THE EPOCH TIMES

日中間対立、「民族問題ではなく 自由民主主義と中共強権との衝突」=袁紅冰氏

2010年11月08日 17時52分
 【大紀元日本11月8日】「中国共産党に統治されている中国人と比べて、日本人は依然モラル原則をしっかり保っている民族だと感じた。中国人自身のせいではないが、共産党60年の専制を経て、現在中国人の多くは道徳の面では完全に堕落してしまった」-初めての来日で日本についての印象を聞かれ、亡命中国人作家・袁紅冰氏はこう答えた。一方、「現在の日本はすでに魂と理想を失い、経済的な機能だけの存在に衰退してしまった。高い志のある大物がいなくなり、凡庸な政治家ばかりである」と日本に対してズバリ批判。

 1952年中国内モンゴルの出身で、文化大革命が終わった後北京大学法律学科に入学した同氏は、現国家副首相の李克強氏と同級生、次期後継者の習近平氏とも飲み友だちだった。北京大学を卒業後、同大学法学部で教鞭を執ったが、1989年の天安門学生民主運動で学生を支援したため北京大学を退任させられ、西南部の貴州省に左遷された。貴州師範大学法学部長を務めていた2004年、豪州訪問中に政治亡命した。現在シドニー在住、執筆と民主活動を中心に行っている。

 中国高層幹部とその家族から入手した内部機密文書に基づき、昨年台湾で、中国共産党の対台湾謀略の全貌を描く著書『台湾大劫難』を出版し、中国共産党が2012年までに経済、文化、政治上の統一を経て戦わずして台湾を勝ちとるという戦略を暴露したことで、大きなセンセーションを起こした。8月に同著書の邦訳『暴かれた中国の極秘戦略』が出版されたことをきっかけに、10月末から11月初めにかけて来日した。10月31日に都内で行なった講演で、最近出版されたもう一冊の『台湾大国策』で明らかにした中共のアジアでの政治拡張野心や、日中問題の本質などについてスピーチし、その場で日本についての感想をうかがうことができた。

 スピーチと取材内容について2回にわたって紹介する。

 日本の印象とその将来について

 中国共産党に統治されている中国人と比べて、日本人は依然モラル原則をしっかり保っている民族であると感じた。中国人自身のせいではないが、共産党60年の専制を経て、現在中国人の多くは道徳の面では完全に堕落してしまった。一方、日本は基本的に西洋の物質主義に影響されており、典型的な経済的機能の存在である。日本人はすでに国の魂を失い、国の理想を失っている。それは人類全体の危機を表しているとも言える。

 「東方は自由の救いを必要としている、西方は自由を救うことを必要としている」。私は人類の現在の危機についてこう理解している。15億人の中国人は未だに共産主義の独裁の下で生活しており、自由に恵まれない政治奴隷のままである。このような中国は一刻も早く自由民主の体制を実現しなければいけない。

 西方の民主体制を取っている日本は、まさに「自由を救ってあげる」べきであろう。現在の日本人は、自分以外のことに関心を持っていないように思える。中国人の苦痛、チベット人やウイグル人の苦難は、自分たちと無関係のように見える。日本を含む西方社会は、自由に対する理解を見直し、人類の正義と真理についてもっと人道的な視野から関心を寄せなければ、その自由民主制度も大きな危機に直面することになる。それは中共強権が世界で全体主義を展開する時に来る。事実、この拡張はすでに始まっている。日本を含めて西洋社会は現在、理想主義に欠けており、真理に近づく国家政策と国家意志に欠けている。このような精神状況では、人類史上最もずるく最も陰湿な中国共産党独裁政権と戦っても勝てないと、今回日本にいる間に感じた。

 日本の今後について、急務は、政治家らが目先の利益ばかり追求するではなく、日本を経済的な機能体から理想主義の追求者に転身させること、そして人類の自由民主を守るために日本の国策を立て直すことだ。自由民主への追求を持ち、理想主義を持つ政権は、必ず同じような価値観を持つ国民を育てる。その反対に、権力を握る政治家たちが経済や金で動かされるばかりならば、その国は自分の理想主義を立て直すことはできないであろう。

 台湾で講演した時、ある学生に「自由が欲しいからといって中国共産党の政治奴隷になりたくはないが、中共と戦う勇気と勝てる自信もない。どうすればいいか」と聞かれた。私は「それでは私も仕方がない。私だけでなく、神さまもどうしようもない」と答えた。

 日中民族間、ナショナリズムの対立の罠にはまらないように

 中共は今、とても陰湿な政治政策を実行している。つまりナショナリズムの旗で全体主義拡張の本質を隠すことだ。実のところ、今日の中国の一般国民と日本国民の間にどんな対立が存在するのか。いかなる対立も存在しない。その対立の実質は、中国共産党の全体主義拡張と自由民主主義の間の対抗であるにほかならない。これが肝心なところであるが、中共はナショナリズムを使ってそれを隠そうとしている。

 残念なことに、中国の知識人も日本の政治家もそれを見抜くことができなかった。日中両国の間に調整できないような民族間対立は存在しておらず、日中間の対立の本質は、中国共産党が世界拡張戦略を実施するために、まずアジア諸国に臣服させることである。

 中共内部から入手した情報によると、中国で起こっていたデモは完全に政府に扇動されたものだ。国家安全部、公安部、教育部、外交部など4つの部署が臨時対応本部を作って、大学内に設置されている共産党組織、たとえば共産党委員会、共産党支部、青年団委員会、青年団支部、学生部などを通じて反日デモを起こさせたのだ。

