自宅軟禁の高智晟弁護士、逮捕後8ヶ月ぶり、真相を明かす

2007年04月09日 08時44分
 【大紀元日本4月9日】昨年12月から自宅に軟禁され厳しい監視下で外部との連絡を絶たれていた中国の人権弁護士・高智晟氏が4月6日、北京の支援者への電話連絡に成功し、刑務所で受けた拷問や、家族の状況などについて初めて明らかにした。昨年8月に逮捕されて以来、高弁護士が自身の声で直接語るのは実に8ヶ月ぶり。この電話連絡の1時間後に、高弁護士自宅の電話は再び不通になり、外部との連絡は封じられている。

 昨年8月15日、高弁護士は帰省先の山東省で秘密裏に強制連行され、同年12月、北京市中級人民法院から「国家転覆罪」で有期懲役3年、執行猶予5年、政治的権利剥奪1年の判決を言い渡され釈放された。

 高氏から電話連絡を受けた胡佳氏は、売血によるエイズ感染者を支援する活動家で、高弁護士の支援者でもあり、同氏自身も当局に逮捕や軟禁されるなど迫害を受けている。

 昨年末に、高弁護士は釈放されたが、外部には同弁護士の声はまったく届けられなかった。

 高弁護士によれば、幾度も胡氏に手紙を出したが胡氏には届かず、自宅の電話や携帯などはすべて外部に通じなかったという。自宅周辺では毎日100人以上の私服警官などが見張り、中には野菜や果物を売る行商人に扮装している警官もいるという。夜になると駐車場には監視する車10台以上が停車しているという。今回の電話は、偶然にも自宅から電話がかけられるようになったことに高弁護士が気づき、迷わず、胡氏に電話したという。

 厳しい監視下に置かれている自宅を「監獄と化した」と高弁護士は嘆き、「苦しい状態だ。私が真実を語ったことで中共政権を怒らせたとすれば、妻と子供にはなんの罪があるのか。この私を投獄すれば十分なのに、なぜ、家族を巻き込んで、我が家を監獄にしたのか」と無念さを語った。

 高弁護士への判決が言い渡された後、各方面からさまざまな憶測が飛び交った。判決文で、「同弁護士がほかの活動家の犯罪行為を白状したため、罪状が軽減された」と説明していたためだ。外部からは同弁護士への疑いと批判の声が上がっていた。それについて、高弁護士は以下のように説明した。

 「この政権は今、私を監獄から自宅に移した。実際には国際社会の目をそらすのが目的。一見私を釈放したかのように見せかけているだけだ。判決前の12月13日まで、私に6年の有期懲役を科すると言い続けていた。12月22日に突然に開かれた法廷審理で、検察が新しい証拠を掴んだと言い出し、私が3人の民主活動家の犯罪証拠を白状したと主張した。しかし、誰一人として、私と接触する過程で、違法な行為を行っていない。また、誰一人として、私の『白状』で逮捕された訳ではない。私個人はこのような噂をまったく気にしていない。私たちはどういう人間であるのか、私たちの人格、私たちの魂、私たち自身が一番よく知っている。それで十分だ」と話した。

 山東省で逮捕されてから昨年末の判決までの間に、外部と家族には、当局が故意に流した情報以外に、同弁護士の状況がほとんど伝えられなかった。当局が流した情報に、同弁護士が弁護士と外部の介入を拒否するとの公開声明文が挙げられた。後に、この声明文は当局が代理人弁護士の面会要求を却下する理由となっていた。高弁護士はこの声明文の真相について、以下のように説明した。

 「紙に書いているのは事実だ。しかし、背後になにがあったのか。公開声明文を書いたことで、後に妻子に5千元(約6万円)の生活費を送ることができた。この金は元々(当局に押収された)私の合法的に得た収入であるにも関わらず。私の妻、2人の幼い子供、故郷の親戚も長期的に人質として扱われた。妻子は持続的な精神的な迫害を受け続けてきた。生活費が完全に剥奪され、頻繁に暴力を受けていた、命がけで軟禁から脱出した長女が米国大使館で庇護を求めたが拒否された。子供たちの将来や、妻と私の親戚の生存権が脅かされているこのような状況で、妻子を見捨てることはできず、私は英雄になることを放棄し、一家の大黒柱である父親になること以外に選択の余地はなかった。結果として、11月29日、当局と私、双方で妥協策を探った。自分の『罪』を認め、『公開声明文』を作成、取調の『自供』などを再作成した」。

