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インドは、中国がパキスタン、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、スリランカに軍事援助や経済援助を行って、いわゆる「真珠の数珠つなぎ」政策の一環としてインドを包囲していることに、強い警戒心を示している。

中印国境紛争、一触即発の緊迫感

 【大紀元日本11月4日】今年に入り、中国とインドの関係が緊迫化している。ダライ・ラマ14世が来週インドを訪問するほか、国境を巡る紛争がエスカレートしていることなどが起因とみられる。インドは、中国およびパキスタンとの間で起こりうる戦争のために、早急に軍備を整えている。

 米メディア「examiner.com」が、インド国防省の官員の話として先月31日に伝えたところによると、中国およびパキスタンとの間で起こりうる戦争のために、インドはすでに、50億ドルに上る武器・戦闘機の購入やメンテナンスの10年契約を含む、2つの軍事条約をロシアと締結した。さらに今後5年間に約300億ドルの最新武器システムや攻撃戦闘機を購入する予定だという。

 「インドデイリー」1日付けの報道では、インドの軍部は、パキスタンと戦争が起きることを想定して、パキスタンを援助する中国軍を撤退させる具体的な戦略をすでに計画しているという。中国軍が1962年の対印戦争を繰り返した場合、インドは「中国軍にとって忘れがたい教訓を与える」と警告する。

一触即発の中印関係

 最近、中印両国関係は、表面的な外交辞令を交わしながらも、実際は異常なレベルにまで悪化している。アジアのこの二大国の局面を制御することが不可能となり、戦争が勃発する恐れが高まっていると懸念されている。

 今年に入って、中国は、インドの宿敵であるパキスタンに協力してインドのカシミール地区の開発を進めており、インド首相は、10月中旬に紛争地域を訪問している。

 更に、インドはアルナーチャル州にダライラマを招聘している。チベット仏教の最高指導者ダライラマと十数万人のチベット人亡命者を受け入れたインドを、中国共産党政権は恨みに思っている。2008年のチベット人への大弾圧に見られるように、チベット問題で緊張している中共政権の逆鱗に触れるに違いない。

 中共政権の機関紙・人民日報は10月中旬、「軽率と傲慢」と題した社説の中で、インドがいかに無鉄砲でうぬぼれており、覇権意識を織り交ぜた超大国の夢を追っているかなど、過激にインドを攻撃した。さらに中国外務省は、インドのシン首相がアルナーチャル州を訪問したことに強い不満を表している。

 これに対しインドは、中国がカシミール地区でパキスタンの水力発電所建設に協力していることを指摘して反撃。インドは今年、中印国境での増派に踏み切り、ヒマラヤのふもとに航空機用の滑走路を3本増設した。チベット南部地区に配備された中共政権の軍備に匹敵させ、中国の国境部隊の侵入を阻止する動きである。

 こうした情勢について、北京大学の南ア問題を専門とする韓華氏は、「危機管理は中印双方、最も切迫した課題なので、双方の情勢悪化は望ましくない」と指摘する。

 一方、中国南ア研究所副主任である沈丁立氏は、争いの背後には深い恨みがあるとし、異なる見解を示している。「問題の所在は指導権。つまりどちらがアジアをリードするかということ」と簡潔にまとめている。

インドに手を差し伸べる米国

 米国は昨年、インドと米印原子力協力協定を締結した。「中印関係には大きな刺激」と、フランス現代中国研究センターのハッチェト(Jean-Francois Huchet)氏は指摘している。この協定は米印関係の親善が深まったことを示すだけでなく、インドの軍事核施設の進展を促すことにもなるので、北京は懸念せずにはいられないと語る。

 ロンドン大学のパント(Harsh Pant)教授は、インドが自信を深め、より主動的な外交姿勢を示し、日本とオーストラリアとの連合軍事演習の行ったことなどから、「中国にとっては自分の敵が浮き彫りにされてきた」とする。

 インドの南アでの影響力を必死に抑制する中国に、インドは憤懣している。中国がインドの宿敵であるパキスタンと同盟を結んだことが、火に油を注いだ。また、隣国のバングラデシュ、ミャンマー、ネパール、スリランカへの中国による軍事援助は、インドにとって懸念の種だ。

 上述の北京大学・韓華氏は「米国の政策は、中国をけん制するようインドに求めているように見えるが、米印原子力協力協定の調印そのものが、米印関係を象徴している」と指摘する。

ロシアとの関係を強化するインド

 先にも述べたように、インドはすでに50億ドル相当の10年契約を含む、二つの軍事条約をロシアと締結している。また、今後5年間でさらにロシアから武器や戦闘機を購入する予定だ。 

 ロシアには軍事市場が必要だ。インドは戦略的な保障という立場から、従来の対露関係を是正し、ロシアとの関係を深めることで中国に対抗している。同時に、南アではロシアが中国を警戒するよう、喚起を試みている。資源と影響力の獲得で、中露は競い合ってきた。インドは中国から包囲される恐れがあると警戒している。長期的な視野に立つと、インドが対露関係を深めようとすることは極めて順当だと思われる。

ダライラマはインドの切り札

 互いに猜疑心を抱きながら、中印両国は常に友好関係に言及してきた。しかし、ダライラマのアルナーチャル州への訪問が、新たな摩擦を引き起こすことは避けられない。人民日報の社説は「北京の意図を示すもの」と韓華氏は解釈している。

 前述のロンドン大学のパント教授は、インドにとってのダライラマの存在を次のように解説する。「ダライラマ以外に、中国と直接交渉する札はない。いわば、ダライラマは、インドが中国に対抗する際の最後の切り札であり、彼の訪問は、言うまでもなく、明確な信号を意味している」

 また、前述のハッチェト氏は「両国の民族主義による衝突が起きれば、制御は難しく、いつ治まるかも分からないだろう」と案じている。

(翻訳編集・小林)


 (09/11/04 07:20)  





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