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声に出す吟詠の楽しさ

 【大紀元日本1月4日】漢詩や和歌を独特な節回しで詠う詩吟は、日本の古典芸能の一つ。現在のような形になったのは、江戸から明治にかけてと比較的最近であるが、今では、剣道や空手、茶道、華道、舞踊などの、日本の伝統文化とのコラボレーション(共同制作)が盛んだ。全国に愛好者がいる詩吟について、社団法人・日本吟道学院(東京都文京区)の
総裁・浪口宗神さん=写真=に話を伺った。

 同学院は故渡辺龍神(本名・渡辺彰平)の主導により、昭和55年に設立された。同学院の「憲章」には「近代音楽として科学的な吟詠の普及」と謳われており、その教材の豊富さと、入門者への配慮が充実している。

 詩吟というと、漢詩の知識や節回しなど難しさが先行するが、浪口さんの温厚な笑顔と、静かな語り口でそのイメージは払拭された。浪口さんは「声に出す吟詠の楽しさを先ず体験すること」の大切さを強調する。

 詩吟は、そのルーツを辿ると古代にまで遡ると思われるが、現在のような吟詠の原型は、江戸時代後期の私塾や藩校で漢詩を素読する際に独特な節調をつけたことから始まった。主に武士階級のたしなみの一つだったものが、明治から昭和初期にかけて、普及運動が始まった。

 詩吟は、戦時中、国威高揚の道具として利用された。戦後、そうした負のイメージが一人歩きし、毛嫌いする人が多いが、音楽性や創作性などの詩吟が本来持つ芸術性に目を向けてもらえるよう、愛好者は努力を重ねている。

 幼稚園で詩吟を指導したところ、園児の発表会を見て感動した、その祖父母が詩吟を見直し、始めたケースもあるという。

 一人で吟じる独吟、複数人が順に繋げる連吟、合唱する合吟など、様々なスタイルで吟詠を楽しめるほか、琴や尺八を伴奏を付けたり、テーマに沿った複数の吟目を舞台照明や映像などを駆使して演出する舞台芸術の側面も持つ。

 また、剣道や居合い、柔道や空手、華道や茶道などの日本の伝統文化との共同制作の舞台も盛んで、まさに日本文化の牽引役と言える。

 同学院は、唐代の詩人・李白の縁のある中国安徽省との詩の交流を重ねている。浪口さんによると、かつて中国にも吟詠を楽しむ形態はあったと言われているが、伝統としては残っておらず、中国の関係者も日本の詩吟に関心を示しているという。

 同学院のホームページは、「日本吟道学院」で検索するとトップに出てくる。「詩吟のすすめ」のページには、各教材の案内があり、中でも少年少女の吟詠教本「未来の星たちへ」のCDが試聴できる。わかりやすい解説で、清涼感のある吟声が楽しめる。

(記者・佐藤)

 (09/01/04 06:35)