 また、高弁護士は、監禁されていた129日間の間に、受けていた肉体と精神的な虐待について、以下のように明かした。

 「8月15日から12月22日、私の名前は『815』となった。取調では、いかなる人でも私の名前を聞いてはならない。129日間、両手が縛られたのは600時間以上、鉄のいすに縛られたのは590時間(多いときには100時間以上連続して縛られた)。左右双方向の超ハイライトの電球に照らされたのは590時間、罪を反省させるために地面に座禅のように800時間以上に座るのを強要された。390時間以上、床を拭くのような強制労働を強いられた。これらの虐待の執行権限を与えられたのは、同じ監獄に監禁されている囚人である。

 129日間、警察の取調べを受けるのが大半を占めた。検察の介入から起訴するまでにわずか8日間。法廷審理は極秘に行われ、後に公開審理と公表された。法廷審理の当日に数え切れないほどのパトカーが出動した」。

 また、高弁護士は電話の中で、胡氏に届けられなかった手紙を読み上げた。その中の一部を以下にまとめた。

 「この手紙は苦しみを訴えるものではなく、我が家族への迫害に、外部が関心を示すことを期待している。また、苦難が人の心を鍛える、魂を浄化する一説があるが、わが一家も今の不幸の中でも微かではあるが得たものがある。

 中共政権が国家機関を用いて、わが家族を迫害する過程において、公安内部では、公にあるいは密かに、私たちに同情を寄せ、支援してくれる心の優しい当局関係者もいた。このような方々の働きは私の予想を遥かに超えた。このような力が身近に存在していることは、私たちの難関を乗り越える強い後ろ盾となっている。

 また、監禁中に得た情報だが、2006年2月から、中央政策法律委員会(略称、政法委)の主導で、公安、検察、司法、情報などの機構が連合で専門チームを結成した。毎週月曜日に定例会議を開き、私の案件と関連する国内外の情報の収集や、最新の『敵の動き』などを報告する上、最新の指示を出す。この専門チームは私の『釈放』で運営停止することもなく、これからも長期的に、『いかなる手段で、いかなる資源を駆使しても、高智晟一家を抑制していく』という。

 129日間の監禁中に、当局が最も関心を示しているのは法輪功とハンスト抗議の問題である。私と法輪功の関係や、この関係の度合い、中央指導部に宛てた(迫害の停止を懇願する)公開嘆願書、ハンスト抗議などの問題に、多くの取調べ時間が費やされた。私が強く感じたのは、法輪功問題および民間の人権抗争活動は、いまの中共政権が最も憂慮する問題である。

 2003年までに、私は国民が心の自由を求めるために、想像を超える流血と恐怖を強いられたことに気づかなかった。その残酷さは、人間の心が耐えられる凶悪の最大限度を遥かに超越した。一時期、私は、このような恐ろしい現象は、法の下で国を管理する政府の大敵であると幼稚にも確信していた。そのため、私は国家の指導者に公開嘆願書を進呈し、法輪功愛好者への残酷な迫害の真相を明かし、中止するよう懇願した。その結果について、皆さんがすでに見えている。私の孤独な叫びは最終的にこの血まみれの迫害を解決するところが、和らげることすらできなかった。私は騙されていない一人となった。エラスムス(※)は、『嘘は真理より、人類に適合している』と語った。人々は騙されるのはかわいそうというが、しかし、私の理解では、騙されていないのは、最も不幸なことである。私は騙されていないため、家族に悲惨な境遇をもたらした。自由と権利のために奮闘し続けてきた私だが、一家の自由がそのために剥奪された。人類の正義を求める熱情が、手錠と終わりの見えない野蛮な迫害を導いた。そのため、私の過去について、私は絶対に否定しない、ほかの人が否定するのも認めない」。

 以上は4月6日、高智晟弁護士が支援者の胡佳さんにかけた電話の中で、初めて明かした内容である。その後、大紀元時報や、自由アジアラジオ(RFA)の記者が高弁護士に電話を掛け続けたが、不通の状態が続いている。

 高智晟弁護士は長い間、社会的弱者層の民衆への権力侵害を解決するために、奮闘してきた。2005年から胡錦怒涛・総書記などの中央最高指導部に3通の公開嘆願書を進呈、法輪功学習者への迫害の停止を繰り返し懇願してきた。その後、当局による人権活動家への弾圧を抗議するために、全国範囲でハンスト抗議活動を発起した。

 (※)混迷と閉塞、そして激動のなかにあった16世紀前半のヨーロッパにおいて、エラスムスは神学者として、人文主義と宗教改革という、ヨーロッパの行く末に関わる二大テーマに強く影響を与えた。また、古典復興の提唱者として、また教会の腐敗を痛烈に批判した『愚神礼讃』の著者として、強烈に時代の焦点に生きた国際的知識人でもある。

 

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