THE EPOCH TIMES

私が見た内モンゴル草原破壊の過程 (四)

2010年10月23日 07時00分
 【大紀元日本10月23日】

 植樹で草原砂漠化問題が解決できるのか

 日本や韓国には、中国砂漠化問題について研究する人が少なくない。中国に入って植樹する人もいれば、黄砂観測所を作る人もいると聞く。気持ちは嬉しいが、やり方は良くないと言わざるを得ない。なぜならば、このような方法は砂漠化問題を解決することができないばかりでなく、中国共産党を支持することになるからだ。同党は外国との友好関係を利用し、国民に対しては「ほら、外国人まで支援してくれる。これは、政府の外交関係がうまくいっているお陰だ。だから、政府に感謝しろ」と言うに決まっているからだ。

 実は、中国砂漠化問題についての外国人の研究と解決方法はすべて間違っている。2003年夏、私が「日中韓・青年環境研究会」に参加した時、日本の環境省のある先生が中国砂漠化問題について発表した。彼はプロジェクターで写真(写真はネットからダウンロードしたらしい)を見せながら、植樹による砂漠化の防止について説明した。最後に、緑葉が盛んな高さ1メートルぐらいの樹の写真を見せてくれた。彼は、このような方法で砂漠化を食い止めることができ、効果がある、ということを言いたかったのだろう。

 私はその時、この先生は草原についてあまり詳しくないだろうと思った。彼が述べたことは、事実ではない。植樹する時、運よく雨が多ければあのような状態になるかも知れないが、少し経つと状態は全く正反対になってしまう。内モンゴル草原では、数ヶ月大雨が降らないのは極普通のことだ。従って、植えた樹が元気よく成長しているように見えても、最後にはほとんど枯れてしまう。枯れるまで至らなくとも、冬に大雪が降ると動物に食われて死んでしまう。特にロバはポプラの皮まで咬み取って食べてしまう。

 植樹によって草原砂漠問題が解決できるなら、恐らく中国の砂漠問題はとっくに解決できただろう。中国は30年前から「植樹造林」を始め、現在も毎年植樹している。植樹の累計面積は中国国土の面積を超えるほどなのに、なぜ砂漠化問題はますます酷くなるのだろうか。実際、「草原に植樹して砂漠化を防止しようとすることは、無駄なこと」と草原に住んでいる人なら、誰でも知っているのだ。沙に樹を植えて成長することはない。樹が成長しないだけでなく、逆に砂漠化を加速化するだけだ。なぜならば、砂漠化してないところと完全に砂漠化したところには植樹する人がいないからだ。植樹するのは、すでに砂漠化が始まっているが、まだ完全に砂漠化してない「半砂漠化」したところだけだ。このような場所は、いじらなければもっと長く持つかもしれないが、いじると、まるで薬草を掘るかのように、樹は成長しない。しかも、穴を掘ってしまうので、逆に砂漠化を加速することになるのだ。

  草原砂漠化の原因

 以上は、自分が経験したことである。一部のことはたいしたことではないように見えるし、小さくて取り上げる価値もないように見えるだろう。しかし、取り上げる価値のない小さなことだからこそ今日まで無視され、大きな問題に発展したのではないだろうか。ほとんどの問題は、発生を食い止められる可能性が十分にあったと思う。例えば、内モンゴル草原の一部は、うまく利用すれば農作物を作ることができるのだ。一部の放牧地は土質の粘性が高いので、うまく利用すれば砂漠にならないはずである。しかし、政府があっちこっち荒地を開墾することを勧めたため、不毛の土地となってしまったのである。

 農民の薪の問題も同じで、当時「生産隊」という集団生産が営まれていたが、収穫した水稲は全部村の「脱穀場」に持って来て、そこで脱穀したので、そこにはわらが山ほど積まれていた。わらは翌年秋までそこにそのまま置かれ、脱穀するために掃除する時はすでに腐っていた。それを村民に割り当てれば、燃料にもなるし、翌年は掃除しなくてもよい。しかし、それは「集団の財産だから」と言って、政府はたとえ捨てるだけのものでも、決して村人たちにあげなかった。現在では、「生産隊」というものがなくなり、そこに住んでいる人たちは皆、個人個人で水稲のわらを燃料とし、生活している。

 薬草の問題も同じで、中国の歴史上、各王朝においても、今のように政府から全国範囲で大量に薬草を購入したことはなかった。実は、すべての薬草の効果は全く同じとは言えない。薬草の年齢によって、或いは掘る時期によって、効果も違う。私は年配の漢方の医者を知っていたが、彼はよく山に行き、薬草を取っていた。彼によると、薬局から買って来た薬草の効果はあまりないというのだ。そうかも知れない。私達が薬草を掘る時、見つけたものは何でも掘った。皮を剥いて売るべき薬草は、水に浸けて長靴で踏んで皮を剥いた。このように踏まれた薬草の効果が良いはずがないだろう。従って、国が大量に薬草を購入するのは、経済効果は良いかも知れないが、医学的には良くないと思う。良い薬草を取れないだけでなく、全国の薬草資源を完全に破壊してしまうことになるからだ。

 野生動物も同じで、国には法律があるにも関わらず、野生の動物を狩る人には法律を執行すべき警察が関わっている。私には警察の友人が数人いるが、彼らからよくノロジカを狩った経験を聞かせてくれた。従って、国に法律があっても役に立たない。政策や法律を制定する人、執行する人、執行を監視する人、法律に違反する人、すべてがそのグループの人であり、みんな中国共産党の幹部である。これが中国砂漠化問題の根本だろう。

  終わりに

 草原破壊について、素人には分からなくとも、代々草原に住んできたモンゴル人にははっきりと分かっている。モンゴル人は、草原開発についてずっと反対してきたのである。中国共産党が1970年代後半から「改革開放」政策を実施し、西部開発を全面的に進めようとした時、モンゴル人は激しく反対した。1981年末、モンゴルの大学生たちはデモを行い、西部開発に抗議したが、中共は学生たちに「内モンゴル独立」のレッテルを貼り、学生を弾圧した。すでに30年が経ち、誰が正しいかの答は出た。しかし、失ったものは永遠に戻ってくることはないだろう。

 中国語には「一方水土養一方人」という諺がある。地理や気候、環境によりその地域の生活習慣や生存方式は異なるという意味だ。数百年から数千年に渡って伝えられて来たモンゴル人の遊牧文化は、誰かが勝手に作ったものではない。それを人為的に、無理やり変えようとしたから今日の砂漠化問題が起こったのではないだろうか。「郷に入れば郷に従え」と言われるように、モンゴルに入って生活したければ、モンゴル人のように遊牧生活をすれば何の問題も起こらない。砂漠化問題を徹底的に解決するには、モンゴル人に草原を任せればいいのだ。

(完)

高峰一(コウ・ホウイツ)
著者略歴:
内モンゴル生まれ。1989年に延辺大学修士を卒業し、その後8年間、地元で環境保護の仕事に携わる。1997年に来日し、2003年、東京工業大学博士課程を修了。現在、日本企業に勤務。
 
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