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貧富の格差が拡大する中国=2006年3月、浙江省寧波市でベッドが展示されている寝具店前で物乞いする男性(Photo by China Photos/Getty Images)

胡少江:中国経済の難問と政府の責任

文・胡少江

 【大紀元日本1月10日】過去1年間において、中国経済は、中央政府の引き締め政策が効果を表さず、むしろ、歴年の数字に比べて高いペースで成長を続けた。数年来、中央と政府との間で、専門家・学者と政策決定者との間で、中国政府のマクロ調整政策に対する見方に差異があった。但し、中国にマクロ調整政策が必要であったか否かを問わず、ほぼ全ての者が、中国政府のマクロ調整政策が効果をあげていないという見解に同意している。例えば、投資の過熱は有効に抑制されておらず、不動産価格は依然として上昇を続けており、貿易黒字、外貨準備はますます増加している。

 中国政府が用いるマクロ調整には、欧米の政府が常用する貨幣政策、財政政策のほか、計画経済から受け継がれた行政手段も存在する。こうした政策の失敗には、中国経済が直面している問題の深刻さ、複雑さが集約的に反映されており、多くの難点が内包されている。実際のところ、これらの問題は長期にわたって蓄積・形成されてきたものである。深層的な制度改革を行わず、単なる政策的な調整、行政介入に依存しているだけでは、もはやこうした問題は解決できない。中国マクロ経済の難問においては、以下の4つの問題が突出している。

 第一に、社会の広範な関心、民衆からの強烈な不満を呼んでいる、収入格差の問題である。中国の収入格差の拡大は、沿海地区と内地の間だけでなく、都市と農村の間、異なる産業間、同一地域の異なる社会グループの間においても見られる。中央政府は既にこの問題を注視しており、西部開発、東北振興、農業税の免除、都市住民の生活保障制度等を通じてこの矛盾を緩和しようとしている。しかし、動態的に見て、この格差の趨勢は激化こそすれ緩和はされていない。例えば、中国政府が西部発展政策を支持する政策を打ち出して7年になるが、最新の統計資料によれば、東部、西部間の収入格差はますます大きくなっている。

 第二に、消費、貯蓄、投資のアンバランスが解決困難であるために、他の経済構造問題が発生している。中国では長期間、消費、特に個人消費の低迷が続いている。消費の国民収入に占める割合は、わずか40%前後である。この数字は、先進国の水準である70%のみならず、発展水準がほぼ同等の、他国の水準である60%も大きく下回っている。消費不足、貯蓄の過剰により、供給方面において、効率性の低い投資が数多く行われており、今後の金融危機への不定時爆弾を形成している。同時に、中国経済の国外市場に対する依存度を高めている。

 第三に、中国経済の対外依存度が増し、貿易黒字と外貨準備高の増加が長年にわたって続いている。中国が経済のグローバル化に参画していく過程は、中国経済の高度成長を推進する上で重要な要素であった。理解しがたい問題は、発展途上国として、中国が長期にわたって二つの黒字を形成してきたことである。これは、中国の民衆が、輸出収入から実益を得ていないことを明らかにするとともに、中国が、外貨を有効に利用していないことを明らかにしている。特に懸念すべきなのは、中国の大量の外貨準備が、利幅の薄い外国国債の購入にのみ使用され、収益性の高い投資機会を外国投資者に明け渡さざるを得なかったことである。こうした手法は、国民福利の改善が進まない局面を次第に形成しつつある。

 第四に、資源の欠乏と環境汚染が緩和される兆候が全く見られない。中国政府は、ひたすらに成長を求めてきた結果、環境破壊をもたらしたということを認識しており、資源の消費、環境汚染を減少させるための指標を制定している。しかし、過去1年における状況を見ると、地方政府と企業は、これに全く対応していない。中国国家環境保護総局が最近公表した資料によると、全ての省・市が環境保護の指標を達成したと宣言したが、実際のところ、その大多数が統計資料の粉飾により達成した数字だった。

 中国政府によるマクロ調整政策が、上述の問題の解決に効果をあげていない原因は、多数ある。その中で最も重要なのは、中国が、経済成長の減速によってもたらされるリスクに耐えることができないということである。中国の収入分配構造から見て、経済成長の減速は、低収入グループに対して直接的な衝撃を及ぼす。このグループの失業が加速し、収入が激減することについて、当局には全く自信がないことは明らかである。

 また、財政分配について、地方政府は、日常的な支出にしか対応できないことから、経済成長が減速すれば、第一に圧力を受けるのは中央の財政である。しかし、中央政府の財政が減収となれば、発展の遅れた地区に対する支援、低収入グループに対する社会福祉を充実させることができなくなる。また、中央政府の地方に対する統制能力も減少する。これは、中央政府にとって好ましくないことである。

 多くの要因による制約、発展目標間の相互矛盾を調整する正常なシステムの欠落から、全ての責任は、政府の肩に圧し掛かってくる。その結果、政府の政策は、いつも異なる目標の間を徘徊し、社会の安定を追及せざるを得なくなる。短期的に見れば、こうしたやり方でも矛盾は回避できる。しかし、それは矛盾を将来に先送りしただけであり、こうした政府は、責任感、能力に欠けた政府であるといえよう。以上の点から見れば、2006年は、中国政府が、経済調整における見通し、能力の欠落ぶりが際立った一年であったといえる。

 (ラジオ自由アジア=RFAより転載)

 (07/01/10 09:21)  





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