THE EPOCH TIMES

【味の話】 トマト

2011年10月04日 07時00分
 【大紀元日本10月4日】夏野菜の代表格として人気のトマト。今では年中お店に並び、料理のレシピも盛りだくさん。サラダのほか、ピザやパスタ、スープや炒めものなど加熱した料理にも利用されています。「トマト鍋の素」の市販品や「トマトラーメン」の専門店まで存在するほど日本ではお馴染になりましたが、日本で食されるようになったのはそんなに昔ではないのです。

 まず、トマトという呼び名の語源をご存知ですか。「膨らむ果実」を意味する「トマトゥル」からきています。トマトゥルとは元来「ホオズキ」を指し、形がよく似たトマトも同じ名前で呼ばれたようです。この「トマト」という呼び名ですが、面白いことに世界共通ではありません。イタリアでは「ポモドーロ(黄金のリンゴ)」、フランスでは「ポム・ダムール(愛のリンゴ)」、イギリスでは「ラブ・アップル(愛のリンゴ)」と、様々で、昔からヨーロッパでは値打ちの高い果物や野菜を「リンゴ」と呼ぶ習慣があったのです。

 トマトの故郷は、南米ペルーを中心としたアンデス高原の太平洋側の地域という説がもっとも有力です。トマトの原種はいずれも現在のミニトマトに近い形で、たくさんの小さな実をつけたチェリータイプです。中でも糖度が高く、熟すと真っ赤になる野生のトマトは人間や鳥、獣が好んで食べていたそうです。その後メキシコで食用として栽培されるようになりました。 

 ヨーロッパでトマトが食べられるようになったのは、18世紀になってからと言われています。トマトはヨーロッパに持ち込まれてから200年もの間、食用として受け入れられませんでした。トマトの強烈な匂いや鮮やかな赤い色への抵抗感、さらにナス科の植物には麻酔作用や幻覚作用のある植物が多かったことから、トマトが有毒植物であると信じられていたためと考えられています。一説によると、ヨーロッパでトマトを初めて栽培し、食用としたイタリア人は、飢饉のために仕方なくトマトを食べたのだそうです。

 日本にトマトが伝わったのは17世紀なかばで、最初はヨーロッパ同様、観賞用として珍重されていました。食用になったのは明治以降で、キャベツやたまねぎ、アスパラガス、にんじんなどの西洋野菜とともに改めてヨーロッパやアメリカから導入されました。

 その西洋野菜にいち早く目をつけ、栽培に着手したのがカゴメの創業者である蟹江一太郎氏です。農家の跡取りだった蟹江氏は自宅の土地にトマトをはじめ様々な西洋野菜の種を蒔きました。しかしトマトだけは独特の青くささと、真っ赤な色が敬遠され、全く売れずに頭を悩ませます。そんな折、西洋ではトマトを加工して使うこともあると聞き、舶来のトマトソースを手本に独自のトマトソースの開発に乗り出しました。一家総出で試作品に取り組んだ結果、1903年(明治36年)に第1号のトマトソース(現在のトマトピューレー)が完成。高い評価を受け、5年後には、トマトケチャップの製造を始めました。当時はコロッケなどの洋食がもてはやされていたため人気は上昇、さらに大正初期から昭和にかけて、家庭料理の洋風化がすすむにつれ、トマトケチャップは家庭の味として定着していきました。

 日本人がトマトを食べるようになったのは昭和に入ってからです。においも酸味も弱く食べやすいトマトでした。日本人が洋食を食べるようになると、トマトの需要も伸びていきました。ほとんどは生食用の大玉トマトでしたが、様々な品種改良と交配によって、中玉トマト、ミニトマト、プチトマトなども登場し、ずいぶん賑やかになりました。 最近では、小さめで甘みの強い徳谷産のフルーツトマトや、熊本県産の塩トマトなどに注目が集まっています。

 冬春トマトは甘みが強く、夏秋トマトは酸味が強いので、季節ごとの味わいを楽しむことができます。トマトを煮込み料理にすると少し煮詰められ、全体の成分が濃くなります。そうすると、グルタミン酸の味が引き立ち、料理に強いうまみを与えることになります。また、グルタミン酸は他の調理材料から来る別のうまみ成分と一緒になると、いっそううまみが強まる効果があり、魚介類の煮込みにトマトを使うとおいしくなる秘訣はここにあります。トマト自身は癖のない野菜であり、他の素材のおいしさを引き立てる影の立役者といえるでしょう。

 トマトやミニトマトには、私たちの健康維持に欠かせないたくさんの栄養素が含まれています。ビタミンA・B6・C・E・リコピン(カロテン)・リンゴ酸・クエン酸・カリウムなど、どれもが健康維持には欠かせないものです。中でも特に注目されているのが、リコピン(カロテン)です。リコピンは、カロテノイド(カロテン)という色素の一種で、紫外線や放射線、過度の飲酒によるストレスなどによって生成される活性酸素のダメージから私たちを守ってくれます。トマトやミニトマトの赤い色はこのリコピンが豊富である証です。 「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がありますが、トマトの栄養成分はそれほど優れているということでしょう。

 最後にトマトケチャップの作り方をご紹介します。

 ―約500gのケチャップの材料―

 完熟トマト2kg、タマネギのすりおろし60g、砂糖80g、塩20g。

 香辛料:タイム小サジ1、シナモン小サジ1、セージ小サジ1、丁子6本、ベイリーフ5枚、コショウ、唐辛子粉少々

 ―作り方―

 1.きれいに洗ったトマトを熱湯につけ、皮の湯むきをします。 

 2.トマトを横に半分に切り、種を取り出しておきます。種が残っていると食感が悪くなります。 

 3.トマトをザク切りにして、裏ごしをします。ミキサーを使えば1分くらいで裏ごしができます。

 4. ステンレスかホーローの鍋に裏ごしトマト、すりおろしたタマネギ、コショウ、唐辛子粉を加えて中火で煮つめます。1時間位煮つめ砂糖を加えます。

 5.焦げつかないように気をつけながら、出てくるアクはていねいに取り除きます。

 6.半分くらいまで煮詰まったら香辛料を加えます。

 7.3分の1くらいまで煮つめたらでき上がり。このままでは少しツブツブ感があります。

 8.ベイリーフやグローブの実は取り除き、滑らかにするためにもう一度ミキサーにかけます。これでトマトケチャップのでき上がりです。

 でき上がったケチャップは煮沸消毒したビンに詰め、冷蔵庫で保存します。保存料を使っていませんので2週間くらいで使い切りましょう。

 
(大鬼)


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