独立評論(54):中国経済が抱える3つの爆弾

2006年02月04日 17時31分
 【大紀元日本2月4日】中国社会の問題点を的確にとらえた経済評論で定評のある草庵居士はこのほど新唐人テレビ対談番組「独立評論(54)」で、経済学者伍凡氏と対談し、昨年11月の「中国生産力研究報告会」が提起した3つの問題点を取りあげ、その問題点の背後にある中共政権の裏舞台について、忌憚のない意見を交わした。

 草庵:皆さん、こんにちは。独立評論の時間です。本日皆さんにあるニュースをお伝えしましょう。ブッシュが訪中する直前の(昨年)11月18日、中国政府は報告会を開催しました。この報告会は、「中国生産力研究報告会」というものでした。この報告会はあまり注目されませんでしたが、温家宝自身が主催した報告会でした。この報告は、中国政府が3年の年月をかけ、国家発展改革委員会、財政部などが行ったもので、非常に興味深い報告でした。ここでは、3つの問題について述べられました。第一が中国の金融問題、第二がエネルギー危機で、第三が社会保障の危機でした。これら3つの問題をうまく解決できなければ、随時、中国社会全体の崩壊を触発することになるというものでした。こうした内容が発表されたタイミングは非常に敏感でしたが、なぜブッシュ訪中の直前にこの報告が行われたのか。この点について論じていきましょう。

 伍凡:当時、ニュースを知って私が感じたのは、翌日にブッシュが来ることから、この事情をブッシュに知らせることが目的ではないか、ということでした。ブッシュが北京にやってきて、二人と会談をしましたが、その第一が胡錦濤で、第二が温家宝でした。温家宝との対談の主な話題は、経済問題、金融問題、貿易問題でした。我々中国は爆弾を抱えていて、滅茶苦茶な状態ですので、これを貴方に伝えましょう・・・では、その含意、目的は何でしょうか。今考えて見ますと、第一は、我々には米国を侵犯する力はありません、金融はこれだけ酷い状態ですし、エネルギーを世界各国に依存していますので、心配しないで下さい。だから、我々は米国を侵犯することはありません、ということ。また(第二に)、米国を攻撃する力はありませんのでそんなに心配しないでほしい、ということ。第三に、我々の弱点はこのようであり、中国の内部は非常にぼろぼろなので、手助けをしてくれないか、そして、共に、アジア太平洋地域を安定させましょう、ということ。こういった目的なのではないでしょうか。

 草庵:この点について、国内の状況が事実であることを証明しています。中国青年報が以前にあるニュースを報じました。それは、中国教育部副部長の談話で、中国中南海の命令は、中南海の域さえも出ることができない、というものでした。彼が挙げた簡単な例として、大学生に対する補助貸付けを地方は執行しませんでした。こうしたことさえ執行されないのだから、中央が抱える同様のケースは更に多い。この事実は、胡・温が行使している権力が非常に小さく、中央・地方間の矛盾が増大していることを説明しています。中央が地方を指揮しきれず、地方は中央の命令を聞きません。これが現状です。

 伍凡:彼は、この3つの爆弾について、第一に米国に対して、第二に中国の民衆に対して公開しました。その目的は、問題を皆に伝え、事情はこれだけ深刻です。もしこの話を聞かないのなら、皆で一緒に死ぬことになります。もし聞くのならば、皆で一緒に問題を解決しましょう、こういうことではないでしょうか。なぜなら、五中全会で提出された第11次五カ年計画の説明においては、この3つの爆弾について言及されていませんでした。しかし、会議後1か月でどういう状況が発生したのでしょうか。温家宝としは、事情を皆に知らせておこう、事情を知らせないままにしてより大きな事件が発生した場合、彼としては耐えられなくなる。だからいっそのこと、事情を皆に知らせて、今後どうしていくのかを考えてもらい、うまく解決できなければ皆が破綻することになるということを示そうとしたのではないでしょうか。

