「安倍新政権」で柳沢氏重用の思惑、与謝野氏の後任との声も

2006年09月01日 19時27分
自民党総裁選は1日、安倍官房長官が正式に出馬表明して、麻生外相、谷垣財務相と3人の候補が出そろったが、安倍氏圧勝の勢いという見方が広がっており、早くも政府・与党内では「安倍新政権」の人事に関心が集まっている。その中で安倍氏の選挙対策本部長に就任した柳沢伯夫・自民党税調会長が重要閣僚か党三役の一角に起用されるのではないかとの思惑が急浮上。一部では、与謝野馨・経済財政・金融担当相の後任に座るのではないかとの見方もささやかれている。

 安倍氏の選対本部は総勢44人。柳沢本部長を筆頭に町村信孝・前外相が本部長代理、副本部長には石原伸晃・前国土交通相、笹川堯・元内閣府副大臣ら11人、事務局長に甘利明・政調会長代理と、安倍氏の所属する森派だけでなく、党内の各派閥から顔をそろえ、年齢構成もバランスがよく、ある自民党参院議員は「まさに挙党態勢だ」と皮肉を込める。

 ただ、この選対本部は、塩崎恭久・外務副大臣や世耕弘成・参院議員らこれまで安倍氏の近くにいて意見交換をしてきた議員に混じって、あまり接点がなかった議員も名を連らねており、安倍氏が本音を言える議員だけで構成されていない面がある。

 実際、安倍氏が発表した「政権構想」は、この選対本部に入っていない長勢官房副長官が中心になって取りまとめたとされる。

 経済に決して明るくない安倍氏にとって、柳沢氏は「政権の経済政策運営を安心して任せられる数少ないベテラン議員の1人」(自民党財政改革研究会のメンバー)とされる。

 安倍氏は、勝ち馬に乗ろうとにわかに増えた安倍支持議員に囲まれ、自薦・他薦が交錯すると見られる中で党人事と組閣に取り組むことになる。独自色の打ち出しがうまかった小泉首相と比較され、リーダーシップが欠如していると批判される事態になれば、安倍新政権は出だしからつまずくことになりかねない。

 その意味で財務相や経済財政担当相などの経済分野での重要閣僚に誰が起用されるかは、東京市場の行方に大きな影響を与える海外勢にとっても関心の的となっている。自民党の中では、党内屈指の経済通である柳沢氏を選対本部長に据え、「安倍政権」の重要ポスト就任を既成事実化したいのではないかとの指摘も出ている。

 柳沢氏は与謝野氏が自民党政調会長時代、政調会長代理として与謝野氏を補佐し、郵政解散・総選挙の際に政権公約を取りまとめた経緯がある。今回の本部長就任も、そうした過去の実績を踏まえた安倍人事の先触れではないかとの憶測も出ている。

 一方では、与謝野氏の財務相横滑りの可能性も指摘されており「与謝野氏の後任に柳沢氏が経済財政担当相に起用される可能性もかなりありそうだ」(財政改革研究会メンバー)とみられている。

 他方、与謝野担当相と重要な経済問題でしばしば意見が対立していた竹中平蔵総務相が、安倍内閣で重要ポストに就くのではないか、との観測も自民党内で急速に広がっている。与謝野氏と竹中氏では、マクロ経済政策の基本的なスタンスが異なるだけに、金融市場にとっても、柳沢氏や与謝野氏、竹中氏の処遇の行方から目が離せない。[東京 1日 ロイター] 

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