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ウォールマートには多くの中国製商品が並ぶが、それらに対して不信感や制裁が起きている(Getty Images)

貿易総額16%減 中国製造業、空前の危機

 【大紀元日本12月31日】海外からの受注生産が大幅に減少したことで、今年の中国の対外貿易は大幅に縮小し、深刻な打撃を受けている。短期間で輸出を金融危機以前の水準に回復する方法はない見通しで、中国製造業は空前の危機に直面している。

 中国商務部の陳徳銘部長は、先週の全国商務会議で、09年の輸出入総額は2・2兆米ドル、昨年比16%減の見通しであると紹介した。また、来年の貿易予測について、「2008年の水準まで回復するのは2011年以降になる」と慎重な口調で話した。

 商務部が先に発表した数字によると、09年の11月までの輸出入総額は1・964兆米ドルで昨年同期比17・5%減、輸出は18・8%減、輸入は15・8%減を記録した。

 世界金融危機は中国の輸出市場を萎縮させただけでなく、国際間の貿易摩擦も激化させた。このような環境の中、巨大な貿易利益を上げてきた中国は、ますます多くの貿易紛争の圧力に直面することとなった。

 土壇場の広告攻勢

 昨年来のメラミン入り粉ミルクなどの事件が中国製品の国際イメージを大きく傷つけた。米国の一部商店では「中国製品は置いていません」という看板を出して、消費者を安心させている。

 11月23日、中国は米国等でテレビコマーシャルの放映を開始し、消費者の中国製品に対する不信感を取り除こうとした。この30秒のコマーシャルは、CNNの国際チャンネルや「アジアニュース」で流され、中国製の服、iPod、飛行機等の製品は、他国の先進技術を取り入れており、「中国製」とはいうものの、実際には中国と世界が共同で製造した製品であると強調している。

 米VOA放送によると、このコマーシャルは元々08年に米国で放映される予定であったが、先延ばしにされてきた。中国製品の宣伝角度として正しくないと指摘する評論もある。

 中国マーケット事情の専門家、ポール・ミドラー氏は、今年4月に出版された著書『Poorly Made in China』(劣る中国製)の中で、中国の生産工場が利潤を追求するため、品質を軽視している内幕を暴露した。同氏はVOA放送に対し、有名ブランドだから中国製でも安心というわけではない。多くの場合、製品の品質問題は完全に中国の工場側に責任があると指摘する。

 世界の工場には不適格

 注意深い消費者は恐らく、欧米市場で販売されている中国製品のラベルの「Made in China」という文字の前に「designed by XX」(××のデザイン)と表示されていることに気づいているだろう。このほんの数文字によって、消費者は中国製品の質に不信感を持っているということ、そして中国の製造業が依然として国際産業チェーンの中で低い位置にあるということがわかる。

 創造力が求められる製品の設計や研究開発において、中国企業の影は薄い。「中国製」とは量的な優勢に過ぎない、と中国大陸のメディアが指摘している。

 英カーディフ大学のパット・ハドソン教授は、著書『世界の工場』で、19世紀の英国製造業に言及し、世界工場は、量的に優位であるだけでなく、国際市場において相当の市場収益を占め、同時に「質」に対する要求もクリアする必要があるとしている。すなわち、世界工場は、先端技術と創造性の両方を兼ね備えることが求められる。

 同著は、中国製造業が避けることのできない問題として、コア技術の立ち遅れ、技術集約型製品の欠如、ならびに世界水準に達する中国企業の欠如を挙げており、人民元の切り上げや大口商品価格の上昇、労働力コストの上昇に直面し、低コストに頼る中国製造業は持続不可能だと指摘している。

 加熱する貿易摩擦

 靴、タイヤ、鋼材などの中国製品の対欧米輸出は、世界金融危機以来、紛糾が絶えない。米国通商代表部の11月22日の発表によると、中国は09年に各種産業政策を通じて、非中国製品と外資系サービス・プロバイダーが中国に入ることを制限した。

 11月末、米商務省は中国製油井管と付属品が不正な補助金を受けているとして、関連製品に対し、反補助金制裁措置として、前年実績を対象とする約27億ドルの懲罰的関税を発動した。米国の中国に対するこれまでで最大の貿易制裁措置である。

 これより前には、米国際貿易委員会は中国製シームレス鋼管に対し、輸出制限を発動。また、中国から輸入した銅板紙(アート紙)などにも反ダンピング関税と反補助金関税を決定している。

 これに対し、中国は来年、貿易摩擦対応の戦略を積極的に制定・実施し、政治交渉、法的抗弁、WTOの紛争解決システムなどの手段を用いて、貿易摩擦への対応能力を強化すると、中国政府高官が伝えている。

 しかし、単純に外交に頼る交渉では、表面上の問題を解決することしかできない。中国の製造業の構造的問題を根本的に解決しなければ、全ては水泡に帰すと専門家は指摘する。

(翻訳編集・坂本)


 (09/12/31 05:00)  





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