呉葆璋氏:世界情勢から見た『九評』(共産党についての九つの論評)

2005年06月27日 11時24分
 【大紀元日本6月27日】天安門事件16周年を記念して、5月30日に「大紀元時報」欧州のフランス支社及び海外民運連席会議の共同主催によるシンポジウムが開催された。テーマは、「共産主義と中国の人権‐天安門事件16周年」である。シンポジウムでは、フランス文化部長、教育部長などを歴任し、長い間中国の人権に関心を持ってきた国会議員のジャック・ラング氏及びフィリップ・フォリオット氏の協力の下、元フランス国際ラジオ放送局・中国語主任担当の呉葆璋氏が、「世界情勢から見た九評」というテーマで講演を行った。以下は、呉葆璋氏の講演内容である。

 それでは「九評」という中国語の意味から始めたいと思います。「九評」のローマ字表記は「JIUPING」と書きますが、「九編の評論」という意味です。「九評」という二文字では、あまりに簡潔過ぎるように聞こえるかも知れませんが、その内包はとても深いものです。

 「九評」は過去40年の中国政治の歴史の中で、二度ほど現れたことがあります。一度目の「九評」は、60年代に現れました。1963年から1964年の間に、旧ソ連共産党に対して回答した公開文書を中国共産党理論の刊行物、「紅旗」という雑誌と、「人民日報」が共同で発表した9編の評論文章がそれです。この評論文は、中国とソ連の間の論戦をピークに押し上げました。論戦は旧ソ連の第20回の代表大会まで遡及することができます。この大会で、総書記フルシチョフは非スターリン化路線を打ち出しました。しかし、それは中国路線との対立を生み出し、論戦が始まったのです。フルシチョフは、農業政策の失敗を問われて退任しますが、中国は自分たちの九評が効を奏してフルシチョフ政権が倒れたと述べ、それを誇りに思っているようです。

 それ以来、中国共産党は「九評」という言葉を中国の政治用語に取り入れ、手持ちのペンは銃と同じように、相手を降伏させることができるということを世界に誇示したかったのです。それから、中国共産党はペンと銃を二つの支柱として政権を維持し、必要なときにはペンを利用して中国文化・歴史を捻じ曲げてきたのです。現代中国人は、その捻じ曲げられた文化と歴史を真実として押し付けられてきました。この手口は、西洋のマスコミの人々にはあまり知られていないかもしれません。

 40年が過ぎ、2004年11月18日、ある中国の記者がニューヨークで設立した独立系新聞社、「大紀元時報」も、九編の評論を発表しました。2度目の「九評」の登場です。「大紀元時報」の「九評」は、共産党の成り立ちから、中国共産党とスターリンが行った血生臭い実践に至るまで、全てを分析しています。

 40年前、中国共産党はソ連のどこを批判していたのでしょうか?それはフルシチョフが打ち出した資本主義社会との「平和的な共存」、「雪解け」政策でした。フルシチョフらは国外に対して平和政策を打ち出し、戦争にはあまり触れないようにと考えていました。一方、国内に対しては、全民国家と全民党を建設することを主張していました。この政策と考え方は当時の中国にとって受け入れられず、旧ソ連は世界革命と無産階級専制の原則を堂々と放棄し、無産階級専政を官僚資本主義専政に変え、旧ソ連の中に資本主義を取り入れようとしている、と中国側は認識していました。

 中国は「九評」の勝利に酔い、国外でも世界革命を推し進めようとしました。他の共産主義国に気前よく財政援助を行い、民族解放運動のために兵器・弾薬などを提供しました。1962年の夏、私は北アフリカのモロッコとアルジェリアの国境を通った時、スタンフリと名乗るアルジェリア人民軍の指揮官に出会いました。彼は「我々の兵士たちがいかに中国共産党に感謝しているかはご存知ですか?彼達は食事の前には、必ず「毛沢東万歳!」と一斉に叫ぶのですよ」と言い、彼達が使っている軽武器、弾薬から靴、軍服、布団、蚊帳までが、中国から無償で提供されていることを教えてくれました。アルジェリアの独立戦争は中国共産党の世界革命の中の一部に過ぎなかったのです。

