THE EPOCH TIMES

不動産値下げによる契約解除が続発 専門家「信用の危機」と懸念

2011年11月23日 09時35分
 【大紀元日本11月23日】中国の大都市では、不動産価格の値下げを受けて、手付金納付済みの未完成物件の契約解除が多発し、買手と業者の間で、暴力的な衝突が相次いで発生している。キャンセルする買手側は、不動産開発業者が当初設定した販売価格に不正があり、適正価格に下がった場合の損失は業者が担うべきだと主張する。一方、不動産業界の関係者は、値下げの引き金は政府の購入制限令だと不満を漏らしている。

 中国国営新華社は21日付の関連報道で、最新の不動産統計データを引用した。それによると、ここ2ヶ月足らずの間に、北京や上海、南京などの都市部8カ所の不動産販売事務所で、価格の値下げにより、買手が開発業者と激しく対立し衝突する事件が発生した。契約解除の要求を断られた買手が販売事務所を粉々に壊したケースもあるという。

  中国国家統計局は18日に最新の不動産統計データを公表した。それによると、全国70の大中規模の都市で、市内の新築物件の平均価格が10月から下落し始めた。同政府機関が統計を取り始めた2009年3月以来、下降は初めてだという。

 米格付け会社ムーディーズのシニア・アナリスト、チェンシ氏はドイツ国家ラジオ放送局ドイチェ・ヴェレの取材で、中国の不動産バブルの崩壊は予想より早く始まったという見解を示し、次のように語った。「北京の100平方メートルの住宅の一般価格とエリートサラリーマンの家庭収入の昨年の数字の倍率を算出したところ、市中心部では40倍、郊外エリアでは25倍に達している。米国の不動産バブル崩壊のとき、倍率がもっとも高いサンフランシスコとニューヨーク市でもせいぜい約10倍だった。これは現実的にありえないことだ」。

 専門家の間では、中国の不動産バブルはいよいよ終焉に向かっているとの見方が強くなっている。

 ボイス・オブ・アメリカ(米VOA)は、関連報道で「政府の購入制限令は正しいが、それによる損失を消費者に全部押し付けてはならない」と語る上海市の買手の言葉を引用している。政府の決定が契約の解除に結びついたと主張し「不動産業者が設定した高い価格の損失をすべて我々に負担させてはならない」という。

 一部の専門家は、不動産売買は商業行為であり、価格が変動しても売買契約は遵守しなければならないと指摘する。特別なケースを除き、値下げを理由とする注文キャンセルは違約行為であると語った。

 一方、不動産開発業者は、不動産価格の上昇を抑制するための政府の購入制限令は、企業の資金繰りを悪化させ、年末に向けて資金を回収するためには値下げするしかない、と不満を漏らしている。

 VOAは、中国の不動産情報会社「中国地産信息集団」の上海地区の研究総監・薛建雄氏の発言を引用した。「現在、6、7社の不動産開発業者が十数カ所の集合住宅物件の価格を2~3割値下げし、資金を回収させようとしている。調査したところ、多くの業者が今回の値下げに参加することが見受けられる。彼らの資金繰りも非常に深刻だ」

 中国の不動産市場には「値下げする度に契約解除が殺到する」という独特の現象があり、中国国内の専門家はこの点について、様々な見解を示している。

 中国総合開発研究院の旅行・地産研究センター主任の宋丁氏は、中国政府メディアの取材に対して、契約解除が殺到する原因として、不動産販売における業界用ガイドラインの作成が不十分であることと、政府のずさんな管理・監督を指摘している。

 また、VOAの報道は、江蘇省の不動産アナリスト・言亮氏の見解を報じている。「突然の値下げのほか、販売過程でよく見られる、履行しない嘘の約束事と詐欺的な宣伝も問題点の一つだ。政府の疎かな管理・監督も、業者の悪徳行為を助長している。たとえ買手側が確かな証拠を示して、詐欺的宣伝や約束の不履行を告訴しても、現行の『消費者権益保護法』に守られて、業者が適正な処罰を受ける可能性はほとんどない」

 専門家らは、この種の中国ならではのキャンセル事情は、中国不動産市場で長期にわたり潜む信用の危機が表面化したもの、と指摘している。

(翻訳編集・叶子)


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