アメリカのみならず日本、韓国も 中国防衛識別圏で偵察機を飛行させる

2013年11月29日 11時00分
【大紀元日本11月29日】中国が一方的に宣言した東シナ海上空の「防空識別圏」について、アメリカは同圏が発表された3日後に、グアム基地からB52爆撃機2機を同圏内の尖閣諸島周辺を一時間半近く飛行して同圏の定めを受け入れないとの姿勢を明確に示した。さらに日本政府も同圏が設定されて以後、同じく周辺域で自衛隊の偵察機を飛行させていたことが政府関係者の話で明らかになった。

 菅義偉官房長官は28日の記者会見で、中国当局が防空識別圏を宣言して以後、同地帯で警戒・偵察飛行を継続していることを明かした。具体的に地域、日時などは話していない。日本はその活動を中国には通知していない。米ワシントン・ポストによると、偵察機は自衛隊のロッキード・マーチン社製ターボプロップ哨戒機と見られている。

 また海上自衛隊は米海軍と27、28日両日に沖縄本島東方の太平洋上で軍事共同演習を行った。フィリピンの台風被害の救援で派遣されていた、FA18戦闘攻撃機を載せた米原子力空母「ジョージ・ワシントン」(GW)も参加。海自の大型護衛艦「ひゅうが」など約20隻の艦船が参加した。この訓練は東シナ海で力を誇示している中国を仮想敵とみなした演習とみられている。

 演習後の共同記者会見で松下泰士自衛艦隊司令官は「以前と同じくこの海域での訓練は変わらず行い、中国が出てきたからといって引く必要はない」と述べた。

 安倍首相は25日、同圏について「日本に対して何ら有効性はない」と国会で語っており、また外務省も、一般的な公海上の飛行の自由を重大に侵害していると批判した。

 小野寺防衛相はアメリカのヘーゲル国防長官と電話で会談し、この問題について「両国の連携を強化する」と意見を一致させた。ケネディ駐日大使は「東シナ海の現状を一方的に変えようとする中国の行動は安全保障を損ない、更なる問題を引き起こした」と非難した。

 韓国も偵察機飛行 中国は範囲変更の要求を否定

 一方、韓国も27日に中国と領海争議中の東シナ海に存在する暗礁、蘇岩礁(韓国名イオド)の周辺で、偵察機を飛行させたと同国聯合ニュースが伝えている。記事は「韓国はこの新しい航空域の主張を認めないという姿勢を示した」と報じた。蘇岩礁も防空識別圏内に入っている。

 韓国は28日に開かれた中韓国防戦略対話で、韓国の白承周(ペク・スンジュ)国防次官が同圏の範囲について、出席した中国人民解放軍の王冠中副総参謀長に対して「事前協議なしの防空識別圏の設定に強い遺憾の意」を示し、範囲変更を求めたが、中国は「主権の観点から防空識別圏が設定され変更する考えはない」と要求を拒否した。

 中国の宣言によると、防空識別圏に事前の飛行計画の報告なしに非商業的な飛行機が入る際は軍用機の緊急発進など「防衛的緊急措置」をとると警告している。しかし事前通告のなかった米軍B52爆撃機について、中国の秦剛外務省報道局長は「全ルートを監視していた」と述べるに留まり、具体的な動きはなかった。日韓いずれの飛行についても「緊急措置」が行われたかどうかは定かではない。

 中国、44年前に定めた日本の防空識別圏の撤回求める

 新たな防空識別圏への日本の異議について、中国は激しい態度で反撃している。さらに近44年前に日本が定めた防空識別圏の取り消しを要求している。

 28日、中国国防部報道官・楊宇軍氏は同部ウェブサイト上で「日本が中国の定めた防空識別圏に異議を立てる権利など全くない。44年前に日本が定めた防空識別圏を撤回するならば中国は考える」と述べた。同様の論調は25日、中国軍機関紙『解放軍報』も伝えている。「主権を守ろうとする中国軍の決意を甘く見るな」「大国の顔色をうかがう必要はない」「日本が1969年に防空識別圏を定めたことこそ、危険で一方的だ」と批判している。

 現在の日本の防空識別圏は1945年にGHQが制定した空域をほぼそのまま使用している。1969年にアメリカから日本の防衛庁が引継ぎ、現在は航空自衛隊が管理している。

 (佐渡 道世)

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