=インタビュー=林保華:モンゴルの「脱共」および米中の外交戦略

2005年12月05日 10時55分
 【大紀元日本12月5日】11月21日、ブッシュ大統領がモンゴルを訪問した。歴代のアメリカ大統領在任中の訪問は今回が初めてで、これは重大な意義があると分析家はいう。モンゴルは中国とロシアの間に位置し、アジアでは共産主義から議会制民主主義に移行した初めての国である。ブッシュ大統領はモンゴルが共産政権を転覆したことを高く評価し、米国の要請にこたえて、イラクとアフガニスタンに兵力を派遣したことに感謝の意を表した。モンゴルはまたコソボ、西サハラ、コンゴとスーダンでの平和維持活動にも参加しており、12月には150人の兵力をシエラレオネに派遣する。報道によると、ワシントンはモンゴルの軍隊を改善し、国際平和維持訓練センターを作るために、1,100万ドルの支援を提供するという。 

 大紀元は著名な政治評論家の林保華氏に、モンゴルの共産陣営からの離脱と、アメリカと中国の外交戦略および米、中、露関係について独占インタビューを行った。以下はインタビューの内容である。

 
今年4月23日ニューヨークで開かれた脱党集会で演説する政治評論家・林保華氏

モンゴルの共産陣営からの離脱について

 記者:モンゴルが共産政権を転覆した経緯を教えてください。


 林保華氏:モンゴルも以前はロシアの「衛星国」でした。ソ連崩壊後、モンゴルの野党が選挙を勝ち抜き政権をとりました。一般的に言うと、共産党の崩壊はその国の民主化への大きな進歩だといえます。野党政権は不安定ではありますが、共産党はもう好き勝手にはできなくなりました。共産党は親民感情を表し、国民の権利、民主と自由を尊重するなどして自分自身を変えざるを得ませんでした。

 前東ヨーロッパの一部の国にも、モンゴルと同様のことが現れました。共産党による一党独裁だったため、野党は政務を執った経験が無く、従って比較的弱いので政権を取ってもわずか一期で退かざるを得ませんでした。そして前の共産党が名前を変え、改造後再び政権の座に着いたのでした。次の選挙ではまた民主派が当選しました。このようにして民主化への道のりは徐々に成熟に向かい、正常な政党競争が現れてきたのです。国民も民主主義を味わった後は、もう二度と独裁政権に戻ることは許さないのです。

 ソ連崩壊後、もちろん一部の国ではまだ独裁が続いていますが、ウクライナを含む東欧諸国では民主化への革命が起きました。ロシアも周辺国家を制御したい気持ちは山々ですが、歴史の流れに直面し、プーチン大統領も比較的、感情を抑えているのです。現在ベラルーシでは依然として共産党による独裁が続いていますが、このような情況も長く続くことは無いと思います。なぜなら国民が周辺国家の民主化を見ているので、彼らが最終的に独裁を許さないでしょう。胡錦涛は東欧の民主化を非常に恐れていながらもやはり旧ソ連時代の道を歩んでいます。衛星国を丸め込んだり、北朝鮮、ベトナムに多額の援助を費やしたり、ミャンマーと友好関係を保っているのがそれです。目的は中国共産党の「共産帝国」を維持するがためです。

 ご存知の通り、共産国家が民主国家に変ると、大変な「反共」になります。それは国民が共産党による苦労を嘗め尽くしたからなのです。一方、民主主義の歴史が長い一部の欧米諸国は、返って独裁政治の邪悪性に対する認識が足りないのです。イラク戦争を例に挙げると、フランスは反対していますが、東ヨーロッパとモンゴルはアメリカのイラク入りを支持し独裁政権を転覆させることに賛成しています。わずか100人あまりの派兵ですが、ここに重大な意義があるのです。

 以前、モンゴルは中ソの間に位置するソ連の衛星国でした。しかし現在、モンゴルは中共とロシアから離れ、自由世界と同盟を結んでおり、これはすばらしいことです。だから今回ブッシュ大統領がモンゴルを正式訪問しました。彼はモンゴルを訪問した史上初のアメリカ在任大統領で、これは重大な意義を持っているのです。 

