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シロイヌナズナは親族とよそ者を識別するという研究結果が発表された。左の写真はハーシュ・バイス助教授と博士課程のメレディス・ビエドルジキさん。右はシロイヌナズナ。

親族とは共存、よそ者とは競合=植物の生態報告

 【大紀元日本10月27日】

 「植物は根から分泌する化学物質を通して親族を識別。親族とは共存するが、よそ者に対しては競合する」というデラウエア大学植物土壌科学のハーシュ・バイス(Harsh Bais)助教授がリードする新しい研究が最近、生物の伝達・統合性を専門に扱う科学誌『Communicative & Integrative Biology』に掲載された。

 同研究は、カナダのオンタリオ州ハミルトンにあるマクマスター大学の進化的植物生態学者スーザン・ダドリー氏による、2007年の研究発表を一歩進めたもの。ダドリー氏は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)で実験を行い、同一の母樹の種からの苗は同じ土壌で共存し、自分の根を他の根が生えている場所まで延ばして競合することは絶対にないという結論を出した。さらに見知らぬシロイヌナズナの中に投げ込まれると、土壌の水分や栄養分を採ろうと、急速に根を生やし、周辺の苗と競合しはじめることも同じ研究で発見されている。

 「植物には視神経がなく、植え付けられた場所から逃げることもできない。そこで、より複雑な認識パターンの研究に焦点を絞った」とバイス助教授は研究の出発点を定義している。上記のダドリー氏の研究を踏襲して、博士課程のメレディス・ビエドルジキ(Meredith Biedrzycki)さんは3千本に及ぶ植物の実生苗を同胞と非同胞の分泌物に接触させ、7日間にわたって植物の側根と胚軸の長さを測定した。実験室で育成された植物は全て同胞になってしまうので、あえて野生のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)が用いられた。

 測定の結果、次のことが判明した。同胞にさらされた植物の側根は短く、葉は互いに寄り添うように成長する。非同胞にさらされた植物の側根は長いため、葉の方まで栄養が届かず、苗は短くまっすぐで、周りとの接触を避けるかのように成長する。「同胞植物の場合は、貪欲になることなく、互いに栄養摂取量のバランスをとりながら、共生していることが考えられる」とバイス助教授は考察している。

 庭仕事をしている時、植物がうまく育たないと、ガーデンセンターや病原体のせいにしがちだが、隣同士の植物が同胞かどうかという要因が絡まっている可能性も十分にありうる、と同氏は指摘する。

 トウモロコシなどの単一栽培は、基本的に同胞植物なので競合性に欠ける。病原体に対する抵抗力に劣るのだろうか。競合性に欠けている状態で生存できるのだろうか。バイス助教授の今後の研究課題だ。

(記者・李海藍、翻訳編集・李頁)


 (09/10/27 05:00)