中共指導者の権力闘争と親米路線外交

2006/04/20 23:06
 【大紀元日本4月20日】胡錦涛・中国国家主席は18日、初めての米国訪問を開始した。胡主席は執政3年以来、ロシアや、EUなど各国を頻繁に訪れたが、米国訪問は棚上げされていた。複雑な背景には、胡主席と前国家主席・江沢民氏の間の権力闘争や、中共指導部の外交政策をめぐる確執などが伝えられている。

 ニューヨーク・タイムズ紙の中国人ジャーナリスト・趙岩氏は去年9月、「国家機密の漏洩罪」で中共政権に逮捕された。情報筋によると、問題の発端は去年9月12日発刊のニューヨーク・タイムズ紙が報道した「江(江沢民)胡(胡錦涛)両氏の権力闘争、中共政権は内部分裂」という記事であるという。同紙の記事は、「政権指導部の高官らによると、胡錦涛主席と前国家主席である江沢民の権力闘争は激化しており、共産党内部では分裂が生じている」と暴露し、両者は経済のマクロ政策や、外交政策、軍部の人事をめぐって、激しく対立していることを明かした。また報道によると、江沢民氏は胡主席を名指しで批判し、現行の経済政策は高リスクで、中国の社会安定と経済成長に脅威をもたらすと述べたことや、胡主席が中共軍部委員会の副主席を3人から5人に増やすよう提案し、その候補者をめぐって、中央軍事委員会主席である江沢民氏の側近を排除するなど、江氏と激しく対立したという。同報道は、胡氏が軍部における江沢民の実権を弱め、最後に軍部から退けるためであったと分析している。

 一方、2004年初め、江沢民は最高権力者として、中共内部で通達を下した。通達の中で江氏は、国際情勢を分析し、冷戦終了後に「一超、両強、多極化」の局面が形成されていると指摘した。「一超」は、米国が世界で唯一の超大国であると指し、「両強」は、経済力を基準に、欧州連合と日本を指している。「多極化」の第一範囲は、中国やロシア、インド、ブラジルと限定し、残りの国はすべて第二範囲に属するという。江沢民はその理論を根拠に、中共の外交政策について、中米関係が重要であると強調し、胡氏が実行していた欧州連合寄りの外交政策を完全に否定した。

 一方、2005年下半期、欧州では、親中派のドイツのシュレーダー首相が政権から退き、保守派のメルケル首相が当選した。フランスのシラク大統領は、国内の移民問題や暴動などに悩まされ、中国に構っていられなくなるなど、欧州での政治情勢が変わりつつある。その結果、胡錦涛主席は遂行する欧州寄りの外交政策に限界があると認識し、舵の方向を転換し始め、親米路線に傾いてきたとする見方がでてきた。現在訪米中の胡主席は、ボーイング社の旅客機を大量に発注しており、訪米直前にも52億ドルで、ボーイング社の旅客機80基を購入すると発表している。貿易外交の常套手段を存分に駆使することで、親米路線を印象づけるねらいとみられている。
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