中国の医療をめぐる汚職

2005年11月18日 14時31分
 【大紀元日本11月18日】中国大陸の医薬システムはすでに深刻な腐敗の巣窟となっている。政府側の資料によると、中国の製薬業界では毎年7億7200万元の国家資産が薬品を購入する医療関係者の懐へ流れており、その総額は中国における一年間の税収の約16%に及ぶ。中国政府は、この10年間の医療体制改革が失敗に終わったと公式に認めた。

 世論調査によると、90%の人がこの10年間の医療体制改革に不満を持っていることが明らかとなった。80%以上の人が、病院は公益事業ではなく営利事業であると認識している。医薬品費用の負担が重いため医者にかかるのが難しいのである。このことはすでに中国社会の最大の難問の一つとなっている。

 医薬品販売における深刻な贈収賄

 香港メディアの報道によると、最近中国共産党中央紀律委員会、最高人民検察院、最高人民法院、商務部などが商業における贈収賄防止に関する座談会を開催し、多くの収賄、汚職の問題を取り上げた。中でも注目されたのが、生命を救うための医療・衛生部門がすでに深刻な腐敗の巣窟となっていることであった。

 報道によると、腐敗の原因は中国の製薬会社が多数あり、医薬品の販売競争が激化したことであるという。各製薬会社は、医薬品、医療機器などを販売するために病院長、薬剤課および臨床医などに対して積極的に贈賄を行っている。

 医薬品のセールスマンが病院や個人に贈賄するためには、商品の販売を通じてリベートを捻出しなければならない。そのため、製薬会社は医薬品の価格を吊り上げ、脱税などを行う。この結果、医療保険金の支出が増大するとともに、患者の経済的負担も重くなるのである。

 医者を養うための病院による薬店経営

 VOAの報道によると、医療体制改革に関心を持つ北京在住の李さんは「現在は病院も改革のさなかにある。病院は収益を上げるために薬店を開業し、その売り上げで医者を養っている。そのため病院の医薬品の価格は街頭の薬店よりもかなり高い値段となっている。また、患者が入院する時にはその費用の一部が先払いとなっており、支払えない人は入院できない。『死地にある者や傷病者を救う、医療は徳が第一』という医療の伝統と基本がだんだん失われ、病院は企業と同様、お金を得ることを目的とした、純粋に経済利益を追い求める組織となってしまった」と語った。

 李さんは、「病院に来た患者に対しては病状など何も質問せずに、まず検査表を持たせる。頭痛や発熱であってもまずあれこれ検査する。お金がほしいからである。検査が済むと薬を処方する。しかも高価な薬ばかりを与える。だから私は、これは医療の質の問題であり、医者の医療に対する態度の問題でもある。本当に失望するね」と言う。

 定年退職した北京在住の沈さんはVOAに対してこう答えた。「現在は医者にかかるのも費用が高すぎる。一ヶ月の収入が1000元ぐらいの人から、風邪のような小さな病気で数百元も支払わせる。これでは医者に行くわけにはいかない。解雇された者や、退職した者は全く医者に見てもらえない。ちょっとした頭痛や風邪で数百元も取られてはたまらないから、野菜やスープを買って、薬店で買った薬と一緒に飲むんだ」。

 偽薬で20万人が命を落とす

 中国のメディアによると、医薬品の病院内での価格は工場出荷時の価格の10倍にも及んでいる。病院の費用が高すぎるため、多くの市民はお金を節約するために薬店で薬を買って飲んでいる。そのため偽医薬品市場が形成され、そこで暴利がむさぼられているという。統計によると。中国の偽医薬品は医薬品の10~15%を占めており、このような偽医薬品によって20万人以上もの人々が命を落としている。

 中国の1000万人の聾唖者の中で、少なくとも60~80%は不良な医薬品の副作用によって機能障害を起こした者たちである。中国では医薬品の管理をめぐる重大な問題が残されている。

 今月初め、山東省衛生部門が省内の一部の新聞に掲載された医療広告を対象に調べたところ、895社の広告のうち、2社だけが基準を満たしており、合格率はわずか0.22%であった。

 65%の中国人には医療保険がない

 『北京青年報』の報道によると、中国の農村で病死した児童の半数が必要な治療を受けていなかったことが明らかとなった。

 現在中国の都市部では32%の住民がいずれの医療保険にも加入していない。小規模な町では60%、農村にいたっては80%もの人が加入していない。平均すると、中国の65%の人が何ら医療保険を受けていないことになる。

 高強・中国衛生部長は中国の衛生事情に関する報告で次のように述べた。「医者にかかるのには多額の費用がかかる。現在もますます上昇をつづける医療費のレベルでは、医者の門をたたくのをためらってしまう。多くの人々は、病気になっても医者にかからず耐えることに慣れてしまったのである」。彼は中国における十年来の医療改革が根本から失敗していることを認めている。

 中国の医療システムにはびこる様々な弊害に対して、多くの給与所得労働者は大いに不満を示し、その結果社会不安が広がっている。中国メディアの報道によると、お金がないために医者にかかることができないとか、あるいは必死になって集めたお金を持って医者にかかったにも関わらず、受けた医療の質が極端に悪かったために失望したなどの理由で自殺や暴力に走る事件が多発しているという。

(記者・張小敏)


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