 草庵:貴方が述べたことは、非常にあり得る話です。また、中共自身も、自己の内部の問題について報告しています。

 伍凡:少し前に、もう一つの文書を見ました。生産力報告が出される前、五中全会の1、2週間後、香港の雑誌「争鳴」の田穂氏が書いた文章において、温家宝が、国務院の会議において行った経済問題に関する報告を明らかにしました。彼は、中国が抱える経済の10大問題を列挙しました。10大問題の第一は生産で、計画・コントロールが無い、首長のためのプロジェクト、面子のためのプロジェクトなどが行われているという話です。第二が、内需の不足です。輸出に依存して経済を支えており、内需が伸びていません。第三が、物質です。物質とは、エネルギー、鉱物などが不足しており、海外に依存しています。もう一つの問題は明確で、以前に論じたことがありますが、中国経済が、貿易に依存していることです。中国は、GDPの70%を海外からの輸出入に依存しており、このような国家は世界でも稀有です。こうした問題が非常に深刻になっているということです。

 草庵:その他に提起されていた問題として、マクロ調整が一貫していないこと、金融における不良債権が深刻であり、現在削減することができないばかりか、不良債権の総額がいくらであるかについて、完全な数字を出すことができておりません。こうした一連の問題が発生しています。

 伍凡:温家宝は、この経済の10大問題のほか、3つの爆弾を提起して事情を明らかにしましたが、これは11月のことでした。問題を外国人にも知らせました。彼の目的は、党全体、軍全体、民衆全体に問題を知らせることにあったのでしょうが、私が不思議に思うのは、これだけ多くの問題を提起しておいて、解決のための方策が1つも出ていないということです。中共の国家主席、総理はどうするつもりなのでしょうか。

 草庵:実際のところ、彼ら官員には、上から下まで、長期的な政策がありません。今回、私は、国内の経済官員の何人かと議論しました。彼らは、中国の問題の所在、その解決方法について私に尋ねてきました。私が述べた方策は、内需の問題を解決することで、内需を向上させ、消費を増加させれば、経済は発展し、海外に依存する必要はなくなります。しかし、彼らは、内需はどこにあるのかと聞きます。考えてみると、中国の内需は、朱鎔基、江沢民の執政時において全てが削減されてしまいました。それはなぜでしょうか。朱鎔基が推進した3大政策として、第一が医療の産業化で、皆の医療保険を取り消していきました。皆が自己負担することになり、医療費が上昇していきました。そこで民衆の不安は増大し、病気に罹った場合、自分でお金を貯めて病院に診療に行くことになったのです。もう一つは、教育の産業化です。世界各国は、教育を補助してこれを普及させていますが、中国ではそれが欠けています。

 伍凡:幼稚園から小学校、中学そして大学まで、全てを自分のお金で賄うということですね。

 草庵:そのとおりです。こうした状況のもとで、民衆は子供のためにどうする必要があるのでしょうか?お金を貯めるしかありません。お金を貯めて教育費にあてるのです。第三の問題は、社会保障の問題です。社会保障が取り消され、退職保険、退職金などが全てなくなりました。民衆はますます不安になります。民衆は一生懸命貯金し、消費をしようとしません。生産において消費がない場合、固定資産への投資に大きく依存して経済を牽引します。民衆は消費しないので、仕方がありません。こうして、江沢民、朱鎔基が内需を削減していったのです。したがって、今、内需を向上させようと考えても、それは制度上改善できません。

 伍凡:共産党は、改革においてであれ、経済発展においてであれ、彼らは何を目的としているのでしょうか。民衆により多くの利益を得させ、こうして得たお金を国内消費に支出させることで、良好な発展を実現することなのでしょうか。決してそうではありません。彼らの改革の目的は、自らの政権を維持することなのです。民衆のお金を国庫に収め、収めた後は我関せず、です。その明らかな兆候として、税収がますます伸びています。