 アメリカと中共の外交相撲 

 記者:ブッシュ大統領のモンゴル訪問は、「中共の威嚇論」と関係があるという学者がいますが、先生の見解をお聞かせください。


 林保華氏:アメリカの外交政策はつまり、いかに全世界の民主国家を団結させるかなのです。例えば、ブッシュ大統領の訪日、ちょっと前のライス国務長官のインド訪問、少し前のベトナム総理の30年ぶりの訪米、これらの国はちょうどみな中国の隣に位置していますから、この問題もさらに敏感な問題になっているのです。

 実際アメリカの目的は正当なものであり、中国の発展が平和的な発展で、軍事力の発展ではないことを望んでいるのです。アメリカは中国の周辺国家と友好関係を築くことによって、中国の民主化を促すのが目的です。

 アメリカの中共に対するこのようなやり方はおかしいというのならば、中共が何をやったのかを教えましょう。中共は中南米とキューバでいろんなことをしました。例を挙げると、胡錦涛は去年アルゼンチン、ブラジル、チリなどを訪問しましたが、これらの国はアメリカの裏庭であり、中共も彼らを丸め込んでアメリカを包囲したいわけです。中共はベネズエラの丸め込みに成功し、おかげでベネズエラの大統領は実に反米に力を入れています。江沢民と胡錦涛はキューバを訪問したことがありますが、去年11月胡錦涛はなんと破天荒にも2度もカストロと会談したのであります。一回目の会談だけでは物足りず、2回目は飛行機に乗り込む直前にまたカストロに会いに行き、中共とキューバとの関係は尋常ではないことを表しました。ご存知の通り、カストロはアメリカの敵であり、中共も反米のためにこれらの国を利用しているわけです。

 これらの外交闘争が続いていますが、私達はどれが歴史の潮流に合っているかを見ないといけないのです。私達はもちろんアメリカがアジア諸国と団結して中共に圧力を加え、中国を民主化に導くことを支持します。そして中南米諸国を丸め込み、特にキューバのような独裁政権を利用してアメリカに歯向かうことに反対します。もしアメリカもキューバのような独裁国家になったら、それは全世界の大きな損失であり、全世界の不幸でもあります。私達は民主側に立つべきであり、決して独裁者側に立ってはならないのです。

 中国の周辺国家は中共に警戒心を抱く

 記者:もし中国が自由になったら、それは世界にとってまた違う意義があるでしょう。


 林保華氏:もし中国が平和的に、民主的に発展するならば、中国経済の飛躍は全世界にとって間違いなくよい影響を与えるでしょう。しかし現在、中共が行っているのは軍事的発展であり、一党独裁下の恐怖政治の飛躍であり、その経済発展は世界にとっては一つの脅威となるでしょう。理由は中共にその経済力があるからです。中国は13億の人口を有し、それは全世界の1/4を占めており、また一つの独裁国家でもあります。もし軍事力が増大するならば、世界に対する破壊力は一昔前のドイツ、イタリアおよび日本とは比べものにならないほどでしょう。なぜなら、この三カ国の人口を合計しても二億に満たないからです。民主国家だけでなく、ベトナムのような独裁国家までもが中共に対して警戒心を抱いています。でなければ、彼らもアメリカとの関係を修復しようとしないでしょう。

 中国共産党は至る所で他の国と戦略パートナー関係を作り上げていますが、事実上は世界中を騙しています。もしある国家が中共からのパートナー関係の提案を拒絶すれば、中共とその国は敵対関係になるわけですが、これはみんな避けたいわけです。中共はまさにこれを利用して反米の統一戦線を図ろうとしているのです。中共とインドは戦略パートナー関係を作り上げましたが、それも形式上だけの話です。今年、香港の李嘉誠と台湾の長栄がインドのボンベイ港への投資のために入札に行きました。しかしインドは彼らがまだ完全に中国資本でないにもかかわらず、彼らを拒みました。理由は李嘉誠と長栄が中共に非常に近い存在であり、彼らによるボンベイ港への投資がインドの安全に関わるということを認識したからです。このことからわかるようにインドも実は反共なのです。民主国家はみな独裁国家の発展を望まないのです。

 日本は経済がとても発達しており、民主国家で、平和な発展を遂げています。従って日米関係および貿易関係は正常な状態なのです。アメリカだけが中共の軍事発展を警戒しているわけではありません。周辺のアジア諸国はもっと恐れていますが、ただそれを口に出せないだけなのです。たとえば、シンガポールはよく米国と合同軍事演習を行っていますが、その目的は明らかで、米国がアジアで軍事的影響力を維持することを望むからでしょう。

