自民党東京都連は28日夕、都内で「東京政経フォーラム」(東京ブロック大会)を開き、9月の総裁選に向け安倍官房長官らポスト小泉候補が初めて顔を合わせた。このうち、安倍氏と出馬表明したばかりの谷垣財務相との間で、外交問題についてわずかに意見の違いが見られた。
東京ブロック大会のパネルディスカッションには安倍、谷垣両氏が出席したほか、海外出張中の麻生外相がビデオ参加した。また東京代表として与謝野経済財政・金融担当相も議論に加わった。東京地区の自民党員5300人に、それぞれの考え方を訴えた。
石原伸晃都連会長をコーディネーターとして、「大志交流、ニューリーダーその先の日本を語る」をテーマに、外交のほか教育、社会、都市と地方といった分野について議論した。ただ、反論という形では展開されず、政策論戦としては低調だった。
討論会では、安倍氏が日米関係について「他で代替できない関係だ」とし「条約があるから必ずそうやる(日本を守る)ということではない」、「日米関係を重要視し、信頼関係を作っていく」とし、引き続き日米関係を軸とした外交政策の重要性を強調した。
アジア外交に関しては「日中の経済関係から利益を得ていることをしっかり確認する必要がある。政治目的を達成するために、経済に嫌がらせをしないことは大切なことだと思う」とし、「靖国神社に参拝するからといって、首脳会談をしないということでいいのか」と小泉首相の立場を擁護した。
一方、谷垣氏は、日米、日欧関係は大事だとしながらも、「アジアとの経済関係をどうするかということが非常に重要だ」とした。また、東アジア諸国との貿易が増大していることを挙げたうえで、金融危機が再び起きないようにする仕組みを作ることが大事だと指摘した。
谷垣氏は27日の出馬表明会見で 中韓などと相互の理解、信頼を深めることで「アジア共通の利益を拡大する必要性を考えることが重要だ」とし、首脳同士の会談が開かれていないことを「異常な関係だ」と小泉外交を暗に批判、その原因とされる靖国問題に関連し「参拝は控える」と明言した。この日の討論会では「最後は首脳外交が行われるようになることが重要だ」とトーンダウンしたが、引き続き首脳外交の重要性を強調した。
自民党はこの後、全国9カ所でブロック大会を開催する。
[ロイター28日=東京]
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