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河北省にある鉄鋼生産工場の風景(Getty Images)

史上最大の対中貿易制裁 米中貿易戦争、激化へ

 【大紀元日本12月2日】米国の中国に対する貿易制裁は、オバマ大統領の就任後ますます厳しくなっている。米国商務省は先月24日、中国産油井管とその関連商品に対して、税率10・36%~15・78%の反ダンピング税を課すことを決定した。昨年27億ドルに達した中国の対米油井管輸出へのこの反ダンピング措置は、米国による過去最大の対中貿易制裁となる。

 同制裁案によると、商務省は中国天津市にある油井管輸出関連企業に対して10・36%を、浙江省にある浙江健力企業有限公司に対して15・78%を、その他の多くの関連企業に13・2%の税率を課すという。米商務省は11月5日にすでに、中国製油井管に対して反ダンピング税を課すことを仮決定していた。

 今年に入ってから、米政府は中国に対して既に14件の反ダンピングおよび反補助金関連調査を実施し、貿易規模が58・4億ドルに及び、昨年同期と比べ639%と急速に拡大した。

 中国商務部スポークスマンの姚堅氏は、これは米国側が世界経済における中国市場経済の役割を認めないという状況下で採った差別的な政策だと非難した。

 中国輸出の米国経済への影響

 米国の対中貿易制裁の急増について、在米中国経済評論家・草庵居士氏は、強い勢いを保っている中国輸出が米国経済に大きな打撃を与えていることが主因だと指摘する。また歴史的な原因もあると話した。

 草庵氏によると、歴史的な原因が三つある。一つ目は従来、中国政府は輸出企業に輸出税還付政策を採っている。二つ目は投資に関して、従来政府主導で投資を行っている。三つ目は輸出を促進させるため、たとえばエネルギーの面でも補助金を提供するなどその他の措置を行う。

 中国のいわゆる改革開放30年間とは、対外貿易を主導にし、外貨獲得を最終目的とする過程だった。この方針の下で、中国当局は輸出商品をダンピングしてきた。また、石炭、石油などの資源開発・加工産業に対して補助金を提供している。資源コストに土地利用コストを加えないことが一つの例だ。政府が土地利用の許可をすれば、関連企業は直ちに鉱山などの資源を開発することできる。このようなコストは国際水準と比べかなり低くなる。中国の鋼鉄生産業界はこのような政府の補助金政策によって規模が拡大させられ、現在世界市場に占める生産量は一位となっている。海外の同業界にとっては大きな脅威となっている。

 中国製造業を省みる

 草庵氏は、「オバマ大統領は昨年の大統領選において、就任すれば速やかに米中貿易間の不均衡問題を解決すると明言し、さらに米国の産業界に対して公平な競争環境を作ることに努力すると誓っていた。そのため、今後も米中間の貿易戦が続くと思う」と話した。

 また、中国企業が商品を生産する過程において人権を重んじないのが問題だと、草庵氏は指摘する。中国の労働力は低い人権環境水準、低い賃金という「双低政策」で海外企業と競争している。低い人権環境水準は、完全に政府当局によって形成された。米国政府が中国企業に対して反ダンピング税率を大幅に引き上げるという貿易制裁について、草庵氏は適切だと示した。

 「中国製造業は反省しなければならない。今までのように安価な労働力で、全中国人の福利厚生を犠牲して、自然環境を破壊するまで輸出を促進していってはいけない。これは間違った方法で、短期的な利益しか入手できないし、中国に繁栄と強大をもたらすことはできない」と述べた。

 中国商務部によると、金融危機により世界経済景気が後退している中で、欧米諸国はある程度の貿易保護政策を採っているという。現在、世界で進行している貿易戦争中、35%の反ダンピング関連調査と71%の反補助金調査は中国を対象とするものだ。草庵氏は、貿易制裁は中国経済に打撃を与えるが、しかし長期的な目から見ると、このような圧力の働きで、中国政府は労働者の賃金および福利厚生を改善し、自然環境の保護に力を入れるようになるため、良いことだと示した。

 2001年中国が世界貿易機構(WTO)に加盟した際、米国との間に世界協定や議定書を締結した。その中のいわゆる「421条款」において、中国当局は米国側に、「米国は、中国側の承認を得ないで、会談を行わずに、独自に入手した統計データを用いて、中国の輸出商品に制裁を加えることができる」と、米国の独断を委ねることを承認している。

(翻訳編集・張哲)


 (09/12/02 08:44)  





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