街」と呼ばれる北京金融街には、国有金融管理大手の「中国華融資産管理公司」の本社が置かれる。1999年に設立された同社の使命は金融機関の不良資産を売却することである。

(翻訳編集・張哲)


 (10/02/18 09:16)  





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