「あなたがもし裁判員に選ばれたら」=日弁連・仲田信範弁護士

2006年11月22日 08時56分
 【大紀元日本11月22日】一般市民の良識を裁判に生かすため、市民から無作為抽出された裁判員らが判断を下すという裁判員制度(陪審員制度)が平成21年から開始されるのを受けて、日本弁護士連合会の協力の下、東京都立図書館の主催により、第二東京弁護士会所属・仲田信範弁護士(63)が18日、同図書館内講義室にて「あなたがもし裁判員に選ばれたら」という演題で講演を行い、三年後に始まる新制度の諸問題点について言及解説した。仲田氏は、平成14年度「日本弁護士連合会理事」、平成16年度には「司法改革東京ミーティング実行委員会副委員長」を歴任。

 陪審員制度は現在、英・米・露を始めとして世界80以上の国や地域ですでに定着している「市民参加型」の司法制度で、日本の新制度では、対象を刑事事件に絞り、裁判員(陪審員)は、選挙人名簿から「くじ」で選出される。裁判員6人、裁判官3人で議論し、有罪・無罪を判断、有罪の場合には刑罰も決めるというものだ。

 仲田弁護士は、日弁連の一員として制度作りに努力してきた関係から新制度を歓迎するとしたものの、従来の刑事事件審理が一月に一回、年間10回程度であったものが、これからは大抵が一週間以内、2~3日で8~9割が片付けられるため、「大変な集中力」が必要であり、実務家から見て種々の問題点を含んでいるとの認識を示した。

 また、これまで刑事裁判が「書面審理」であったものが、評議によって問題点を明らかにするのは「難しい作業」であるとしながらも、これまで日本で陪審員制度が行われていた経緯について言及、10月1日が「法の日」であり、1924年(昭和2年)に陪審員制度が初めて実施された記念日であって、1943年に戦争のために「一時中断」したと過去の実績について説明した。

 日本の陪審員制度は、戦前の政治家・原敬氏が「日本に民主主義を根付かせる」ために提唱導入したものであったが、暗殺されたため自ら日の目を見ることはなかったが、その後この陪審員制度の下で刑事事件約500件が審理された過去があるため、「日本には陪審員制度の経験がある」と述べた。

 審理・評議のポイントとして、検事が国家機関の代表だからといって「絶対に間違いは無い」と先入観を持たないこと、捜査が適正に行われ違法な証拠が提出されていないかを見極めることが重要で、被告は自白を強要されてないか、冤罪はこれによってしばしば起こると指摘した。被告人は、検事によって「有罪」と証明されない限り、「無罪」と推定されるのであって、検察が「アリバイ」「正当防衛」についてなかったと立証義務を果たしているか否かを見ればよいのであって、検事が言っていることが正しいのか、弁護士が言っていることが正しいのかの「二者択一ではない」と説明した。

 欧米を中心してアジアの韓国、香港でも取調べ中の情況がビデオ撮影され、自白の強要がなかったか、この記録を検事がチェックする体制ができているが、日本ではこの体制が整っておらず、これからの課題だと指摘した。また、検察官と弁護士・被告人は、必ずしも「対等の関係」ではなく、一方は国家権力を代表しており、警察当局が一般市民に「証人になってくれ」と要請しても断られることがほとんどないが、弁護士が頼むと「後顧の憂い」から拒否されがちだと指摘した。

 仲田弁護士は閉会の辞として、「裁判員制度は、米国では400年、英国では1000年近い歴史があり、市民が裁判に参加するのは当たり前の義務として定着している。これは、民主的社会の根幹を成すものであり、法律、裁判を定着させる礎にもなっている。こういった意味では日本は後進国。これからの特に若い人たちの活躍を願っている」と次世代への期待感で締め括った。

 

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