【大紀元日本9月5日】前代未聞の高度成長を遂げ、世界中の投資家を惹きつけてきた中国経済。しかし、オリンピックを終えて、中国市場の株価が下落を続ける一方、バブル経済の崩壊も懸念されている。過熱した中国経済の問題点を探る。
*過剰な量の外貨
「外貨準備高」は、その国の経済状況を分析する上で、ひとつの指標となる。外貨準備高の由来は2つある。一つは、貿易黒字で、もうひとつは海外からの投資である。
国内に投資されてきた外貨は、外国の商品を買うために使われ、国内の商品を買うためには使われるべきではない。もし過剰な外貨が国内で使われると、とたんに“商品の数は少ないのに、たくさんのお金が出回る”という現象、つまりインフレが発生する。もし過剰な外貨が株式市場や不動産に使われるなら、それがマネー・ゲームのバブルを生み出す源となる。外貨を稼げば稼ぐほど、よりバブルが生じるという訳だ。それでは、国家にとって丁度好い外貨準備高とは、一体どのくらいだろうか?
一般的に、国家にとって適正な外貨準備高は、GDPの10%、もしくは3カ月〜6カ月分の国家の総輸入額だといわれている。一方、現在の中国の外貨準備高は、1・6兆米ドル、GDPの約50%にあたり、それは中国の総輸入額15カ月分に相当する。
ロイターの分析によると、今年5月、中国の外貨準備高は403億米ドル上昇したが、一方、貿易黒字とFDI(海外直接投資額)は、280億米ドルに留まっている。その差額は、つまり外貨買いなどで得た“ホット・マネー”(国際金融市場を移動していく、利益追求に特化した投機的な短期資金のこと)だと考えられる。
*過剰なホット・マネーの流れ
過熱する中国経済を抑制するため、中国政府はたびたび金融引き締め政策を行ってきたが、その効果は少なかった。その原因は、中国政府による為替介入にある。
中国は国内の輸出産業を推し進めるため、積極的に外貨買い(人民元売り)を行い、人民元レートの上昇を抑えている。一方、中国の貿易黒字が続く中、政府による為替介入を続けると、大量の人民元が中国国内に出回ることになる。従って、中央銀行が金融引締め政策を続けたとしても、国内の人民元は過剰供給となり、株価や不動産が上昇しやすくなるのである。そして、上がりつづける株価や資産価格、また好調な輸出産業で、世界中から投資が集まってくる。北京のストーン・アンド・マッカーシー社は、今年1月から5月までに海外から流入した「ホット・マネー」は、1千500億ドル〜1千700億ドルと見積もっている。
また、法律に反した中国から海外への資本逃避の流れもある。その中には、官僚の不正蓄財資金や、国有企業経営者による国有資産横領資金の移送、また貿易に携わる企業の輸出過少申告による外貨収入の蓄財、輸入の過大申告による外貨の過大取得と国外運用などが多く存在するといわれており、中国政府は国外送金のチェックをより厳しくしてその防止に努めている。
*人民元の切り上げが必要
為替介入により高いインフレが発生し、過熱するバブル経済を抑制するにはどうしたらよいのか。
ムーディー・インターナショナル・コンサルティングのシャーマン・チャン氏は、人民元の切り上げを行い、最終的には為替の自由化が必要だと主張している。チャン氏は、「政府が現状の為替政策(人民元を市場価格によって変動させず、介入してレートを低くすること)を続ければ、海外からの投機は止まらないだろう」と語る。
一方、今年に入ってから中国経済は失速の陰りを見せている。「南華早報」によると、今年第一四半期において中国のGDPは2桁に達したが、その一方で固定資産に対する投資が、ここ5年間で最低になったと伝えている。今年初めの5カ月における国内産業の利益成長率は、前年より42・1%から20・9%に減少している。また、中国ビジネスの売上高総利益率も、3月には8・2%、過去4年間で最低となった。
また、ロイターの報道によると、中国のインフレ率は今年上期で7・9%、政府がターゲットとする4・8%には及ばなかった。中国としては、経済成長を続けながらインフレも抑えなければならない。
中国の首相・温家宝は、インフレ抑制を優先し、一方の胡錦濤・首席は経済成長を優先したいと考えているようだ。しかし、両方を得ることは難しい。
インフレ抑制政策として効果的と言われているのは、人民元のレートを上昇させるか、利上げだろう。しかし、結局どちらの政策も、ホット・マネーの流入は止まらず、インフレをより悪化させてしまう可能性がある。一番最適と思われるのは、思い切って人民元のレートを手放し、マーケット・バリューで決めさせることだ。それを行えば、一度は経済的に大きなダメージを受けるかもしれないが、後で正常な状態に戻ってくるだろう。中国経済は、すでに大きな痛手を負わなければ回復できない段階にきているのかもしれない。
(翻訳編集・田中)
|