 草庵:はい。また、全国における賃金のGDPに占める比率は下落を続けていますが、ある一点において上昇しています。それは、官員の賃金であり、この数字はかなり伸びています。官員について、中央と地方との間には距離があり、地方は、自己の利益を守ろうとします。その例を挙げましょう。松花江の汚染問題です。事件の発端は、吉林市にある中国石油化学の化学工場の爆発で、100トン余りのベンゼンが流出しました。地方政府は当初事件を明らかにしませんでしたが、最後に汚染水が松花江からハルピンに流れた時、結局、黒龍江省は公表せざるを得なくなりました。この地には数百万人の生命がかかっていたからであり、当時の状況としては、非常に混乱していました。

 伍凡:こうした状況が続いているとすれば、彼らが生産を行う目的は、内需を向上させることではなく、自らの執政・統治能力を向上させることにあるということですね。民衆の生死に関わる問題、松花江といった問題が起これば懸命にそれを隠蔽し、民衆の生死は気にかけません。

 草庵:温家宝は言及しませんでしたが、汚染問題はもう1つの重要問題であると私は考えます。

 伍凡:そのとおりです。彼は3つの爆弾に言及しましたが、私はこの4つめの爆弾について提起しましょう。汚染問題は、何時でも何処でも爆発します。現在、既に爆発が始まっています。松花江においては問題が勃発して外国人までもが抗議をしています。ロシア人が抗議して、賠償を求めています。ソ連失脚前の1986年に、ウクライナの原子力発電所において爆発事故が発生し、その影響は西欧全体に及びました。少量の汚染であっても、その影響は1国に留まらず、欧米にまで及びました。汚染は、世界的な問題であり、人類共同の利益に関わってきます。中国の汚染は、隣国や他国にも及びます。この問題を重視しなければ、遅かれ早かれ爆発するでしょう。

 草庵:温家宝が3大問題をここまで公にしたのは、これが初めてのことだと思います。中国政府が、今のような不安定な社会状況のもとで、この3つの問題を提起したのは、状況の深刻さに強いられてのことだと思います。中共は、対外的に宣伝をするのが非常に上手いのですが、内心では、実情がどうなっているのか分かっていると思います。温家宝もまた、業務を引き継いだ時、一定の考慮があって、全ての責任を自分が負うことはできないと考えたのだと思います。

 伍凡:私もそう思います。彼なりに責任を尽くし、できるのかできないのか、改善できるのかできないのかについて、政権のトップにある者、その下の省レベルにある者に対し、一緒に改革に取り組まないか、取り組まなければ、最後には皆が死んでしまうということを告げたのではないでしょうか。私は、共産党が現在の局面をもたらしたと考えています。汚染問題が深刻になったのも、なぜ3つの爆弾が形成されたのかも、全て共産党の執政期においてです。こうした苦難を終結させ、爆弾を爆発させないためには、徹底的な政治改革、共産党による統治を完全に終結させることが必要です。さもなければ、民衆は必ず苦しみを味わうでしょう。

 草庵:朱鎔基のことを清廉な官吏だとか、本当に経済を理解していたとか言う人がいますが、私から見れば、彼こそが本当に経済を理解していなかったのです。彼の経済改革は、公平性に欠けていました。民衆の利益を全く考えず、官員の利益と政府の利益しか考えていませんでした。

 伍凡:共産党政権の安定のためですね。

 草庵:はい。民衆の利益を改革の犠牲にして彼らが利益を得たのであり、改革によって民衆が利益を得るとは全く口にしませんでした。改革及びその過程において、共産党は非常に大きな利益集団となっており、民衆のことを全く考えていませんでした。この問題については多くの議論を必要としますが、現状を改めるためには、制度上の問題、思想上の問題を改める必要があり、そうすることで、全体の危機を解決することができます。

 伍凡:私はこのように考えています。温家宝が問題を明らかにしたのは、民衆自身に問題を直視させ、政権を推戴するか否かを決めてもらう、つまり、改革がうまくいけばこれを推戴し、そうでなければ政権を失脚させ、調停し、政権を交代させる、ということではないかと。この点については明らかではありませんが、さて、本日は非常に多くのことを論じてきました。この問題については今後も議論していきましょう。独立評論をご覧いただき、有難うございました。それではまた。

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