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ウォールストリート・ジャーナルは、統計上で中国の米国債保有高が減少しているように見えるが、実際に香港などの金融センターを通じて密かに米国債を購入していると分析する(Getty Images)

中国の米国債保有急減 業界:「実際は減っていない」

 【大紀元日本2月23日】米国財務省が16日に発表した国際資本統計によると、2009年12月末時点の中国が保有する米国債が前月比342億ドル減の7554億ドルとなり、米国債保有高で日本に首位の座を譲ったという。同統計によると、中国の米国債保有高は11月と12月、2カ月連続で減少した。

 米中間の政治摩擦が頻発する時期に起きたこの現象は、市場に多くの騒動と憶測を呼んでいる。中国は09年5月に米国債保有高が過去最高の8015億ドルに達していた。米国財政赤字の拡大と、2009年に入ってから頻発する米中貿易摩擦及び、米国が台湾への武器売却などの経済的、政治的要因で、中国政府が意図的に米国債を減らしているとの見方もあるが、一方、18日米紙の報道によると、中国政府が香港及びイギリスの金融市場から匿名で米国債を購入している可能性が高く、実際には中国政府が保有する米国債は減っていないと、業界のアナリストたちは見ているという。

 18日付の「ウォールストリート・ジャーナル」中国語電子版は、中国の米国債保有減について、「暗渡陳倉」(暗かに陳倉に渡る)(※)の術であると指摘。中国政府が香港及びイギリスの金融市場から米国債を購入している可能性が高いことから、実際に中国政府が保有する米国債は減っていないという。

 同報道によると、イギリスと香港は過去1年間において、それぞれ保有する米国債残高が倍以上と急増した。09年12月末時点、イギリスの米国債保有高は3025億ドルに達しており、中国に次ぎ3位となった。10位の香港は12月末時点で保有高は1529億ドルに達したが、同地域の2008年12月末時点の保有高は772億ドルだった。

 イギリスと香港が購入した米国債のうちの半分は中国政府からの指示によるものだと、ウォールストリート・ジャーナルは指摘する。世界金融センターである香港市場とロンドン市場においては、一般的に顧客である投資家からの委託により米国債を保持することができる(カストディアン制度)からだという。そのため、中国政府が実際に保有する米国債総額は米財務省「国際収支統計」の「中国本土」項目に記載されている額よりも多いとみられる。

 中国政府は、対ドルの人民元為替レートを一定の水準に、または巨額な国際収支黒字を維持するには、中国人民銀行にはこの部分の黒字をドル建て資産に入れざるを得ない。米国債は中国政府にとって外貨準備高を運用する上で最も便利で、最も安全な手段だ。このため、中国当局は、地の利を持つ特別行政区である香港を通じて、米国債に関する運用を行っているとみられる。

 カナダ全国紙「グローブ・アンド・メール」同日の報道も、中国政府が非公式なルートを通して密かに米国債を購入している可能性が高く、中国は依然最大の米国債保有国であると指摘した。

 中国経済及びそれの影響について分析する専門研究機関「GaveKal-Dragonomics」の責任者で、中国経済専門家Arthur Kroeber氏は、AP通信の取材に、「中国は米国債を売却していると思わない。違う投資ルートで購入している。それによって中国の真の意図を隠している」と話した。

 一方ブルームバーグによると、中国政府が保有する短期米国債高(1年未満)は昨年5月の2100億ドルから12月の697億ドルに急減した。国債の満期を迎えたのが主因だという。

 また、米財務省の国際資本統計によると、12月末時点の中国が保有する「トレジャリー・ビル」(Treasury Bill)が前月比で388億ドル減に対して、長期的な「トレジャリー・ボンド」(Treasury Bond)は46億ドル増加した。中国は長期的な米国債を買い増しているようだ。現在米国の政策金利がほぼ0%の水準にあるため、短期国債、例えば3カ月物米国債の年利回り率は0・09%しかない。一方、長期金利である10年物年利回り率は1・35%の水準で推移している。

 中国政府系報道機関「新華網」は17日、業界人士の分析を引用し、「今回我が国の米国債保有を減らしたのは、米ドルがテクニカル面において反発したためで、我が国が大幅に米ドル建て資産を減少したことを意味しない」と示唆した。


(※)三十六計の第八計で、正面から攻撃するように見せかけ、敵軍の注意を引き付けておいて、遠回りをして奇襲をかけ、勝利を得る作戦。

(翻訳編集・張哲)


 (10/02/23 08:39)  





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