NEC<6701.T>と松下電器産業<6752.T>は27日、携帯電話端末を共同開発する合弁会社を10月上旬に設立すると発表した。併せて両社は、米テキサス・インスツルメンツ(TI)と、携帯電話向け半導体の企画・設計をはじめとした通信プラットフォームの開発会社を8月に設立することも発表した。半導体の企画からソフトウェアの開発まで幅広く協業することで、ともに不振が続く携帯電話端末事業の建て直しを図る。
両社は端末の製造と販売は統合せず、それぞれのブランドを残す。共通化した部品やミドルウェア、アプリケーションは、2007年度から順次、両社の端末に搭載していく。
両社は01年に携帯電話開発の協業を開始したが、共通化できているのは全体の2割程度にとどまっているとみられる。合弁会社を設立し、共通化の作業を9割程度にまで拡大することで、1機種あたり150億円─200億円とされる端末の開発コストを大幅に削減する。会見した松下の大坪文雄社長は「開発効率を最大限に高めたい。そこで生み出されたリソースは、それぞれの(会社の端末の)差別化につぎこむ」と述べた。
また、両社はTIを巻き込むことで、携帯事業がつまづくきっかけとなった海外市場での巻き返しを狙う。NECの矢野社長は「今は国内でしっかりシェアを取ることが大事だと考えているが、海外は将来の課題。海外展開についてはこれで仕切りなおす」と語った。
10月に設立予定の端末開発会社の出資金は1億円。NECと、松下の携帯電話端末子会社パナソニックモバイルコミュニケーションズが折半出資する。8月に設立するプラットフォームの開発会社の出資金は120億円(資本金60億円、資本準備金60億)で、NECとNECエレクトロニクス<6723.T>が44%、松下とパナソニックモバイルが44%、TIが12%出資する。当初の従業員はそれぞれ140人と180人で、今後さらに増員する。
NECの携帯電話事業は海外で振るわず、2006年3月期に約250億円の営業赤字を計上し、建て直しが必要になっている。松下も、06年3月期の携帯電話事業は約84億円の営業赤字だった。
(ロイター7月27日=東京)
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