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(クロアチア観光局提供)

「豊かさ」の豊かな国・クロアチア

 【大紀元日本2月6日】美しい国が、ここにもあった。

 日本では、紅白のチェック柄ユニホームの「サッカーの実力国」として知られることが多いようだが、ここは「アドリア海の宝石」と呼ばれるその美しさを無条件に讃えたいと思う。
(クロアチア観光局提供)


 総人口が450万人というから日本でいえば県ぐらいの人口しかないのだが、面積は5、6万平方キロと、人口の割には空間的な余裕の豊かさを感じる。

 気候は、寒冷の北海道とは異なり概ね温暖で、特にアドリア海沿岸の地方では穏やかな地中海性気候の明媚な風光を生み出している。

 地理学的にいえば明らかに小国であるこの国は、実は魅力に富んだ「豊かさ」の大国なのである。

 地図を開いてみると、なんとも不思議な形をした国土であることが目に付く。

 アフリカ諸国のような直線的に引かれた国境は旧宗主国による植民地時代の名残を想像させられてしまうが、クロアチアのそれは図面上に線引きできないほど複雑な線であり、西の沿海部と東の内陸部とが、ちょうど飛燕の翼の形に分かれて長く伸びている。複雑な国境が、悲劇的な時間も含めてではあろうが、その民族の長い歴史を物語っている。

 1月21日、クロアチア政府がアジアで初めての観光局を東京に開設するに当たり、記者会見が開かれた。「アドリア海の宝石」の魅力が、余すところなく紹介された。

 クロアチア共和国駐日大使ドラゴ・シュタンブク氏と、この日のために来日した同国観光副局長ニコ・ブリッチ氏の挨拶のあと、クロアチアの魅力を日本に広める大役を担った同観光局日本代表のエドワード・トゥリプコヴィッチ片山氏が、プレゼンテーションをおこなった。
(クロアチア観光局提供)


 美しい海をもつことの幸せは、日本人ならば共感しやすいだろう。但し、荒波の太平洋とはだいぶ海の様子が違う。地中海のなかの、さらにイタリア半島との間に挟まれた細長い海域のアドリア海は、瑠璃色の美女の午睡のように波静かで、どこまでも青く、訪れる旅人の時間を止める。

 日本の沿海もかつては十分美しかったはずなのだが、経済の発達、特に工業化の進展の副作用により甚だしく汚染されてしまったことは、残念ながら否定できない。日本は豊かにはなったが、「豊かさ」は失われた感がある。

 クロアチアの海を一層美しくしている自然の演出に、無数の島々の存在がある。人為ではない自然の美は、神の祝福としか説明のしようがない。ともかく、日本では松島のような第一級の絶景が、クロアチアの沿岸部にはいくらでもあるという。
(クロアチア観光局提供)


 その海岸からわずかに内陸へ入っただけで、豊かな森林の世界が広がっている。クロアチアの魅力の一つは、ヨーロッパ本来の自然環境がほぼ手付かずのまま今日まで残されていることだ。ユネスコ世界自然遺産であるプリトヴィツェ湖に代表される、静謐な山湖の風景もまた魅力あふれるものである。深い森林のなかには、もはやヨーロッパでは希少動物となった野生の狼や熊などの大型獣が生息しているという。

 自然の豊かさに負けていないのは、クロアチアの文化の豊かさであろう。古代ローマの時代から中世にかけての建築物や町並みが、状態の非常に良いかたちで保存されており、しかもそれらの町並みは、そのまま現代に生きる人々の生活の場として今も使用されている。

 歴史的建築物の保存状態の良さは、そこに住む人々の精神性の高さを物語っている。言葉を換えれば、善良な「信仰の深さ」にほぼ重なる。

 自民族の文化遺産を守り続けていくことは、人間であることの謙虚さと神への畏敬の念なくしては到底叶うものではない。クロアチアの人々がそれを成し遂げて、今日に伝えてくれたことをこの国を訪れる旅行者は感謝すべきであろう。

 クロアチアのドゥブロヴニク地方は、地中海貿易が盛んだった中世において、ベネツィアに並ぶ海運通商国家の雄であった。やがてオスマン・トルコが地中海の覇権を握り、スペイン・ポルトガルによって大航海時代の幕が切って落とされると、ヨーロッパ勢力による地中海貿易は急速に衰退するのだが、数百年を経た今もドゥブロヴニク旧市街はかつての栄華を
(クロアチア観光局提供)
今日に伝えている。

 「日本の皆様に、ぜひ我が国クロアチアへお越しくださいますよう、お願いいたします」

 エドワード・トゥリプコヴィッチ片山氏の日本語によるプレゼンテーションは、母国への愛情にあふれていて実に魅力的であった。

 20世紀の終盤まで社会主義陣営の一つであるユーゴスラビア連邦の一国であったクロアチアが、東西冷戦終結後の1991年3月に独立を宣言したものの、ユーゴスラビア軍との全面衝突となって激化したいわゆる「クロアチア紛争」は記憶に新しい。

 1995年にようやく戦闘が終結したが、それまでに大量の犠牲者と難民を発生させたのは、思えばわずか十数年前のことである。その悲しみの歴史を思い、静かな祈りを捧げることは、これからクロアチアを訪れる旅行者のひとつの「義務」ではないかとも思う。

 そのような事情もあって、古い歴史と伝統を持つこの国は、また新たに始まった「青年の国」でもある。そのため経済的に豊かな国ではまだないかもしれないが、人間にとって大切な「豊かさ」の豊かな国であるということは、ほぼ間違いない。

 クロアチア観光局日本事務所の開設を機会に、観光業の発展を目指すことももちろん良い。ただ、商業主義に走るあまり、クロアチア独自の自然や文化といった大切な「豊かさ」を切り売りする結果になることは、やはり避けてほしいと心より願う。クロアチアを知れば知るほど、そう思わせる。本当に「美しい国」なのだから。

(記者・牧、編集・月川)

 (08/02/06 23:48)  





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