印刷版   

[-小説-] 思い遣り

 【大紀元日本7月24日】冷たい風が吹く、曇ったある朝、子供を学校に送った私は、町にあるマクドナルドの店に入った。食べ物を注文し、私は窓際の椅子に腰を下ろした。店内に他の客はなく、まだ片付けられていない食べ残しがいくつか置かれたままだった。

 店のドアが開き、ひとりの若い母親が5、6歳の男の子を連れて店に入ってきた。親子は注文を終えると、私の近くの椅子に座り待っていた。しばらくして、今度はひとりのホームレス風の男が店内に入ってきた。彼は汚れたコートを着て、長い髪をたらし、細く痩せていた。彼は頭を垂れたまま、食べ残しのあるテーブルに近づき、食べ物を漁り始めた。男は1本の冷めたポテトを口に入れた。

 「お母さん、あの人、人が残したものを食べたよ!」と、小さな男の子の声が私の耳に入ってきた。

 「あの人はお腹が空いているのでしょう。でもお金がないの。」と母親は言った。

 「あの人にハンバーガーを買ってあげてもいい?」と男の子は小さな声で聞いた。

 「あの人は人の食べ残ししか食べないよ。」と母親の声が聞こえた。

 食べ物を漁っている男は、店内に客がいることに気付き、こっちの方向に目を向けた。彼は男の子と目線が合うと、恥かしそうに、手にあったポテトを素早く捨て男の子に笑顔を送った。その時の男は、別人のように優しい顔つきに変わり、哀れな表情は消えていた。

 やがて店の店員が二つの紙バックをこの親子に渡した。男の子はその中の小さい方の紙バックを手にし、母親の後ろについてドアの方に向かった。

 突然、男の子は足を止め、紙バックから熱気を帯びたハンバーガーを取出し、ハンバーガーをすばやく1口かみ、男の座っていたテーブルに向かった。彼はそのハンバーガーをテーブルの上に置き、照れた表情でドアに向かって走り去った。

 この出来事に、ホームレス風の男はびっくりしたようだ。彼はテーブルに置かれたハンバーガーと、走り去った男の子をずっと見つめていた。

 「自分もここにいないほうが・・・」と感じ、私は食べかけのファーストフードを店の紙バックに入れ、素早く店を出た。

 外に出ると、冷たい風はすでに収まり、青空が広がっていた。

(明心ネットより)


[中国語版又は英語版]:http://xinsheng.net/xs/articles/gb/2003/9/28/23507.htm

 (05/07/24 03:32)  





■関連文章
  • 「-小説-」寛容(05/07/20)