THE EPOCH TIMES

毛沢東批判で大論争 米紙「中国を彷徨う赤い幽霊」

2011年06月25日 07時50分

 中国の著名な改革派経済学者、茅于軾氏(82)が2011年4月末、自身のブログで毛沢東について論じた約5000字の文章が中国国内で大きな波紋を広げている。「毛沢東をタダの人間に戻そう」と題するこの文章のなかで、茅氏は、毛沢東は在任中、大躍進政策で3000万人あまりを餓死させ、政治闘争で5000万人を死亡させたと、毛沢東の罪を並べた。

 この文章が発表されてから、毛沢東崇拝者は「すべて捏造(ねつぞう)で、毛沢東と共産党を否定している。政権転覆を狙っている」と猛反発。「売国奴」呼ばわりされた茅氏を「反革命犯」として逮捕すべきだと主張する意見もあり、毛沢東への名誉毀損で提訴する署名運動もネット上で繰り広げられた。

 「事実を書いたまで」―。茅氏は海外の中国語週刊誌「新紀元」にこう語った。論争がここまで広がったのは予想外だとしながらも、「ぜひ法廷で毛の罪を1つずつ語ろうではないか」と平然とした態度を示した。

論争が起きるのは「共産党が真相を隠している」からだ

 茅于軾氏は政府系シンクタンク・中国社会科学院の研究員で、独立系シンクタンク・天則経済研究所の所長などを歴任する中国経済学界の大御所的な存在。氏は話題の文章でこのようにつづっている。

 「大躍進の3年間(1958~1960年)で、3000万以上の中国人が餓死した責任が毛沢東にあることを疑う余地はない」「この責任から逃がれるため、毛沢東は自ら文化大革命を起こし、中国に大きな不幸をもたらした」「毛沢東は権力欲のために理性を失い、最大の犠牲を払っても権力を手中に収めようとした」「その権力を掌握する方法は階級闘争であり、闘争相手をもっとも残忍な方法で消滅している」「毛沢東の冷酷さは超人的で、最低限の人間性も備えていない」「最大限の苦しみ。これが毛沢東が起こした文化大革命の本質であり、『人民の救いの神(歌詞)』が人民に与えたプレゼントである」

 茅氏は毛沢東を批判したうえで、「国と人民に大きな災いをもたらした張本人である毛沢東の肖像画が、いまだ天安門楼上に掲げられ、みんなが毎日使うお札に印刷されているのは、この茶番劇の幕がまだ降ろされていないということだ」と指摘した。

 毛沢東を批判する文章は近年インターネットで増えているものの、これほど痛烈なものは珍しい。文章の発表が引き起こした大きな波紋について、茅氏は、「論争が起きたのは、共産党が多くの事実を隠したからだ」と新紀元に語った。「人々はことの真相を知らないため、各々が自分の持っている断片的な知識で物事を判断するしかない。その認識の差は必然的に大きなものだ」と分析した。

 「毛沢東への見方のみならず、多くの問題で、中国の是と非の判断が逆になっている」と茅氏は指摘する。「中国政府の外交上のトモダチは金正日、カストロ(キューバ)、チャベス(ベネズエラ)などの独裁者。一方で、中国は民主国家を別類と見ている。このような基本的な判断においてさえ大きな過ちがある。歴史上、このような過ちがさらに多い。これらの是と非の過ちをたださないと、今後、中国が進む道においても間違った選択をしてしまう」と警告した。

 しかし、真相は「インターネットの普及で国民にも浸透してきた」ため、多くの「是」と「非」を再評価する時期が来ていると茅氏は指摘する。

 毛沢東支持者による保守系サイト「烏有之郷」が始動した公訴の動きについて、「法廷で徹底的に論じたい。結果は私を審判するのではなく、毛沢東を審判することになる」と歓迎の意を示した。

「中国を彷徨う赤い幽霊」

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