THE EPOCH TIMES

土地収用で警官ら暴行 村民30人重軽傷=中国重慶

2011年05月03日 08時14分
 【大紀元日本5月3日】四川省重慶市江北区魚嘴鎮の楼房村で4月20日、現地政府による土地収用をめぐって警察が村民に暴行を加え、村民30人以上が重軽傷を負う事件が発生した。半数を超える20人以上が重傷で、そのうち2人は暴行を受けた当時から危篤状態が続いていた。2人の現在の容態は、その生死も含めて不明。事件発生後、数千人に上る村民が魚嘴鎮(鎮は村の上の行政単位)の役場に押しかけ、事件の説明を求めるとともに、暴行の首謀者と実行犯を厳重に処罰するよう要求した。

 「殴れ、やっちまえ」村民を無差別殴打

 4月20日午前10時ごろ、工事を強行するため重慶市政府当局の率いる実行部隊が魚嘴鎮に到着した。その数は千人近くで、警察・保安(公職ではなく雇われた警備員)の他に、暴力団と見られる黒服の一団も含まれている。

 不穏な空気のまま、しばらく対峙が続いた。正午近く、村民が昼食をとりに帰宅したのを見た政府側の一団が、棍棒や鉄パイプを武器に、見張りのために残っていた年配の村民らに襲い掛かった。

 事態は急速に悪化した。村民の証言によるとその時、強制立ち退きの指揮を執った江北区社会総合管理室の陳仁高・副主任が、自ら拡声器を取って、「殴れ。死ぬまでやっちまえ。一人叩き殺したら賞金5万元だ」などと叫び、暴力行為を煽ったという。

 村民の張さんは、次のように話す。

 「やつらは暴力団も含めて千人近くいた。わしらを包囲して滅多打ちにしたんだ。80歳の年寄りだって容赦しなかった。60歳を超える村民ばかり、30人以上が負傷した。そのうち20人以上が重傷で、2人は意識不明の危篤状態だ」

 村民の話によると、重傷を負った村民の中には、両手足すべて骨折させられた人もいた。頚椎が折れた70歳の村民もいる。頭部を切られて出血した人は多く、逃げた河の中まで追いかけられ岸に引き上げられて再び殴打された人もいるなど、現場は極めて悲惨なものになった。女性や子供まで、押さえつけられて殴られたという。

 
現場に現れた警察と雇われた黒服の暴力団員(ネット写真)

手に鉄パイプを持っている暴力団員(ネット写真)

顔や手から出血している村民(ネット写真)

意識不明になった村民(ネット写真)

証拠隠滅はかる当局を、村民阻止


 同日午後、現地当局は公安関係者を再度現場へ派遣して、大規模な暴力行為に及んだ物的証拠を持ち去ろうとしたが、村民らによって阻止された。そこで当局は、毎日数十台の警察車両を出して現場を包囲し、監視を続けている。現地政府は、この件に関する情報を封鎖した。また、このような状況のため、中国国内メディアも現地取材には消極的であるという。

 負傷した村民は複数の病院で治療しているが、その治療費を誰が負担するかについてもまだ決まっていない。村民の張さんによれば、現在、被害を受けた負傷者は分散しているため、彼らを集めることは難しいという。

 抗議者数千人、役場を包囲

 事件発生後、怒った村民らは横断幕を掲げて魚嘴鎮の政府(役場)に押しかけ、事件の説明を求めるとともに、暴行の首謀者と実行犯を厳重に処罰するよう要求した。

 集まった村民は数千人と言われているが、村民らに囲まれた役場の門は、事件発生以来、開かれていない。鎮政府の前では、多くの民衆が村民の掲げる横断幕や写真を目にした。被害を受けた村民に同情して、村民の支援のためにお金を寄付する人もいた。

 今回の事件について本紙記者が、重慶市江北区魚嘴鎮政府に電話で問い合わせたところ、応対した男の職員は、「この件については江北区の(共産党)宣伝部が、対外向けにコメントしている」とだけ答えた。

 
抗議のため鎮政府前に集まった村民(ネット写真)

抗議のため鎮政府前に集まった村民(ネット写真)

低額すぎる補償


 今回の事件の背景には、重慶市のコンテナ埠頭「果園港」建設に関係する土地収用とその補償問題がある。果園港は、中国内陸部における最大級の港を目指し、長江物流の重要拠点の一つとして、昨年9月より第二期工事が進められてきた。魚嘴鎮は、その土地収用の対象となっていた。

 魚嘴鎮の楼房村でも昨年、土地収用が言い渡され11月に立ち退きを求められていた。これに対して村民は、当局が提示した補償金額は2008年の補償基準であり、近年急激に高騰している現在の物価に見合わず、生活できないとして合意に達しなかった。

 政府当局から示された住宅の補償額は1㎡あたり300元(約3900円)だが、現在、都市部の住宅価格は1㎡あたり4千元~6千元であり、とても新しい住宅を購入することはできないとして、立ち退きの対象となっている魚嘴鎮の仰山村、楼房村、井池村、果園村など各村の住民の不満を招いている。

 また、新しい住居が定まるまでの一時補助金として毎月200元(約2600円)が支給されるが、同地区で2部屋ある賃貸住宅の家賃は毎月千元(約1万3千円)と高く、その他に水や電気の費用もかかるため全く足りないと、補助金の低さについても村民は訴える。

 村民の張さんは、「政府当局による土地収用とその補償は、あまりにも腐敗している。民間業者と癒着しているため正当な手続きもされない。安値で土地を買い叩き高値で販売する、まさに違法な土地収用だ」と述べるとともに、現地政府に対して村民はこれまで何度も書面で訴えてきたが、当局はそれに回答しないばかりか、いつも暴力で村民を弾圧してきたと指摘した。

(翻訳編集・余靜)


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