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北京のネットカフェで(FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)

庶民の小さな勝利=中国

 【大紀元日本7月9日】 共産党結成記念日の7月1日、北京市中心部に位置する朝陽区のある公園で、若い知識人を中心とするおよそ500人が祝賀パーティを開いた。共産党建党記念日を祝うためではなく、7月1日以降に新たに販売されるパソコン全製品にインターネット・フィルタリングソフト「グリーン・ダム」の搭載を義務付ける当局の計画が無期限で延期されたことを祝ったもの。活動の招集者で北京の著名作家・芸術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏は、グリーン・ダム搭載計画の無期限延期について、中国のネットユーザーらの共産党当局に対する「小さな勝利」であると表明した。

 中国当局が先月、中国で禁止されているポルノなどの画像をブロックすることを目的に、パソコン全製品にインターネット・フィルタリングソフト「グリーン・ダム」の搭載を7月1日から義務づけると発表した。ネット検閲にさらにフィルタリングをかけるこの処置は、60周年を迎える共産党政権設立記念日に因み、言論を厳しく統制する目的とみられ、国内外で大きな抗議を招いた。

 中国ではネットユーザーが2億人以上もいる。「グリーン・ダム、とっとと消え失せろ」と書かれたTシャツを着た艾未未氏によると、当局のこの行動は、もともと政治に興味がない若者を対立する側に追い立てた。「80年、90年代に生まれた若いネットユーザーらは、もともと政治に全く関心を持っていなかったが、今回の事件は直接、若者の生活に影響を与えている。」

 艾氏は、7月1日にはオンライン上での作業や、ゲームやメールなどあらゆる行為を行わないようネット上で呼びかけた。この「ネット」ストライキが、多くのブロガーやユーザーの熱い反響を受けた。

 このような強い抗議を受け、6月30日、当局の官制メディア新華社が、当局の「準備が足りない」ことを理由とし、グリーン・ダムの搭載を延期すると発表した。艾氏と500人の支援者らのストライキは、勝利の祝賀パーティになった。

 北京の弁護士・劉暁源氏もこのストライキを兼ねた祝賀パーティに参加した1人。劉氏によると、およそ400~500人が抗議の態度を表明するため、1日中ネットにアクセスしなかった。

 「延期はただ当局が国内外の反対を鎮めるための手段、キャンセルではないだろう。いつかまた強行するかもしれない」と劉氏は指摘する。

 劉氏は、もし政府が引き続き強行するならば、自分も引き続き抗議すると表明した。

 活動を組織した艾氏は、過去60年間、中国人の言論と表現の自由は徹底的に破壊され、グリーン・ダム事件は、僅かな小さな勝利に過ぎないと指摘し、「私たちの求めるものまではまだまだ遠い。中国の民衆が自由民主を手に入れる道はまだ遠い」と話した。

 2・3億人もいる中国のネットユーザーにとっては、これは6月以来彼らが当局に対抗した2回目の勝利。先月、貞潔を守るために政府役人の殺害に至った女性・鄧玉嬌さんが裁判で有罪とされたが、刑事処罰を問われないことになったからだ。

 今年5月10日、鄧玉嬌さんが自分をレイプしようとする政府役人を殺した後、当局はレイプの事実を隠ぺいし、鄧玉嬌さんを殺人罪で逮捕して、精神病院に拘束した。事実の真相がネット上で暴露され、若いネットユーザーらが鄧玉嬌さんをヒロインと見なし、当局の処分から彼女を救出する戦いを始めた。一部の官制メディアも、当局を追及する声を上げた。その結果、政府役人を殺した鄧玉嬌さんの命が助かったのだ。

 近年、民衆と当局との対立が先鋭化し、政府に対する暴力事件が日々増えている。当局はそれを恐れ、一般市民が政府役人と衝突する事件の中で、市民は法律に守られず厳しい懲罰を受ける一方だ。昨年同時期、北京の青年・楊佳氏が、警察から不当に暴力を受けたため、7人の警察を殺した事件があった。当局は殺人動機と事件の過程についてはっきりした説明をしないまま、非公開審議で急遽死刑を言い渡した。多くの民衆がこの青年を犯人とみなさず英雄とし、当局に青年の案件を調査して明らかにするよう訴えたが、命を救うことはできなかった。

 グリーン・ダムの延期と鄧玉嬌さんの釈放のみでなく、各地で起きている民衆対当局との衝突事件の中で、大きな世論の力で当局に対抗する局面が多くみられた。6月15日、江西省南康市で、市民約1万人が政府の高税徴収に抗議、警察車両に放火し、交通を遮断する事件が起きた。当局は翌日、関連の税金徴収を取り消すことを発表した。

 共産党が政権を執って60年を経た今、「民は官に勝てない」と思い込んでいた中国の庶民は、このような小さな勝利の積み重ねから、新しい官民関係の在り方に眼覚めていくのであろう。

(肖シンリ)

 (09/07/09 01:49)  





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