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29日にEU市民の死刑執行が中国で行われる前に、ロンドンの中国大使館前で、キャンドルを灯して最後の嘆願をする女性(Dan Kitwood/Getty Images)

イギリス人、中国で処刑 精神鑑定要求中 英首相が非難声明

 【大紀元日本12月30日】29日、パキスタン系英国人アクマル・シャイフ氏(53)が、麻薬を密輸した罪で、新疆の首都ウルムチで処刑された。家族が本人の精神異常を訴える中での処刑だった。中国当局に「寛大な措置」を求めてきた英ブラウン首相が、「深いショックと失望。最も強い言葉で非難する」」との声明を出した。

 シャイフ氏は、2007年9月、ウルムチで空港に到着した際、スーツケースにヘロイン4キロを所持しており、その場で逮捕された。2008年10月、一審で死刑判決を受け、今月21日、最高人民法院(最高裁)で死刑が確定した。

 英ゴードン・ブラウン首相は、執行が決定されてから、中国政府に「寛大な措置」を求めてきた。また、シャイフ氏のいとこが28日にウルムチ入りし、兄は、ロンドンにある中国大使館前で、嘆願していた。処刑が行われたことが確認され、ブラウン首相は、「深いショックと失望を感じた」と語っている。

 家族によると、スーツケースは別の男性から預けられ、「中身は知らなかった」という。歌手としての人生を歩むために中国に行った。その2年前には、航空会社を設立するためにポーランドへ。

 死刑囚を直接支援する非営利団体「リプリーブ」 (Repreive) は、シャイフ氏の精神鑑定に関する報告書を作成し、「妄想癖」があったと結論を出している。また、躁鬱病も認められた。しかし、今回の裁定の手続き過程では、精神状態は全く考慮されなかった。同団体は、昨年ウルムチでの裁判に精神科医の出席を手配したが、シャイフ氏への面接も、裁判所の審問への出席も許されなかった。

 中国の法律制度を専門とするニューヨーク大学のジェローム・コーヘン氏は、これまでに中国の法廷が、精神鑑定を考慮し、死刑を終身刑へと軽減したケースはあるとし、最高人民法院が、被告の精神鑑定を要請する中国の法律と、国際社会における法の手続きに準じることは、当然ではないかと疑問を投げかける。

 「リプリーブ」のコミュニケーション・ディレクターであるキャサリン・オーシェイ氏は、次のように語った。「現代の社会で起こるとは思えない結果となった。私たちひとり一人への警告。シャイフ氏は、病気であり、弱い立場にいた。社会の割れ目に落ちてしまい、中国そして中国の法制度が彼をさらに陥れた。彼を殺すとは、本当に恥辱的な行為だ」

 
28日夜、ロンドンの中国大使館前で、キャンドルを灯して最後の嘆願をする支持者(Dan Kitwood/Getty Images)

今回の中国でのEU市民の処刑は、50年来、初めてのケースで、特にイギリス国内で大きな波紋をよんでいる。

 アムネスティ・インターナショナルによると、2008年、1718名が処刑された。同団体の推定では、世界の処刑の72%が中国で行われている。

(編集・鶴田)


 (09/12/30 07:57)  





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