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『トランキラ・トランペルトロイ』(ミヒャエル・エンデ作、ほるぷ出版)

【本との話】がんばりやのかめ

 【大紀元日本12月11日】『うさぎとかめ』のお話を覚えていらっしゃいますか?足の速いうさぎさんと、歩みののろいかめさんとが、お山のてっぺんを目指して走り比べをしました。走るうさぎさんが、歩みののろいかめさんより速さにおいて有利なのは明らかでした。

 うさぎさんはピョンピョン跳んで走ることが得意でしたが、かめさんはゆっくり歩くことが流儀だったのです。でもお山のてっぺんに先に着いたのはかめさんでした。どうしてだったのでしょう? うさぎさんはレースの途中で昼寝をしてしまいましたが、かめさんはただひたすらゆっくり休まずに歩き続けたからでした。

 もしもしかめさん・・・の歌を、かめさんが歩みの中でどんなふうに歌っているのか? 知っていますか? かめさんは歌詞をワンフレーズごとに、逆さにして唄っているのです。「しもしも よめか よんさめか でちうのいかせ どほえまお いろののみゆあ いなはのも てしうど になんそ かのいそお」

 逆さまにかめのテーマソング「もしもしかめさん」の歌を唄って、誰もなしえない大旅行を成し遂げた《がんばりやのかめ》さんの物語を、つい最近発見して感激しました。『トランキラ・トランペルトロイ』(ミヒャエル・エンデ作、ほるぷ出版)という絵本です。

 エンデ(1929-1995、ドイツ)はかめのコレクターとしても知られた、飛びっきりユニークな児童文学作家でした。日本で1985年に公開された映画「ネバーエンディング・ストーリー」(原作はてしない物語・エンデ作)で、広く日本で知られるようになりました。

 エンデにとってかめは、古代の叡智の泉を私たちにそっと伝える体現者であったようです。かめの甲羅は世界を覆う屋根のようなもので、洪水や雨降りのレインコートにもなって、みんなを太古の叡智で保護するのです。

 ある日がんばりやのかめ「トランキラ」は自分が今棲んでいる古いオリーブの木から、世界の果てよりまだ遠いライオンのほらあなへ向けて旅立ちを決意します。レオ28世(ライオンの王)の結婚式に招待されていると信じ込んだのでしたが・・・世界一歩みののろいトランキラは果たして間に合ったのでしょうか? もちろん早くも遅くもなく、かめさんの歩みの流儀でぴったし丁度に間に合ったのです。

(そら)

 (08/12/11 21:57)  





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