THE EPOCH TIMES

【医学古今】 便秘症の標治と本治

2012年05月09日 07時00分

 【大紀元日本5月9日】漢方医学には、標治と本治の考え方があり、現代医学の対症療法と原因療法に相当します。

 標治、つまり対症療法は、一時的に症状を改善することを目的としているため病気を根治できず、症状が現れるたびに薬を飲んだり、飲み続けたりします。便秘症の治療で多くの下剤は標治法にあたり、大黄、センナ、芒硝などの生薬が主成分です。

 一般的に、漢方医学は本治、つまり原因療法が目標で「審症求因」と言い、表に現れた症状を分析して裏側の原因を突き止めて治療します。ただ、本治法は体質改善が目的で改善されるまでに時間がかかるため、その間、標治法を合わせて治療する場合も少なくありません。

 便秘症の原因は、漢方医学の理論から湿滞便秘、食滞便秘、燥熱便秘、津液不足便秘、気虚便秘、気滞便秘、血虚便秘、腎虚便秘などの種類に分けられています。

 湿滞便秘症は、便は硬くないが粘っこくて出にくい、排便時間が長い、排便後もすっきりしないという特徴があります。これに対しては、燥湿理気の作用のある三仁湯(さんにんとう)や厚朴三物湯(こうぼくさんもつとう)などが処方されます。

 食滞便秘症は、症状が湿滞便秘症と似ていますが、便が粘っこくなく、便やガスの強い臭いに特徴があります。治療には、保和丸(ほわがん)や小承気湯(しょうじょうきとう)などが処方されます。

 燥熱便秘症は、高熱が出る病気の後に起こりやすく、便が硬くなって出にくいので、便をやわらげる塩類の下剤が有効です。大承気湯(だいじょうきとう)などが処方されます。

 気虚便秘症は、気力の低下によって腸管の蠕動運動が弱く便が出にくいので、気力を補いながら便通を改善することが重要です。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)と桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)を使って治療するのが良いでしょう。

 気滞便秘症は、精神的なストレスに関わりが強く、腸管の緊張が高くなって蠕動運動のリズムが乱れ、便が出にくくガスも溜まりやすいので、疏肝理気作用のある処方が必要になります。四逆散(しぎゃくさん)を中心にして、軽い下剤を加えて治療すれば良いでしょう。

 血虚便秘症は、出産で大出血後、貧血の状態で起こりやすく、便が兎の糞のように乾燥してころころした形になっている場合が多いのです。四物湯(しもつとう)、潤腸湯(じゅんちょうとう)、麻子仁丸(ましにんがん)等のような腸を潤しながら便通を改善する処方が望ましいでしょう。

 腎虚便秘症は、高齢者に起こりやすく、便が溜まっても自覚が薄く、神経の反射が鈍くなって便意がない場合が多くみられます。この場合は、補腎作用の処方が必要になります。八味地黄丸(はちみじおうがん)と桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)を合わせて治療すれば良いでしょう。
 

(漢方医師・甄 立学)

 

 

 

関連キーワード
^