THE EPOCH TIMES

「罰金返済に自分を売ります」 2人目をもうけた大学助教授、解雇・巨額の罰金

2010年11月05日 10時12分
 【大紀元日本11月5日】楊支柱は、中国青年政治学院の法学部の元助教授。「元」というのは、今年3月18日に、同大学に解雇されたからだ。理由は、民法の専門家でありながら、国の「計画生育政策(一人っ子政策)」をないがしろにし、昨年12月に2人目の娘をもうけたためだ。

 北京大学の法学部を卒業し、弁護士の資格もある助教授の解雇は、インターネットで大きな波紋を広げ、中国の一人っ子政策30年来、もっとも注目される「超生(2人以上を生むこと)事件」と呼ばれるようになった。

 国内誌・南方人物週刊はそんな楊助教授を取材した。10月17日、中国の名門大学・中国人民大学の西門の歩道橋に、「罰金返済に自分を売る」と題する文を掲げた楊氏がいたという。

 「私は楊支柱。中国青年政治学院の法学部の元助教授。妻が思いがけず2人目を妊娠し、中絶するにもしのびなかったため、去年の12月に2人目の娘が生まれた。私自身は4月に大学をクビにされた。北京市海淀区の計画生育委員会は私に24万元(290万円)の「社会扶養費」を徴収している。私は払えないため、自分を売るしかない。しかし、誰かに買われると家族の世話ができなくなるため、罰金の24万元と家族への補償金40万元、合計64万元を一括して支払ってくれれば、私はその人に一生仕える。募金はお断りする。子供でお金を稼ぐような親にはなりたくない」と紙には綴られている。

 楊氏の名刺に「布券、粮券はなくなったが、人券はまだある」と印刷してあった。30年ぐらい前までは布や米を買うには国が発行した券が必要だったが、今は子供を産むために「準生証(出産許可書)」という券が必要だと冷やかしているのだ。

 楊氏は現在、24万元の「社会扶養費」について控訴しており、64万元の「取引き」も裁判所の判定が出た時に発効すると書かれている。「私は勝訴のために訴えているのではなく、時間稼ぎのためにやっているのだ」と楊氏は「南方人物」に実情を明かした。

 2011年3月の「両会」(全人大と全国政協)で一人っ子政策が転機を迎える可能性があると楊氏は分析する。彼が外に出て訴えるようになったのも、仲間がそんな彼の姿を記録する動画をインターネットで流すことで社会にアピールし、裁判所にも圧力がかかり、さらに時間稼ぎができるからだと語っている。

 2006年、楊氏の長女が生まれる年に、楊氏は人口問題についての著作に触れるチャンスがあり「大きな衝撃を受けた」という。以来、人口問題について研究し、中国の計画生育政策(一人っ子政策)を批判する文章をたくさん発表してきた。「彼は計画生育に反対していない。ただ、計画するのは夫婦のはずで、国ではない。ましてや強制手段を用いるなんて、と主張している」と夫人は楊氏の主張を代弁した。

 楊氏自身は3人兄弟の末っ子。予想外にできた2人目の子供についても、「子供が好きだから」という素朴な気持ちで夫婦で生むことを決めたという。大学側に報告する前にすでに「告発した人がいた」。北京では妊娠の「情報提供者」には奨励政策があり、「告発箱」も設置されている。

 その後、大学の幹部が次々に彼を呼び出した。「法律を教える先生として、国の法律を守らないわけにはいかない」という内容が話の中心だったが、それに対し、「『国の法律を守る』ということは、中絶しなさいということだ」と楊氏は批判した。

 それでも楊氏夫婦は次女の出産に踏み切った。今度は大学の幹部はさらに上の幹部に呼び出されるようになったという。「彼らも内心は複雑だ。本当は羨ましいけれど、一方で、私のせいで、反省文やら保証書などを書かされたり、腹立たしいこともかなりあったようだ」

 楊氏の解雇後、同大学の5人の教師が学校側に嘆願書を提出した。「公民の権利という角度から見ても、国の発展や社会の進歩という角度から見ても、現行の一人っ子政策は調整しなければならない時期に来ている。一人っ子政策の緩和は中国の人口学会の多くの専門家の共通した見識でもある」と訴えた。

(翻訳編集・張凛音)


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