【医学古今】捻挫や打撲後の筋肉痛

2015/09/30 07:00

 捻挫や打撲には腫れや内出血を伴うものですが、まれに、それらの症状が消えても患部の痛みが治まらない場合があります。こういったケースに対し、西洋医学では湿布や痛み止め薬の処方、リハビリなどを試みますが、なかなか改善しないことも少なくありません。しかし鍼灸治療を施すと、かなり早く効果が得られる場合が多いのです。

 ある60代の女性がデパートで足を滑らせ、左の大腿部と股関節の周りの筋肉や筋を伸ばしてしまいました。病院で手当てをした後は継続的にリハビリを受けていましたが、3カ月が経過しても足の痛みが取りきれませんでした。まっすぐ立つと左足だけが短いように感じられ、地面をしっかりと踏みつけることができないというのです。

 この症状に対し、鍼灸院では次のような治療を施しました。左下肢の痛みを感じる部分の周囲のツボに鍼を刺し、鍼のしっぽにモグサを付けて灸頭鍼を実施。その他、下肢の外側の少陽経のツボと後ろ側の太陽経のツボを合わせて治療したところ、痛みはすぐに消え、地面をしっかりと踏めるようになりました。その後は痛みが若干戻ってきましたが、治療を数回重ねるとほぼ消えました。このような症例の患者さんを最近、数人治療しましたが、いずれも良い効果を得ることができました。

 鍼灸医学には瘀血(おけつ)という概念があります。怪我をした後、腫れが消えて内出血が吸収されても、つぶれた毛細血管網が完全に再建されたわけではなく、筋肉や筋膜の融着、しこりが残るというような現象は、瘀血の概念で説明できます。この瘀血を取り除くことで、症状が落ち着くのです。

(漢方医師・甄 立学)

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