印刷版   

(イラスト=Photos.com)

記憶は、脳の外に存在する?

 【大紀元日本9月11日】従来の脳の研究では、人間の記憶が脳のどの部分に蓄積されるのか、未だ把握されていないという。すべての記憶はいったん脳の奥の「海馬」という部位に保存され、その後長期的な記憶となるためには、大脳新皮質という部分に情報が送られる。しかし、この大脳新皮質のどこに記憶が蓄積されるのかについては、さまざまな説がある。

 ほとんどの人は、私たちの記憶が頭のどこかに存在していると考えるだろう。しかし、脳専門の医師たちも、一体脳のどの部分が記憶を蓄積しているのか、特定できないという。そんな中、「記憶は脳の外に存在する」と主張する科学者がいる。一体我々の記憶は、どこに眠っているのだろうか?

 英国の生物学者ルパート・シェルドレイク氏(Rupert Sheldrake)は、「形態形成場(モルフォジェネティック・フィールド)」が存在するという仮説を主張している。人の知識や経験は、その人の人生が終わる時に消えるのではなく、どこかに蓄積され、そしてそのフィールド(場)には常に皆がアクセスしており、情報を無意識にシェアすることができるという。個人が感じたことはすべてそこの「場」に送られ、逆にその「場」からそれぞれ個人へ情報や感情などが流れてくるという。従って、「記憶」は脳に蓄積されるのではなく、コンピューターで言えば、「サーバー」のような「場」に存在し、脳はそれを解読する役割を果たすに過ぎないという。これは、心理学者のユングが提唱した「集合的無意識」に通ずるだろう。

 同氏はこの理論を実証するために、次のような実験結果を例に挙げている。心理学者William McDougallは、ネズミを使い、タンクからいかに効率よく逃げられるかを試した。最初の世代のネズミは正しい抜け道を見つけるまでに200近い間違いをおかしていたが、最後の世代になるとその数がわずか20になっていたという。スコットランドで行われたこの実験は、その後オーストラリアに引き継がれ、科学者が全く同じ条件のもとでネズミを試した。すると、そこのネズミは、最初から前のネズミたちより遥かによい結果を出したという。

 人間の場合、次世代が何かを簡単に習得することができるのは、人間が文字や言葉を使って情報を伝える事ができるからである。しかし、それらの手段を持たないネズミには、次世代へトリックを伝えることは不可能であり、彼らが何らかの方法でどこかに蓄積されている“情報”にアクセスし、それを覚えているからであると考えられる。

 また、動物間で起きた“同調”現象として、同氏は次の例を挙げている。1920年ごろ、イギリスではブルーティットという鳥が家に配達されたミルク瓶の蓋の開け方を覚え、ミルクの上澄みを飲んでしまうという現象が起きた。すぐにこの技術は100マイル離れた場所でも観測されるようになったが、不思議なのは、この鳥たちの行動圏は、わずか4~5マイルであり、お互いの場所を行き来することは無い。しかし、ある技術が遠く離れた場所でも流行したのである。この現象は、その後イギリスのあちこちで見られるようになり、スカンジナビアやオランダまで広がったという。そして、この鳥の技術が広がるペースは、次第に早くなっていった。

 より興味深いエピソードがある。ドイツの占領下にあったオランダでは、1939年から1940年の間にミルクの配達がストップした。しかし、その後1948年にミルクの配達が再開されると、また同種の鳥がミルクの蓋を開けるという現象が起き、しかもものすごい勢いでオランダ国内の各地域へと広がったという。不思議なのは、この鳥の寿命はわずか2~3年であり、一度ミルクの配達がストップした後、全ての鳥が死んでいるにもかかわらず、また2回目の大流行が起きたことである。これは、シェルドレイク氏によると、「形態共鳴」が起きたためであるという。