 中共が国内で反日デモを扇動するのは、その台湾外交戦略のためにほかならない(※この見解についての詳細は後半部で紹介)。「政治の奴隷に真情なし」の言われるように、街頭の反日デモに参加した中国人らが本当に日本に反対していたとは私は信じない。

 この場を借りて、日中民族間の対立を操り、日中関係を歴史の暗い影に縛りつけようとする中共の陰謀を見抜くよう、日中両国の民衆に呼びかけたい。将来、世界のメインとなる衝突は、中共暴政が代表する全体拡張主義と自由社会が代表する民主と人権理念の間の衝突だと思う。日本の皆さんがそれをはっきりと見分けられなければ、今の盲目的な反中感情も、日中両国が互いに敵対関係に陥ることも、良い国際情勢へと導くことができないと思う。

 今後、中共と他の自由民主国家の間で衝突を絶えないと思う。衝突の本質は中国人と日本人の間の衝突ではなく、中共独裁と自由民主社会との間の衝突、つまり全体主義と自由の衝突である。それをただ偏狭なナショナリズムとしか認識できなかったら、中国共産党の陰謀にはめられることになる。

 この点を見分けることができたら、中国の民衆を含めて世界中の心から平和を愛する人々がはじめて統一戦線を成して、中共暴政と最後の戦いをすることができる。自由と民主を求めるための中国民衆と中共の間で起こる戦いは、人類が血まみれの共産主義運動を終結させる最後の戦いとなると思う。この戦いが終わった後、人類の歴史は新しい段階に入る。

 歴史の長い流れから見れば、正義は最後には必ず勝つとはいえ、正義はすべての時点で勝利するとは限らず、時には失敗の谷間に落ちるかもしれない。今の世には、偉大な政治家と哲学者がいない。もし世界中の人々が自由と民主の勝利を手に入れたいならば、今後また多くの苦闘をしなければならない。

 尖閣諸島問題:対台湾戦略の一環

 今、中共は日本に対して強い態度を取ろうとしているのか、それとも弱い態度を取りたいのか、多くの日本人はとても知りたがっている。実は、中共は自分の必要に応じて、時に強い態度、時に弱い態度を取っている。例えば、ソ連と世界共産主義運動の主導権を争い、日米と組んでソ連と対抗した時代に、中国共産党は中国民衆の同意を得ずに日本に戦争賠償の権利を放棄したのは、日本にとって大変な善意とも言えるが、今日の尖閣諸島問題ではまたこれほど強硬な態度を取っている。それはなぜだろうか。

 尖閣諸島問題を引き起こしたのは、実は中共の外交部だ。この問題において強硬な態度を見せたのは、台湾の馬英九政権に見せるための戦略の一環である。

 中国共産党の世界拡張戦略の第一歩は台湾で、第二歩がインド、第三歩は日本である。現在、中国共産党は外交上の注意力を台湾問題に集中し、すべての行動は台湾問題をめぐって展開している。つまり中国共産党は、2012年秋開催の第18期党大会を前に、台湾問題を解決しようと計画している。この戦略は中国共産党の今後の運命に関係するだけでなく、胡錦涛個人の政治前途にも関係している。

 胡錦涛が最高指導者になってから、軍事手段を主とし統一戦線を補助手段とする江沢民の台湾戦略を変えて、「超限戦」、つまり経済、文化、宗教、メディアなどの領域での統一戦線を主とし軍事闘争を補佐手段とする戦略を実行してきた。2012年までに「超限戦」の戦略が実現できなかったら、中共内部の大量の反胡錦涛派はきっと騒動を起こす。だから、胡錦涛は任期内に全力で彼の台湾戦略を推進させるに違いない。この点が分かればはじめて、日中外交において起こった事件を理解できる。

 尖閣諸島問題での強硬な態度は、台湾の馬英九政権に見せるのが目的であり、台湾と中共の間に外交上の一体感を持たせる一致点を作ることが目的である。最近締結した「経済協力枠組み協定(ECFA)」はすでに両岸の経済一体化を実現させた。つまり台湾経済を法律上中共に従属させた。今、尖閣諸島問題を通じて同じく台湾の外交を中共外交のに従属させようとしているのだ。

 しかし、尖閣諸島問題では強硬な態度を取っているが、日中外交で全面的に強硬な態度を取るとは限らない。例えば、尖閣諸島問題で強硬な態度を出した後に、レアアースの貿易で中共は少し譲歩した。日本が台湾問題に介入しない限り、中国共産党は東シナ海油田問題で大幅に譲歩する可能性があり、北方四島の領土問題においてロシアと日本の間に入って日本に有利な調停を行う可能性もあり、また日本の常任理事国入りを支持するかもしれない。しかし、台湾問題を解決し、インド問題も解決した後、次のターゲットは日本となる。中共のアジア戦略の最終目標とは、日本を中共の政治従属国にさせることなのだ。

 尖閣問題を通して、中共はもう一つの狙いがある。台湾と米国、日本の関係を引き離して、中共が2012年に台湾に武力を使う時、日米の介入の可能性を極力下げることである。当然、外交手段以外に、中国共産党は他の面でも準備している、例えば軍事面の準備である。中国の太行山(山西省)の地下数百メートルの洞窟に中共のミサイルが隠されている。これらの中距離弾道ミサイルは、米国の空母に打撃を与えるための中共のいわゆる秘密武器である。

 (続く)

(陳櫻華、趙モジャ)


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