THE EPOCH TIMES

故障相次ぐ中国高速鉄道 専門家「根源に汚職体制」

2011年07月15日 08時58分
 【大紀元日本7月15日】6月30日に開通した北京と上海を結ぶ高速鉄道「京滬高速鉄路」は、ここ数日間、故障が相次ぎ発生しており、中国国内ではその安全性への懸念が高まっている。専門家は、官民癒着によるずさんな工事が原因であり、その根源に汚職体制という体質的なものがあると指摘している。

 同高速鉄道について中国政府が当初、「世界をリードする中国の高速鉄道技術」と自負して、米国で技術特許を申請する意向すら示していた。新幹線の技術を多く取り入れているという日本側の主張に対して、中国政府・鉄道部の王勇平報道官は「ずうずうしい、大ぼら吹き」などと非難し、「新幹線と同一に論じられないレベル。速度だけでなく快適さ、車両や路線部分の技術で、大きな差をつけている」と発言していた。

 そのような状況の中、同高速鉄道はここ4日間で3回の故障が発生し、ダイヤが大きく乱れることとなった。

 10日午後、北京から上海に向かうG151便は、突然の停電のため緊急停車し、後続する19本の列車にも遅れが出ていた。

 12日午前10時頃、電源施設の故障により一時運転中止のトラブルが再び発生。当時乗車していたという人はミニブログで「電気系統が焼切れたのが見えた」「火花があがったのが見えた」などと書き込んだ。

 その翌日の13日も故障が発生した。北京行きのG114便が途中で運転を打ち切り、別に用意された車両に乗客を移動させ、運行を続行した。

 関連当局は事故の原因について、それぞれ次のように公表した。10日は「雷雨と大風による架線ショート」。12日は、電車のパンタグラフの故障であり、「具体的な技術原因は複雑で、現在も分析を続けている」。13日は、G114便の一部車両が列車を前進させる動力を失った。その原因は、変圧器内部で接触不良が発生し、保護装置が働いたためだという。

 電力供給システムの研究に携わる上海交通大学電気工学部の蒋伝文・教授は本紙の取材に対して、「京滬高速鉄道は大型の電力供給システムであるため、様々な突発的な状況を想定した保護装置は十分でなければならない。雷雨と大風ぐらいで広範囲に停電してしまうのでは、電力供給システムに不備があることは明らかのだ」と述べた。

 中国のインターネットでは、「一流の技術、一流の品質、一流のサービス、とされていたが、現在は一流の嘘つきしか残されていない」と皮肉のコメントが書き込まれていた。

 高速鉄道だけではない。雲南省では、完成したばかりの国道は仮開通2日目に崩落する事故が発生し、「世界で最も短命な道路」と揶揄された。また昨年、13億8000万元(約168億円)の巨費を投じて完成した広州大劇場も、その先鋭的な外観とは裏腹に、完成後5ヶ月で天井や外壁に亀裂が走り、雨漏りするといった問題が起きている。北京ー上海高速鉄道沿線の南京南駅では12日、大雨による雨漏り、タイルの剥脱、地盤沈下が確認された。関係者は「特別な設計だから」「駅舎に質の問題はない」などと釈明した。

 欠陥工事の根源に「汚職体制」あり

 米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材で、中国の社会学者・張耀傑氏は、高速鉄道のような国家プロジェクトの欠陥問題は中国では普遍的に存在していると指摘、その根源に中国の体制があると述べ、次のように分析した。

 「中国では各分野における有効な政府管理・監督の体制がない。そのため、権力者や、権力者と結託する者たちは恣意的に国の金を自分の金に変えることができる。つまり、国家利益を不正に山分けする汚職体制である。国からの建設費の半分以上は、関与する権力者たちが着服していると言っても過言ではない。また、国の金を着服するために企画されたプロジェクトも少なくない。ポケットマネーを浮かせるための手抜き工事は日常茶飯事で、欠陥プロジェクトは後を絶たない」

 裏付けとなる事実はいくらでも挙げられる。高速鉄道建設の責任者である劉志軍・鉄道部部長は2月に解任された。建設に絡んで約8億元(約100億円)を着服したとして、現在、汚職の罪で取り調べを受けている。そして、中国高速鉄道の父と呼ばれた中国鉄道部の技術部門トップの張曙光総工程師も2月28日に、汚職の疑いで身柄を拘束された。着服金額は約28億ドル(約2300億円)とされている。

 「立派な理由さえあれば巨額な経費が手に入る」。その経費の管理者は、時間が経つとともに金の持ち主へと変身していく。経費以外にも「多くのものをまず国家資産に再定義し、その『国家資産』を権力者らが山分けする」という体制が蔓延している、と張氏は批判する。特に不明瞭な土地財産権制度を悪用し、権力者が庶民から土地を取り上げ、大きな財を成していると氏は指摘する。

 一連の高速鉄道の事故後、あるネットユーザーは、「『わが国の高速鉄道には絶対に乗らない』と宣言した西安の元鉄道エンジニアの話をネットで知った。当時、いくらなんでも言い過ぎだと思っていたが、今となると、彼の話は真に根拠があって、とても現実に適っていると分かった」と書き込んだ。

(翻訳編集・叶子)


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