THE EPOCH TIMES

バフェットとゲイツ、北京で「慈善」パーティ 敬遠する中国人富豪

2010年09月07日 23時58分
 【大紀元日本9月7日】中国各紙の報道によると、資産家のウォーレン・バフェット氏とマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が今月末に北京を訪問する。両氏は29日夜、中国人セレブ50人を招き、北京の豪華ホテルで慈善パーティを開く予定だ。

 2人のゲストリストには、50人の中国富豪たちの名前が載っていると伝えられている。両氏は今年6月から慈善事業の促進活動を始め、米国の億万長者に対して資産の半分以上を寄付するよう呼びかけたところ、40人が協力することを表明した。両氏は、ここ数10年の急速な経済成長で巨万の富を築いた中国の富豪たちにも、賛同を求めるという。

 敬遠する中国人富豪

 近年、中国各地では上流階級向けの豪華なクラブが流行している。その背景には、短時間で富を吸収した富豪たちが、「上流階級」というアイデンティティを求め、実力者に接近するチャンスを掴むために時間とお金を惜しまないという文化がある。世界の金融とIT業界を牛耳る両氏に近づける今回のパーティは、中国人セレブにとって最大の見栄を張るいい機会であろう。

 しかし、中国メディアは一様に、「一部の富豪が招待を断った」「ゲイツとバフェットに、中国の富豪たちは距離を置く」と報道。招待された富豪たちは、意外にも冷たい反応を示したという。出席者リストの中で最も有望とされていたうちの一人、フォーブス2010年度中国の億万長者ランキング・トップを占めた宗慶後氏は、欠席との情報が伝えられている。

 ゲイツ夫妻の名義で設立された基金会の北京オフィス責任者、レー・イップ氏(Ray Yip)は、「少数が招待を断った。多くの招待者から、パーティで寄付の約束を要求されるのか、との問い合わせが来ていた」とメディアに語った。

 「恥ずかしい場面に遭遇するのが、彼らの一番の心配だ」とレー氏は言う。富豪たちの不安を払拭するため、ゲイツとバフェットの両氏は近く、各ゲストに手紙を出し、今回の活動はゲストたちとの友好関係を構築するためであり、寄付への圧力は与えないと説明するという。

 また、寄付の圧力はかけないが、中国の富豪たちに慈善の理念を広め、中国の慈善活動の現状について意見を求めるとレー氏は話している。

 ゲイツに応じた「中国の首富」

 「中国文化は、もともと慈善の伝統を有している」。ゲイツ氏らの慈善訪問に反応した江蘇黄埔再生資源利用有限公司の陳光標董事長は、中国紙6日の報道で語った。

 陳董事長の個人財産は、50億元(約621億円)以上とみられている。5日、自社のウェブサイトで「ビル・ゲイツ、バフェット両氏への手紙」と題する公開書簡を掲載し、自分の死後には全財産を慈善団体に寄付する意向を表明した。

 同氏は、かつての四川大地震や度重なる自然災害に際し、寄付活動に積極的に関わってきたことがあり、2009年の寄付金総額は中国でトップであったため、中国の「首善」と呼ばれている。

 しかし、陳氏の寄付行動には「疑問が残る」「信じられない」「頭がおかしい」とする見方も存在する。

 近年、中国で頻繁に起きる大きな災害事件に伴い、国からの義務付けや、個人の自発行為などから寄付活動が盛んに行われている。その中で、寄付金の不正使用など一連の社会問題が発生した。2009年にも、中国の大女優チャン・ツィイー(章子怡)が募集した寄付金の使途に疑惑があるとして、ネットで大騒ぎとなった。政府が提唱しているにもかかわらず、寄付活動に対する不信感が蔓延している。

 中国国内の富豪ランキング「胡潤(Hurun)リポート」の編集者・胡潤氏(Rupert Hoogewerf)はかつて、多くの中国人が寄付者の動機に疑いを持っていると指摘している。

 「中国で行われている全ての慈善活動において、資金の保管所は最終的に政府である。一般的に、寄付に対しては皆が疑問を持っている。多くの人は、寄付する人の目的は単純な慈善行為ではなく、お金で影響力を買うことだと考えている」

 寄付を恐れる中国の富豪たち

 中国富豪たちの成金への道は、必ずしも個人の勤勉や優れた能力で切り開いたわけではない。中国国内の報道によると、権力と腐敗を通して得た、由来不明の「グレー収入」が、高所得者の収入源の多くを占めている。従って、寄付は「グレー収入」を隠すためであるとの見方も存在する。

 社会モラルの低下で、目的も行動も変異した中国での慈善活動を、ビル・ゲイツ氏らはどのぐらい推進させることができるのか。国営通信・新華社が掲載したある評論文は、「資本主義国家の富豪が、社会主義国家の富豪に寄付するよう呼びかけるなんて、なんて皮肉なことなんだ」と嘆く。

 同記事は、中国の慈善事業について、次のように記している。「資本主義国に生まれたゲイツとバフェットたちの行動は、財富を命より重要視している一部の国民の目には不思議なことに映る。アメリカ人の富豪たちの中には、資産の半分以上を寄付する人もいるのに、四川大地震では、5千億以上の資産を有する中国富豪トップ10が寄付した総金額は2300万のみ。ゲイツ基金会が寄付した17508万の7分の1にも満たない」

 「中国の富豪たちが寄付に無関心なのは、文化の差なのか?ゴミを集めて生活していた老人が、朝食を食べるお金さえないのに、ゴミの中で拾った7千元を警察に渡した。中国にはこのような人たちが、大勢いる。それは、中国文化の道徳に根ざしているからだ。陳光標董事長の行動も一つの例である」

 また、中国の富豪たちが寄付しない現象について、同記事は次のように分析している。「中国富豪たちの財富は、『顕性的』と『隠性的』の2種から得られている。『隠性的』タイプの富は、人に言えないところから来たもので、中国の高官『富豪』たちに最も集中している。人に言えない収入は、もちろん人に見せられないだろう。一方、『顕性的』タイプの富は、資本蓄積の過程で不正の手段を使用したり、国の政策の漏れを利用したり、国有資産を流用したりして得たものが多く、財富についての彼らの考え方も不健全である。彼らに寄付をさせるのは、自分の体から肉を切るのと同じほど痛むことだ」

 「彼らの唯一の趣味は、金と富を有すること。バルザックの作品に出てくる、守銭奴のグランデと同じだ」と中国の富豪たちを批判している。

(執筆・趙莫迦Zhao Mojia)
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