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プラカードをぶら下げ、都市部で仕事を探す出稼ぎ労働者(China Photos/Getty Images)

所得格差30年来最大に 農村は都市部の3割=中国

 【大紀元日本3月5日】腐敗の取り締まりと国民生活の向上をテーマに掲げる全国人民代表大会(日本の国会に相当)と政治協商会議(政府の政治諮問機関)の年次会議を控え、英字紙「チャイナ・デーリー」は国家統計局の発表を引用し、2009年の都市部と農村間の所得比は3・33対1であり、改革開放を開始した1978年以来、最大の格差だと報じた。

 記事によると、2009年の都市部住民の平均年収は1万7千175元(22万3千円)であるのに対し、農村部住民の平均年収は5千153元(日本円6万7千円)。2008年の3・32対1、2007年の3・31対1を上回り、格差は拡大傾向にあるという。さらに、福利厚生、教育、医療、失業保険など非貨幣的要素も考慮すれば、1980年代半ば頃2倍だった差は4~6倍まで拡大していると言われ、その差は世界一。1人あたりのGDPが最も多い上海市と最も少ない貴州省では、その差が12倍を超えているという指摘もある。

 国家発展改革委員会(発改委)の専門家は、「経済発展の不均衡や、都市と農村の二元的な経済構造が所得格差拡大の原因」と論じ、体制改革や産業構造の調整、国民の収入構造の変化に加えて、非合法・非正規な収入が大量に存在することなどが格差を導き出しているとしている。

 改革開放以来、鄧小平は「先に豊かになるものから豊かになれ」と述べ、都市部に有利な政策を打ち出す一方、一定の所得格差を容認しながら改革を進めた。高付加価値商品が都市部に流入し、収入が倍増した都市部と、安価な原料と労働力を提供し、都市部の成長を支えてきた農村の間には、明らかな収入格差が見られるようになっていった。出稼ぎ労働者たちの収入の増加は微々たるものだった。

 また、格差拡大の要因の一つとして、現行の戸籍制度がある。農業従事者と非農業従事者は厳格に区分され、農民には医療保険や失業保険、退職金、融資制度がない。また、農民は中国で最も貧しい階層であるにもかかわわらず、最も重い税金が課せられている。そういう意味で、中国社会の格差は人為的に作られたものと言えるだろう。

 「チャイナ・デーリー」は、発改委の就業と収入分配課・張東生氏の話を引用し、「所得格差について政府はいろいろ発言しているが、実際に対策を打ち出していない」と報じている。また、中国の農村と農民問題の専門家で上海華東師範大学教授の曹錦清氏は、今後都市部と農村間の所得格差は更に拡大するとの見解を示している。

 現在、中国の農民人口は9億。所得格差の拡大により、社会不安も広がっている。

(翻訳編集・高遠)


 (10/03/05 11:08)  





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