 中共はプーチンに必死にしがみつき、ロシアの後戻りを夢見る

 記者:アジアの安全問題に関して、今回ブッシュ大統領はプーチン大統領と北朝鮮の核兵器に関して会談し、ロシアが米国側に立つことを望みました。一方、米、露、中関係は微妙なところですね。


 林保華氏:中共はロシアにただで土地を差し出し、またロシアから武器を買い込むなど媚を売っていますが、ロシアは石油売買で小細工をしていますね。日本に売るといってみたり、中国に売ると言ってみたり、結局どちらに譲るのかは未だに決着がついていないのです。ロシアは中共からおいしいところを取りながらも、中共とは同盟を結ばないのです。

 それでも中共は必死にプーチン大統領にしがみつき、ロシアが後戻りすることを夢見ています。しかしプーチン大統領は未だに再任のために憲法を改正するといったことは一言も言っていません。私が思うには、プーチン大統領にはその勇気が無いのです。なぜなら、ロシアの国民はすでに自由民主の味を知っているため、後戻りするのは非常に困難だからです。中共もこの点はよく知っているので、必死に中国の民主化を阻止しようとしているのです。

 アメリカの対中政策 

 記者:今回ブッシュ大統領は訪中で、正面から胡錦涛に信仰の自由と民主化問題を提出しましたが、それをどのように評価しますか。


 林保華氏:私はアメリカが対中政策に関して調整しているのだと思います。以前アメリカは中国の経済が発展すれば政治上おのずと民主化の道に進むだろうと思っていました。この思惑が間違っていたことにアメリカが気づいたので、中共に圧力を加えているのです。

 ブッシュ大統領は今度の訪問について何の期待もしませんでした。だから中国側が公式訪問に昇格させてほしかったにもかかわらず、アメリカは同意しなかったわけです。何の成果も得られないことが見えているのに、公式訪問にしたところで人を騙すペテンではないですか。 ライス国務長官も今回の訪問で中共が何の承諾もしていないことに失望をあらわにしています。報道によると、ブッシュ大統領と温家宝首相の会談で、ブッシュ大統領はわずか10句しか話さず、温家宝首相は詩を朗読したそうです。最後にブッシュ大統領が「お腹がすいたので、食事にしましょう」と言ったそうです。結局中共はもったいぶって全世界をだましており、自分の国民をもだましておりますが、それに比べてアメリカは実務に励んでいるということですね。

 記者:ブッシュ大統領は日本での演説で、台湾が自由民主のお手本だといいましたが。

 林保華氏:これも中共に対する圧力ですね。中共はいつも「国の事情が違う」とばかり強調するので、ブッシュ大統領は台湾も民主主義を実現したのではないか、国の事情のどこが違うんだといっているわけです。中共はとても困り、受動的になってしまい、ただ違うといい、国の事情が違うとは言えなくなりました。今後台湾が中国から離れるかどうかは、米国にかかっているのではなく、中国が民主化の道に進むかどうかにかかっていると思います。もし中共が一党独裁を引き続き堅持するのであれば、台湾だけでなく、香港、新疆、チベットも離れるでしょう。

 記者:今回ブッシュ大統領は信仰の自由を強調し、日本、韓国では寺院を参拝しましたが。

 林保華氏:中国では、ブッシュ大統領は北京教会に礼拝に行き、中国のキリスト信者たちに神の御加護があるようにという言葉を書き残しました。これは明らかに中共の宗教の信仰への迫害に対する宣告であります。しかし中共は相変わらず家庭教会の信者を逮捕し、ブッシュ大統領に見せ付けているのでした。いわゆる「硬いものにはもっと硬いもので対処する」ことなのです。以前ブッシュ大統領の来訪時は、胡錦涛はまだ何人かを釈放して誠意を見せましたが、今はもうそのようなこともなくなりました。

 というわけで、アメリカは中共に対して何の幻想も持たず、圧力を加える以外、自分の国際財団を何とか説得し、中共に騙され誘拐されないようにするべきでしょう。

 (大紀元記者=王珍)


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