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防衛省防衛研究所主任研究官の兵頭慎治氏(写真=大紀元)

グルジア紛争に見る、米国一極性の揺らぎ

 【大紀元日本9月13日】ロシア軍によるグルジア侵攻で国際情勢が緊迫する中、笹川平和財団の招きにより、防衛省防衛研究所主任研究官の兵頭慎治氏が11日午後、都内虎ノ門の日本財団で「ロシア軍によるグルジアへの軍事行動をどう読むか」の報告を行い、米ロ両国はテロとの戦いで着実に協力関係を構築しつつあったが、米国は中東での二正面作戦で余裕がなくなり、これにロシアが目を付けてグルジアに侵攻、米国の安全保障面での一極性は揺らぎつつあるとの認識を示した。兵頭氏は11日夜のNHK番組「クローズアップ現代」にも出演、同様の認識を示した。

 ロシアは2007年12月に欧州通常戦力条約(CFE:欧州における通常戦力の上限を定める)の履行を停止、2007年8月にはグルジア国境付近の南オセチア領内で「カフカス2008」という8000人規模の演習を行っており、同氏は今回の侵攻を偶発的なものではないとの認識を示すと同時に、9・11以降に世界の安全保障はテロとの戦いという新局面を迎えていたが、「民族と領土」という在来型の紛争が21世紀にも再発するということを改めて提示したものだと指摘した。

 グルジア軍が南オセチアに侵攻した8月7日未明、ロシアの実権を握るプーチン首相は北京五輪でクレムリンに不在、メドベージェフ大統領は休暇、北カフカス司令官も司令部に不在、9日の午前にはロシア軍は猛反撃に出てグルジア中部のゴリ、黒海のソチ港にまで侵攻した後に駐留を続けていることから、「ロシア側が敢えてノーガードで誘った」との穿った見方が一部にあるが、同氏は「むしろロシア側が(指揮系統の)虚をつかれた形。グルジア軍は欧米から装備を調達して現代化されていたが、将兵の士気がいまいちまとまっていなかった。双方で正規軍・民兵も合わせて、それぞれ3万の勢力が衝突した」との見方を示した。

 グルジアでは2003年のバラ革命以降、サカシュビリ政権が内政的には民族主義、対外的には親米路線を打ち出し欧州連合に接近、領内にカスピ海の天然ガスパイプラインを敷設するなどロシア側の逆鱗に触れる行為を連発、ロシアのメドベージェフ大統領は、「米露冷戦も辞さない」「G8脱退も辞さない」と発言するなど緊張感が高まっていた。ソ連邦の崩壊以降、国内の民主化と市場の自由化を図ってきたロシアであったが、従来の勢力圏であったウクライナやポーランドが西側を志向するなかで、ガスプロム社によるエネルギー支配で旧ソ連勢力圏の奪還を目論んでいたことは確か、米国の中東作戦で「鬼の居ぬ間の洗濯」が本音であったようだ。

(記者・青嵐)

 (08/09/13 07:12)  





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