 シェルドレイク氏によると、記憶は大脳の中に存在するのではなく、その脳全体を取り巻く「場」に存在し、それは共通の「種」が持つ「場」と繋がっている。一方、脳はどんな役割をするのかというと、共通の「場」から絶え間なく流れてくる“情報”を解読する役目を果たすに過ぎず、それをテレビに例えて次のように説明している。

 「もし私がテレビの一部を壊して、あるチャンネルが見られなくなったと仮定しよう。もしくは、テレビの音が出る部分を壊して、番組は見られるけれども、音が全く聞こえなくなったとしよう。このような状況になったとして、その見られなくなった番組や聞こえなくなった音は、テレビの中にあったと言えるだろうか?(言えないだろう)」

 「ただ単に(テレビの)チューニングシステムが壊れたために、正しい周波数をキャッチすることが出来なくなっただけだ。それと同じく、脳にダメージを受けて記憶をなくしたのは、脳に記憶があったからだという証拠にはならない。実際、ほとんどの記憶喪失は、一時的だ。脳震盪などによる記憶喪失は、ほとんどが一時的だ。」

 この「記憶の回復」は、従来の論理では説明不可能だった。もし脳の細胞がダメージを受けて記憶を喪失したとしたら、その記憶は二度と戻ってこないだろう。しかし、多くのケースで、その記憶が再び蘇ってくる。

 形態形成場(モルフォジェネティク・フィールド)

 シェルドレイク氏が提唱する「形態形成場(モルフォジェネティク・フィールド)」は、なぜヒトの胚はヒトとして成長し、オークの種は、オークの木として成長するのか、といった「遺伝子」の謎を解き明かすという。生物の同一種が同じ形態になるのは、つまり生命が皆共通の“場”である「形態形成場」を持ち、彼らが過去から蓄積してきた記憶を共有し、それに同調していくという説である。

 これらの“場”は、より細密な場所にもあり、それぞれの“心(Mind)"や“臓器(Organ)”さえも、各々の“場”を持ち、その個体独自のユニークな過去の記憶を持ち、それぞれの「場」から引き出される過去の記憶によって、ひとつの個体を維持していると考える。「形態同調(morphic resonance)の重要なコンセプトは、つまり似たような物が、時空を超えて似たような物に影響を与えるということだ」とシェルドレイク氏は主張し、従来の進化論を否定している。また、DNAは、蛋白質やアミノ酸などその生命を作り上げる要素に関する情報が記されているだけであり、生命がどのように成長し、どのような「形態」になるかという情報までは、記されていないと主張する。

 この考え方で見ると、脳は記憶の倉庫ではなく、または心でもなく、個人が形態場とつながりを持つための身体的入り口なのかもしれない。

(翻訳編集・田中)

 (08/09/11 12:41)  





■関連文章
  • 李鵬前総理、危篤状態=北京(08/09/03)
  • 大脳に有益な食品と有害な食品(08/08/28)
  • 五輪開催地青島市、原因不明の伝染病蔓延か(08/07/16)
  • 【党文化の解体】第2章(14)「政治闘争の中での洗脳教育」(08/06/26)
  • 喫煙で記憶力が減退=仏研究所(08/06/18)
  • 四川大地震:中国募金活動の裏事情(08/06/04)
  • 臓器移植者、ドナーと同様の自殺(08/04/16)
  • WHO:脳膜炎の新ワクチン間もなく登場(08/03/14)
  • 喫煙は脳卒中の重要な一因=中国(08/03/13)
  • 中国全国政協大会開幕式、江沢民・李鵬欠席、危篤説浮上(08/03/05)
  • 6分の睡眠で記憶力アップ=独研究(08/02/29)
  • 中国前指導者・李鵬脳卒中、危険な状態(08/02/07)
  • コーヒーは高齢女性の記憶力低下に予防効果がある=フランスの研究(07/12/16)
  • 英国男児、脳の手術後に「女王口調」の英語を話す(07/10/28)
  • 睡眠の過不足で、死亡率が増加(07/10/12)