 中国共産党が「九評」を発表してから2年後、文化大革命が起きました。当時、革命の続きだと思われたこの運動は、百万人以上の命を奪い、数百社の大手企業を倒産させ、広大な田畑が荒れ果てました。当時、文化大革命がピークに達した時、毛沢東は自分の正しさを証明するために北部の国境で戦争を起こしました。その後、_deng_小平もその真似をして、南部の国境でベトナムを懲罰する戦争を起こし、衰えた党国の運命を新たに高めようとしていました。

 しかし、世界範囲での革命ブームが過ぎ去り、やり方を改める必要があると認識した共産党は、過去に「九評」を発表したことに対し、今後悔しているでしょう。改革開放から意識形態の大修正が行われ、3つの代表で共産党の門を資本家に開け、私有財産権を憲法に取入れる段階に入りました。今の中国では、中共の高官らが、最も官僚資産階級を実践しているのです!

 共産中国の輝かしい変革は、我々に一つの疑問を投げかけます。アジアでの冷戦はもう終わったのか?現在、朝鮮半島の二つの陣営は一触即発の対立の状態にあり、共産中国のミサイルが台湾を狙い、米国を威嚇しています。日本は未だに北方四島を返還されてはいません。注意してほしいのは、欧州と違って、アジアでは崩壊した共産党が、今までに一つもないということです。相次いで登場した中共の指導者にとっては、ベルリンの壁が崩壊したことは一つの時代の終わりではなく、共産陣営の一時的な挫折にすぎません。彼達はマルクス主義の組織政党であり、近年の輝かしい成就はすべてマルクス主義の指導の下で取得し、マルクス・レーニン主義を発展していくのが己の義務だと何度も繰り返し表明しています。中国が世界一の強国になれるとしたら、北京は迷わずすぐに、中国がこの世界で共産主義の一番の強国であることを宣言するでしょう。そうすれば、再び中共は世界に共産圏を拡大する運動をはじめることになるでしょう。

 共産中国は未だ変わっていないのです。ベルリンの壁が倒れた後、旧ソ連と東欧各国の二の舞にならないよう、中国は一党独裁専制を強め、多元民主を絶対に取入れないと強調しています。多元民主は西洋の資産階級による悪性の発明だと認識しているようです。中共は暴力崇拝を放棄したことが無く、メディアをいっそう厳しく制限するようになりました。これについては、もう少し言いたいことがあります。今、中国は海外のメディアと知識業界を手なずけようとしています。入国ビザ、報道権利、調査権利、ニュースの発表権利及びテレビの中継権利などをすべて政治目的に利用し、中国の報道方針を強引に受け入れさせます。この目的を達成するために、彼らはいくらでも投資します。文化大革命後、_deng_小平は既に世界革命に使う予定の財政を対外宣伝に移すと決めました。この目的のために、専門機構も設立されました。2003年に設立した各部委連合委員会は正に対外宣伝のことを所掌しています。

 2002年、私はフランス駐在の中国大使館の館員に誘われてコーヒーを一緒に飲みました。当時、私はフランス国際ラジオ報道局に勤務していました。彼は法輪功を報道しないようにと私に伝え、法輪功を攻撃するパンフレットとCDを持っていました。私の答えは当然「NO」でした。私は彼に次のように話しました。「第三者からの公平な調査もなく、法輪功に与えられた罪名は何の説得力もない。1992年から1996年までの4年間の間、法輪功はかつて中共政府のメディアから重要な話題として報道され、多くの人たちが法輪大法を良いと誉めていた」

