THE EPOCH TIMES

ひき逃げされ重体の2歳児を18人が放置 「惻隠の情が根絶」

2011年10月19日 10時57分
 【大紀元日本10月19日】 広東省佛山市で13日、現地時間午後5時25分頃、悦悦(2歳女児)ちゃんが続けて2台の車にひき逃げされるという事件が発生した。当時、血まみれで倒れていた幼女の前を、18人の通行人は目撃しながらも素通りし、助けの手を差し伸べなかった。最後に女児を救助したのは廃材拾いの中年女性だった。この事件が報道されてから、中国社会で大きな波紋をよんでいる。

 現場は同市黄岐鎮広佛五金城。広東省南方テレビは当時の一部始終を収めた監視カメラの映像を放送した。一回目にひき逃げされた直後、悦悦ちゃんはまだ意識がある様子だった。その直後に3人が現場を目撃しながらも通り過ぎた。そして更に、もう一台のトラックが彼女の上を通過した。

 その後、15人が血まみれの彼女の側を素通りした。約7分後の5時31分、廃材拾いの中年女性が現場を通り、悦悦ちゃんを地面から抱き上げて大声で助けを求めた。その声を聞いた悦悦ちゃんの母親が駆けつけ、すでに意識がなくなっていた娘を病院に搬送した。

 悦悦ちゃんはいま広州市軍区総病院の救急救命室で治療を受けている。主治医は「脳死とまだ断定できないが、生存する確率は低い」と話した。

 現地メディアが本件を報道してから、中国社会で強い反響を呼んでいる。「恐ろしすぎる。わが国の人間性、道徳はとうとうここまで堕ちてきたのか」「引き裂かれたのはこの女児だけではなく、いまの社会の良識だ」「このような国民、このような国、金があっても強くなっても、なんの意味があるのか」「罪悪が満ちるこの社会制度こそ、このような残忍無情な運転手と通行人を作り上げたのだ」とネットユーザーらは憤慨する。

 「映像を見て、強烈な民族コンプレックスに打ち砕かれた。このコンプレックスは18の天宮1号(中国初の無人宇宙実験室、先月末に打ち上げられた)を打ち上げても解消できない」。俳優の袁弘氏は微博にこう書き込んだ。

 英紙デイリー・テレグラフの北京駐在記者はこのように綴った。「これは大勢の中国人に不安をもたらすニュースだ。人々はある憂慮すべき問題に直面している。つまり、30年間の経済発展は道徳の空白を導いたのではないか」

 米VOAは「『驚愕』という言葉を使わざるをえない」と評した。「中国の経済成長は驚愕的。中国の食品安全状況も驚愕的。中国の金持ちの奢侈品購買力は驚愕的。社会主義を建設し、最終目標を共産主義とする中国での富の一極集中の早さと規模も驚愕的。そして13日、中国はふたたび国際社会を絶句させる衝撃的で悲痛な『驚愕』を作り上げた」

 VOAはさらに中国古来の「見義勇為(正義のために勇敢に戦う)」「惻隠之心(惻隠の情)」といった美徳はすでに根絶に瀕していると指摘した。「これは文化的事象ではなく、政治的事象だ。中国共産党とその政権が一貫として政治や法律の手段で『見義勇為』の士と『惻隠之心』を堅持する人を残酷に弾圧してきたためだ」と評論家の見方を引用して、中国での「驚愕事件」の根源を指摘する。

 一方の中国政府は、中国社会で熱い議論が沸きあがる中、再び「正確に世論を導く」という政治的使命をメディアに要求している。「悦悦ちゃんの母親、この社会には良い人が多い」と題する記事は17日に政府系メディア・金羊網に掲載された。「悦悦ちゃんの母親は人々の心配に感謝している。このような不幸が起きたけれど、この社会に良い人が本当に多い、と今も思っている」という。

 また同紙は、公共の場で倒れていた老人を助けないという普遍的な社会現象について、当局は中国人の道徳問題ではないとし、社会の道徳崩壊の現状を否定し、「中国人の主体は良好な道徳風貌を有している」と力説した。

 悦悦ちゃんを助けた19番目の通行人で、廃材拾いの女性陳賢妹(58歳女性)さんは殺到するメディアに対して、「助けることは極当たり前のこと。何も深く考えなかった」と淡々と話した。記者は、人を助けたら後に加害者として損害賠償を強請られる可能性もあると質問したところ、陳さんは、「私は心配していない。普段、道端で老人が転んだのをみたら、私は必ず助ける。だれかが助けなければならないから」と答えた。

 (翻訳編集・叶子)
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