【書評】『働きマン』(安野モヨコ著)

2007年11月17日 10時25分
 【大紀元日本11月17日】
ちゃっかり! オタクな給料マン

 現代人の仕事意識は、世代や男女によって相違があります。会社内のポジションや、人生観によっても違ってきます。「仕事=給料」と割り切って、オタクな私生活を輝かす人たちが急増しています。オタクな世界を完成させるために、給料のすべてが注ぎ込まれます。ひと時のミクロコスモス(私の宇宙)の中で、誰もが王様や王女様になる事ができます。はにかみ王子やコスプレ王女のコマーシャリズムは、オタクな世界のトピカルな反映と言えなくもありません。

社会を映す・・・ニートマン

 オタクでも公私を分別して働ける人はまだしも幸せです。働けない人達が社会現象のように登場してきました。ニートと呼ばれる人達です。ニートの人達はそもそも出発点の「仕事」が、どんなものであるかを知らない場合が多いのです。トライアルジョブ体験を通じて、仕事の場馴れを理解させる努力がなされています。お手伝いでなく仕事と考えると前日から緊張して、汗だくとなって部屋に閉じこもって出社できなくなることしばしばです。

 それでもニート生活から脱出し始めた人は、何とか必死になってようやく仕事に脱出口を求めるのです。ニートの人達は仕事場で毎瞬ごとにデリケートに傷ついているはずで、勤務時間を守ること自体が大きなハードルです。仕事ができること・・・それはニートの人たちの輝く憧れです。「仕事=給料」以前に、仕事を通じて生きがいを実感することが、ニートの人達の社会参加の第一歩です。

主役になるか? 働きマン

 安野モヨコさんの漫画『働きマン』には、ニートマンはまだ登場していません。いつか? それらしきキャラクターが登場してくるでしょう。主人公は男性週刊誌「JIDAI」に勤務する半ばベテラン編集者・松方弘子(28)さんです。恋やレジャーはテキトーに済ませられるが、仕事モードになると男スイッチが入って全身全霊で奮闘してしまう性癖の持ち主。持ち前の男パワー全開かと思いきやちょっぴり、しばしばオトコスイッチの壁にぶつかって、・・・すごく悩んだりします。

 『働きマン』は2004年に週刊「モーニング」に連載され、目下・・・怒涛の如く好評街道を驀進中。今秋10月からTVドラマで、待望のオンエアー。女が男の職場(男性週刊誌)で仕事をするには、「女心」の中でどんな覚悟がいるのかを考えさせる。「仕事=勤労」は人生を投じて死ぬに値するかを模索する、大真面目な仕事へのラブストーリーなのです。

 主人公にとって人生を愛すべき究極のパートナーは・・・仕事なのです。その仕事の正体を確かめたくて、安野モヨコさんはこの『働きマン』の着想を得たのでした。働きマン・画家である安野さんの思い入れスパイスがたっぷりと込められた勤労意識へのオマージュ(賛美)が、働く女性の幅広い共感を得ているのです。

 本気モードはいつだって仕事スタンバイの男スイッチが過激に入る弘子さんですが、ダメージをうけると「女ごころとおんな心」がゆらめく深層の悶着の中で、いつだって果敢にカムバックを果たしていきます。仕事モードの男スイッチと仕事に命を賭ける女の本気とが、漫画タッチでミックスされて・・・「人生=仕事」におんなの側から、読者の視線を友にして「自問=多答」? を投げかける問題作です。

 世の中を変えるのは女の仕事意識であることを証明する『働きマン』は、改めてオトコに仕事の覚悟の進化を促すものでもあるのです。勤労に感謝されるゴールにいち早く到着するのは、男なのか女なのか?・・・もちろん一緒に手をつないでなのか!

(巾)
 
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