 しかし、なぜ一夜にして、この団体が邪教、派閥、反動組織とされたのでしょうか?法輪功は、最近設立された団体にすぎません。私はここで、法輪功の問題に対し、独自な調査を行うよう強く国際社会に呼びかけたいと思います。なぜならば、既に千人以上の人々が残酷な刑罰で亡くなっているからです。

 話しを戻しますが、アメリカドルやユーロで発展を遂げた中国経済のその輝かしい成長の裏には、各種の安心できない要素が隠されています。国営企業の改革をしようとすれば、上から下まで様々な官僚利益に直面するという現実、株式市場の不安定、市場経済の流れの中で負け組となった人々の心理上のバランスが即座に崩れる危険性がある、などといったことです。ある中国の記者は以下のようなことを書いています。「権利集中型の社会形態の結果、立法、行政と司法の一層の腐敗を促した。制御不能な巨大船は一体どこへ漂っていくのか?政府側の言論が、更に人民を惑わしているのである」

 胡錦涛主席は、毛沢東の110年の誕生記念日に次のように話しました。「歴史はいつまでも止まらない激流のように、今日は昨日から発展してきたものであり、明日は今日の続きである」。彼は、中共の偉大な理想は「国家現代化を実現し、祖国を完全に統一し、中華民族の偉大な復興を実現すること」であると指摘しました。では、いかにしたら上の目的に達成できるのでしょうか?これについて、彼はこう言いました。「歴史は次のように教えてくれました。中国共産党こそ中国人民を指導し社会主義制度を確立することができ、社会主義こそ中国を救い、発展させることができ、中国的特徴のある社会主義の道を最後まで歩むことができたら、初めて中華民族の偉大な復興を実現することができる」。

 注意すべきなのは、中国政府側の発言に、「社会主義」という言葉が何度も現れていることです。社会主義の市場経済とは一体何でしょうか?何度も重複されているこの言葉、中国の市場経済はつまり共産党の指導の下での市場経済だと言いたいのです。 では、中国の指導者たちが好むこの社会主義とは一体何ものですか?一般の人々は、それは偽りの資本主義に過ぎないと認識していますが、専門家たちは、ナチスドイツが勢力の拡大を図っていた時期と近年の中国共産党の発展過程を比較し、次のような疑問を呈しています。我々が直面しているのは、実はある一種の新型の国家社会主義ではないだろうか?我々が期待しているのはゴルバチョフなのに、最後にアドルフ・ヒトラーが現れる可能性が高いのではないだろうか?ある中共の研究者が、おもしろいことを言っています。強大で繁栄した国家を創るには、人民を凌駕できる国家機器、プラス重商主義である。

 皆さん、正に中国が変化している最中に、「大紀元時報」が「九評」を発表しました。客観的かつ堅固の論拠をもって、鋭い筆先で中共の暴政の被害者となった数千万の中国人の声を代弁し、当然のことですが予想以上の社会的反響を引き出しました。半年も経たない内にインターネットと旅行者たちによる伝播を通じ、既に200万人の共産党員がネットで脱党声明を宣言しています。その中の半分以上は中国大陸の人です。この運動はさらに広まっていき、いつか中国の国民が共産党の命令に逆らうようになるでしょう。強調したいのは、この「九評」は各派、各異政見を持つ人々の中でも、同様の良い反応を起こしていることです。毛、_deng_、江、胡それぞれの時代に生まれた数多くの反対派は、この「九評」から共感できる要素を見つけ、いろいろな面から相次いで賛同の意を表しています。「大紀元時報」の「九評」は、民主、自由をめざす中国人に有益な機会を与え、アジアの冷戦を終わらせ、地球上の共産主義を最終的に埋葬するためのラッパを鳴らしました。

 私の発言は、ここで終わります。最後に、ヨーロッパの各代表に感謝の意を表したいと思います。16年にわたって、皆さんが中国のためにやってきて下さったこと、中国の人民はそれに感謝し、永遠に忘れません。ありがとうございました。

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